「ただいま大輔。……えへへ、やっぱり大輔におかえりって言ってくれるのも好き」

「ふぅ、やっぱりいい湯だよな」

 風呂から大野が出できた……。

「ん? ……吉田が溶けてる」

 大野がこっちに近づいてきて俺の方を見てきた。

「あぁぁっ…………」

 俺はというと全身マッサージの機械で身体をほぐしいた。

「あぁぁぁっ」

 太もものところを機械が力強く押してくれると同時に背骨のところも押されて、あぁぁっ! いいっそこ! 太もものところがパンみたいに練れて揉まれて少し痛いぐらいが気持ち良い!

「ぁぁぁっ」

 腕のところもサンドされて内と外両方やられていい! 姫のマッサージも良いけど機械のやつも気持ちが良い。

「あぁぁぁ……溶ける」

 夏のアイスみたいに溶かされる気分がわかる……。

「内田と姫ちゃんは?」

「クレーンゲームの方に向かった。なんか内田がぬいぐるみを見つけて欲しくなったから姫と一緒に向かった」

「クレーンゲームの方か」

 

 グイィンッ。


 丁度、マッサージが終了し終え俺は椅子から身体を起こすがめちゃくちゃ軽くなった気がする。

「あぁ……」

 腰の方を触り少し伸ばすと軽い……。なんか高校の身体みたいな感覚で軽く感じる。

「楽になった……」

 お風呂の効果とマッサージが効いたな……。姫のマッサージも好きなんだけど機械だと楽に感じる。

「大輔ー!」

「んっ」

 姫が近づいてきた。

「猫のぬいぐるみゲットしたよ!」

「おめでとう」

 姫の方に見てみると黒猫のぬいぐるみを手に持っていた。

「えへへ……」

 姫が嬉しそうに猫を撫でていた。

「良かったな」

 内田も白猫を連れて歩いてきた。

「姫ちゃんゲーム上手いんですよ」

「ん? 内田もゲット出来たのか?」

「しましたよー。姫ちゃんとお揃いのぬいぐるみっすセンパイ」

「そのぬいぐるみ……めちゃくちゃ触り触り心地良さそう」

「触りますか?」

 内田がぬいぐるみを大野の方に渡し、大野は優しく撫でていた。

「おぉ……気持ち良い」

「大輔も触る?」

「触りたい」

 姫のを借りて触ってみると意外とモコモコしていて毛のところがフワフワしていた……。

「お、おぉ……。良かったな取れて」

「うん嬉しい!」

 大野も内田にぬいぐるみを返していた。

「それじゃあ帰るか」

「はーい」

 そのまま旅館を出て車に乗り駅の方へと車を走らせた。


 ◇


 駅に着き荷物を各自持って降りた。

「じゃあ忘れ物はないか?」

「ないっす!」

「大丈夫だよな?」

「うん。大事な物とかはあるから大丈夫だよ」

 姫が頷いたから大丈夫だろう。

「それじゃあ俺はレンタカーを返して帰るからまたな」

「はいっす! また!」

「あ、ありがとうございました!」

 内田は普通に挨拶して姫は頭を下げてお辞儀していた。

「ありがとうな大野」

「あぁ、またな吉田」

 そのまま大野は車をレンタカー屋の方へと走らせて去ってしまった。

「それじゃあセンパイと姫また!」

「またねすみれちゃん!」

「またな内田」

 内田の方もバックを握り締めながら駅の方へと歩いて行った。

「帰るか……」

「うん」

 姫とそのまま一緒に駅の方に向かい。丁度よく電車で席に座れた。

「…………」

 そのまま姫は俺の肩の方に寄りかかりながら寝てしまった。

 数分後。最寄駅に着き姫を起こし、2人して家の方にゆっくりと歩いて向かっていく。

「んっ……」

 まだ眠いようで姫は目を擦っていた。

「楽しかったか?」

「うん。楽しかった……花火とかカレーとか流星とか見れて楽しかったよ。大輔も楽しかった?」

「あぁ楽しかったよ。……流星ってあんなにも綺麗だったんだな」

「……ねぇ。すみれちゃんとか皆んなで見れて楽しかった……ありがとうね大輔連れてってくれて温泉もあったかくて良かった!」

「良かったよそんなに喜んでくれて」

「うん……」

 姫がこっちに近づいて手を当ててきた。

「手、繋いでもいい?」

「いいよ……」 

 姫の手を握りしめるとあったかった……。

「……えへへ。大輔と手を繋げて嬉しいな。また思い出が出来たね」

「そうだな……嬉しいよ」

「うん」

 歩幅も姫と同じ速度でゆっくりと2人で歩いているとアパートの方に到着した。

 鍵を開けて姫が部屋に入っていた。

「おかえり大輔」

「ただいま姫。それとおかえり」

 こっちに振り向いて笑顔で返してくれた。

「うん、ただいま大輔。……えへへ、やっぱり大輔におかえりって言ってくれるのも好き」

 姫がその日と数日間ずっと笑顔で微笑んでいた。

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