「いるの、丸山くんに彼女?」

「ひ、久しぶり……です」

「なんで敬語?」

「いや、なんとなく」

 ……改めて同級生と意識するとためらってしまうんだよな。

「それよりデートの取り込み中に悪かったわね」

「え~ちょっと姉さん話そうよせっかくだし」

「アホねぇ。普通に恋人でイチャイチャしてるんだから邪魔するんじゃないの」

 すると姫が話に割り込んできた。

「あの。私も川田さんと話をしてみたいです。高校時代大輔がどんな風だったのか気になるので」

「んー」

 愛菜が迷っているがすぐに決断をした。

「そうね、これの知り合いだし。久しぶりに同級生に会えて話したかったわ。でも、あなたが思うようなことは私わからないわよ」

 ペシペシと彩さんの頭をボールみたいに弾ませていた。

「これって言うなし」

「吉田くんもいいかしら?」

「俺もいいよ」

「そこの喫茶店でいいかしら」

 俺と姫。彩と愛菜の四人で喫茶店に入り適当に飲み物を頼んだ。

「津田 姫です」

 姫がお辞儀をした。

「川田 愛菜よ。姫ちゃんって呼んでもいいかしら?」

「はい。愛菜さん」

 飲み物が届き俺はアイスコーヒーを一口飲んだ。

「それで吉田くんはその子と付き合ってるの?」

「んっ? この子とは本気でお付き合いをさせていただいているよ」

「……え、えへへ」

 姫が顔を真っ赤にしていた。

「へー彼女がいるなんてびっくりしたわ……。吉田くんが彼女ね」

「丸山とかも彼女っているのかしら……。彼に彼女っているの?」

「え、丸山? いないと思うけど」

 なんで丸山の名前が出てくるんだ?

「そう、ならよかった……」

 なんか知らないけど川田が安堵していた。

「まああの丸山だしな。合コンで彼女はない」

「……合コン?」

 ん、なんか殺気が出て気がするけど。

「え? うんそうだけど」

「合コン。……合コンですって」

 スッとこっちに近づいてきた。

「いるの、丸山くんに彼女?」

「えっ? さっきも言ったと――」

 俺の襟元を思いっきり掴んできた。

「ぐえぇぇぇっ!」

 息が、息が出来ない。

「ねぇ、丸山くんに、彼女、いるのかしら?」

「い、いないです……」

「本当に?」

「はい」

「そう……」

 掴んでいた手を離し自分が頼んだ飲み物を飲んでいた。

 ……死ぬかと思った。

「大丈夫、大輔?」

「な、なんとか……」

 姫が小さい声で話しかけてきた。

「ねえ大輔。川田……愛菜さんが丸山さんのこと好きなのわかったけど。丸山さんはな愛菜さんのこと好きだって言ってなかったの?」

「え?」

 好きだって? 川田が丸山に?

「マジで? なんでわかるの?」

「丸山さんに彼女はいるのて聞いてたし。好きだよきっと」

「……」

 丸山に好きなやつとかそう言った話は聞いたことはないな。

「そっか丸山くん。彼女いなかったんだ~」

 ……物凄く機嫌がいい。

 聞いてみるか。

「なあ、それから丸山に連絡とかって」

「―――っ!」

 その時、愛菜が一瞬で凍ったのがわかった。

「連絡……貰ってないです」

「え、そうなの?」

 普通に高校時代で交換もんかと思っていたけれど。

「以外……」

「いや、私も交換とかはしようと思ったのよ! 化粧とか髪型とか変えて連絡先を貰おうとしても違う男から告白とかで交換する機会なんてなかった……」

 結構早口になっていた。

「うん、うん」

 姫が頷いていた。

「そ、それじゃあ丸山の連絡先を教えて」

「ーーっ。……連絡先は自分で手にしたい」

 ああ、そうだよな。いきなり丸山に連絡先を交換したら不審がるよな。

「わかります。自分の手で手にしたいですよね」

 また姫は頷いていた。 

「へー」

 つまらなそうに彩さんはオレンジジュースを吸っていた。

「じゃ、じゃあ俺が丸山を連れて直接連絡先を交換させるという形でていいですか?」

「えっ神様……」

「違うよ」

 なんか物凄く愛菜がこっちを見ていた。

「是非ともお願いするわ!」

 愛菜が手を掴んできた。

「……むっ」

 むっ。と姫が嫉妬していたが可愛かった。

「じゃ、じゃあ俺たちは映画の時間になるから失礼しても良いか?」

「あっそうなの失礼したわね。彩、私たちも出よ」

「あいよ」

 四人同時に席を立ち会計を済ました。

「それじゃあバイバイっす」

「じゃあ吉田くん。任せたわね!」

「あぁ」

 彩と愛菜。それぞれ手を振りどっかに去っていった。

「出来そう?」

「んーこればかりは本人同士の気持ちの問題だからな」

「……そうだね。愛菜さんの気持ちに応援したいな。好きだった人に告白できないのはつらいから」

「姫……」

 そうだもんな。姫が告白してくれた時は嬉しかったな。

「ありがとうな告白してくれて」

「……うん」

 丸山と川田の件は一旦保留にしよう。

 そう今はデートに集中しないとな。

「それじゃあ気を取り直して――」


 プルルルルッ!


 電話がかかってきた。

「んっ?」

 スマホを師匠の名前が書いてあった。

「もしもし師匠?」

「助けて……倒れそう」

「えっ? 師匠⁉」

 倒れそうって一体何が!

「ダイお願い。今すぐになんでもいいジャンクフーか食べ物を持ってきて。なるべくバレないように」

「え、バレないようにってどうゆうこと」

「えっとだから――っやばい来た! じゃあダイ住所はあとで送るから着いたら電話してチャイムは絶対にならせないように!」

「ちょっと師匠」

 そのまま電話が切れた。

「大輔?」

「なんか師匠が食べ物を持ってきてくれって」

「えっ食べ物?」

「そう言ってた……」

 師匠が電話をしてくるなんて。心配だ。

「ちょっとデートは……」

「いいよまた今度で! それより師匠さんのところに行こう!」

「ありがとう……」

 食べ物を買って送られた住所に向かうのだった。

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