「とびっきり可愛くしてあげるわよ」
しっかりと湯を堪能し着替え終え、出た瞬間。牛乳瓶とか売っているの自動販売機を見つけた。
「おっ牛乳」
他にもフルーツ牛乳やいちご牛乳に定番のコーヒー牛乳も売っていた。
「……いちご牛乳美味そうだな」
俺は自動販売機にお金を入れていちご牛乳を購入し。
ガコンッ! と豪快な音が鳴り響き。手にとって蓋を開けた一口飲むとめちゃくちゃ牛乳の味が濃くいちごの味が後から効いてきた。
「……うま」
「あっ」
「んっ?」
声をした方に振り向くと愛菜がいた。
「どうだった? ウチの温泉は」
てくてくとこっちに歩いて近づいてきた。
「良かったよ、めちゃくちゃあったまった」
「そう、それなら良かったわ」
少し愛菜が嬉しそうに小さく笑っていた。
「それにしても川田って実家が銭湯屋さんだったんだな初めて知った」
「あまり学校の方は言ってなかったからね……。お店の方に迷惑かけてもしょうがないから……丸山くんなら歓迎なのだけど」
「……ほう?」
丸山にそこまでモテる要素なんてあったか?
興味本位で気になるかな。
「なあ前から気になっていたんだがなんで丸山のことが好きなんだ?」
「――っ!」
愛菜の顔が一瞬で赤くなっていた。
「それ……聞く?」
「嫌だったらいいんだが」
「……別に嫌でもないわ。まぁ対した話じゃないけれど」
愛菜も自動販売機にお金を入れてフルーツ牛乳を手に取って近くにあった椅子のところに移動して座った。
「……簡単な話よ。小学生の頃、私お兄ちゃんっ子で男の子と同じ遊びをやっていたの」
「えっ?」
男の子と同じ遊び?
「川田が」
「そうよ。野球とかサッカーとか木に登ってどれだけ競うかみたいな遊びが好きだったわ」
「……見えない」
今は普通に綺麗でそんなやんちゃみたいな遊びをしているなんて想像がつかなった。
「まぁ小学生、四年生ぐらいまでかしら、けど妹の彩の前でお姉ちゃんらいくしようとスカートをみて次の日に学校に行ったのだけど、クラスの子たちは良い反応しなかったわ。けど1人の男の子が「可愛い、似合っている」ってそう言ってくれたの」
その男の子……。小学校から丸山の話していて言った人物って、
「言ったのはまさか……」
「そう、丸山くん」
愛菜が小さく頷いた。
「えっ?」
驚いた。丸山と川田が小学校時代から接点あったなんて意外だった。
「それじゃあ丸山と会話しているから告白をするチャンスとかあったんじゃないか?」
「告白ね……小学生まではやっぱり勇気はなかったわ」
愛菜が天井の方を眺めていた。
「それと小学生の卒業式したあとここの経営をしているお爺ちゃんがギックリ腰になっちゃって私とかは引っ越しをしたのよね。だから中学の頃は丸山くんには会えなかったわ」
「それは残念だったな……」
そっかそのまま告白しなかったのか。
「けれど偶然にも高校の時に丸山を見つけたからその時に私は思ったの。おしゃれをして丸山くんに絶対に小学生のころに言ってくれてありがとうって言いたい。……それと付き合って恋人になりたい。それが丸山くんに好意を抱いている理由」
「そっか……」
おしゃれをして好きな人を振り向かせたいっていうのは素敵な話だと思った。
「わかったそれなら応援しているよ。出来るだけ丸山にもそれとなく聞いておくわ」
「……ありがとう神様」
愛菜が笑っていた。
「それじゃあお礼といってなんだけれどあなたの彼女さんにオシャレしてあげる」
「えっ?」
「とびっきり可愛くしてあげるわよ」
川田が姫をオシャレか……。想像がつかない。
「……こういったら悪いのかもしれないが川田って人に化粧とかって出来るのか?」
「それは侵害。高校時代にこの銭湯でアルバイトを雇っていた子が中学の頃に男の子に会いたいから化粧して欲しいって、言われたけど意外と高評価だったのよ」
「へー」
好評なら姫がオシャレになった姿みたいな……。
愛菜がスマホを取り出し画像を探していた。
「あっあったわ……この子よこの子」
「へー……。――!?」
その写真を見た瞬間ビックリしてしまった。
「凪だ……」
写真に写っていたのは凪だった。
「あれ? この子知っているの?」
「知っても何も……」
「愛菜っち〜どこ〜? ねけもんでわからないところあるから教えて欲しんだけど〜」
声をした方を見てみるとそこには、
「あっ噂をしたら凪だわ」
凪が現れた……。
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