「……お嫁さんか。えへへ」

 外に出ると体が溶けるような35度と超える真夏を迎えた8月上旬。

「〜〜♪」

 姫はというと前に見た流星群と猫のぬいぐるみテーマにオリジナルキャラクターを楽しそうに鼻歌を歌いながら紙に描いていた。

「……出来た! 大輔~」

「ん?」

 姫がこっちの方に近づいてきた。

「出来たんだけどどう?」

「どれどれ……」

 見せてもらうと猫耳のパーカーの女の子が星を乗っかっている絵を描いていた。

「おぉ……」

 思った以上に可愛く思わず声が出てしまった。

「どう?」

 姫が顔を覗いて見てきた。

「物凄くいいね」

「本当!」

「物凄く良くなった」

「―――っ! ありがとう大輔!」

「おっと!」

 姫が飛び込んできてしがみついてきた。

「大輔……大輔……えへへ。大輔の匂い好き」

 俺の顔のところで姫の思いっきり吸う音が聞こえてくる。

「うへへっ……大輔の背中触り放題」

 それと笑い声と背中をベタベタと触ってくる…………。

「大輔は今は何をしてるの?」

「ん? あぁ今は……」

 姫は俺のパソコンを見ていた。

「あっえびニのエプロン姿だ!」

 師匠から貰った液タブに描いたのはエプロン姿を着てフライパンとフライ返しの試しに色付き塗ったラフを姫が見ていた。

「えびニってわかるか?」

 正直なところこれが海老名 ウニだっていうのか不安だった。

「うん。えびニに見えるよ大輔」

「……そっか見えるか」

 えびニが好きの姫がいうならそう見えるんだろうな。

「そう言ってくれてありがとうな姫」

「うん」

 姫は小さく頷いていた。

「うーんでも少しな……」

 気になるのはエプロンを描いたつもりなのだがエプロンに見えない。

「エプロンに見えるのか」

「エプロン?」

 姫がこっちの方を向いて首を傾げていた。

「そうなんだよ。エプロンに見えるか?」

「うーん……。私は見えると思うけど大輔は納得していない感じなの?」

「そうなんだよ。もう少し形を膨らませたらなと思うんだが納得してなくてな」

「……エプロンか」 

 姫もパソコンの方の画面をジッと見ていた。

「それなら大輔。私がエプロンを付けてモデルになってあげようか?」

「えっ? 姫が被写体になるの?」

「うん!」

 姫が頷き。俺のそばから離れ、

「大輔の力になってあげたい。ねぇ?」

 ニコっ笑っていた。

「姫……」

 姫が力になってくれたら100人引き……。

「それと大輔の裸エプロン見たいからね!」

「ん?」

 待ってくれ、なんかおかしなワードが出たぞ……。

「ん?」

「え?」

 なぜか姫は首を傾げていた。

「ぬふふ……」

 が、口元を見てみると物凄くにやけていて小悪魔的な笑みになっていた。

「……姫さんもう一回言ってくれませんか?」

「大輔のエプロン姿を見たいなって」

「……なるほど」

 聞き返して見ると普通ぽかった。

「それでお星さまのお願い通りチンチンを見せてくれますようにっていつも通りだもんね」

「……うーん?」

 なんか一言付け加えられてたな。

「もう一回姫言ってくれないか?」

「えー聞き取れなかったの? わかったよ……」

 姫が大きく息を吸い込みそして思いっきり吐いた。

「大輔のチンチンを生で見せてください!」

「欲望が丸出しじゃないか姫」

「当たり前だよ大輔! だって好きな人のチンチンを見れるんだよ! 見たいもん! ……私が裸エプロンでおっぱいを見せれば大輔のチンチンが見れるってことだね!」

 姫がその場で服を脱ぎ始めようとしてきた。

「ちょっと何してるんだよ姫。今ここで脱ぐなって!」

 急すぎて心臓に悪い。

「じゃあ……」

 姫が腕のところにしがみついて柔らかい胸が当たっていた。

「――っ!」

 腕に吸い込まれるほど柔らかい。いくらクーラーが効いているとはいえこんだけ密着しているから熱気を感じる。

「……大輔のエプロン姿見たいから着て欲しいな?」

「――⁉」 

 物凄く可愛すぎるって姫。

 心臓の鼓動が爆速で動いていた。

 すると悪魔が騒いでいた。

『裸エプロン! 裸エプロン!』

 すると天使も騒いでいた。

『裸エプロン! 裸エプロン!』

 ……なんで毎回お前たちは共感してるんだよ。

『……いや待つのです悪魔』

 すると天使が止めた。

『なんだよ天使』

『裸エプロンはエロい物です。ですが、水着という選択肢もあるのではないでしょうか?』

『何を言っているだよ天使、裸エプロンこそエロいだろうが』

『甘いですね悪魔。……裸より衣類を少し付けている方がエロさが増すと思いませんか?』

『……何故だ?』

『それはそっちの方がエロいからです』

『はぁ、裸こそ至高だろ……生まれたままでエプロンの空洞が出来た生まれ姿のヘソのこそエロいだろうが天使がよ』

『水着でヘソのところを見えるこそがエロさが増すと言うのに悪魔は……残念ですね』

「……姫いつもの可愛い服を着た姿のエプロン見たい」

『なにっ!?』

『何ですって!? どうゆうことです主人!』

 天使と悪魔が驚いて叫んでいた。

「……普通だと大輔のチンチンが見れない」

 不満そうに頬を膨らませていてリンゴ飴みたいに真っ赤になっていた。

『どうしてだ。もう1人の俺よ!』

 どうしてだ?

 簡単なことだよ悪魔と天使……。

「普段の方だとなんかお嫁さんだなって想像してしまうからなんだが」

「―――っ! お嫁さん……」

「そう、裸エプロンというより俺は普段の方が少し……お嫁さんだと思ってしまう」

「……お嫁さんか。えへへ……えへへへっ!!」

 姫が物凄く頬が緩んでいてめちゃくちゃニヤけていた。

「えへへ……うん。じゃあエプロン用意するね」

「うん。お願い」

「お嫁さんか……えへへ大輔のお嫁さん〜!」

 そのまま姫がキッチンの方へと向かっていった。

『完敗だぜもう1人の自分』

『お嫁さんとは……考えが浅かったようです。不覚』

 そのまま悪魔と天使が引き下がっていた。

「大輔〜!」

 めちゃくちゃハイテンションの姫が呼んできた。

「……」

 姫がこっちを見てきているが目がこっちを見たら下の方に見ていた。

 どうやら恥ずかしくて目を合わせられないみたい。

「似合っているよ……お嫁さん」

「うん。……大輔のお嫁さん。あぁっ嬉しい!」

 姫が自分の頬に手を当ててニヤけた頬をマッサージしていた。

「…………大輔と手を繋いだら気持ち落ち着くと思うから手、握ってても良い?」

「いいよ」

「ありがとう大輔」

 姫がそのまま手を握ってた。

「……好き大輔」

「っ! 俺も好きだよ姫」

「うん。ありがとう……」

 十分ぐらい手を握っていた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る