「大輔の高校生の時の写真がみたい!」
6月も下旬。梅雨はまだ続いている。
「うへー疲れた……」
姫が大の字になって乗っ転がっていた。
「少し休憩にするか」
「へーい。頭がパンクしそう」
「もうすぐテストだもんな」
「死ぬ……」
「今はしっかり休んでな。休憩も人間にとって大切だから」
「うい……」
もうすぐ姫の学校のところでテストがあり。それの対策勉強を今日の休みの日に教えていた。
「甘いものが欲しい……」
「飲み物コーラでいいか?」
「コーラ、欲しい。ありがとう大輔」
「よいしょっと」
俺は一度腰を上げ冷蔵庫に向かった。
冷蔵庫に向かう途中だが大事件が目の前に起きていた。
「――うぉ!」
床に白い布切れですべすべとした物が俺の足元にありくまさんのイラストキャラがこんにちとしていた。
これって。あれだよな。
女性の穿くものだ。デザインが子供っぽいがまさしくこれは……。
悪魔が登場してきた。
『姫のクマさんパンツだな。可愛いの履いてるじゃねえか』
はっきりというな!
こっちは心臓がバックンバックンなってんだぞ!
落ち着け、そう落ち着くんだ……。
俺は深呼吸する。
次に天使も現れた。
『なるほど、姫もこういう下着持っていたとは意外ですね』
分析すんな天使! 落ち着くってそういうことじゃない!
『これをどうするんだ天使よ』
『……どうするか決まっています。この下着をくださいと土下座する』
『なるほど……。流石は天使だな』
なるほどじゃないよ! なんで頷いてんだよ悪魔!
『じゃあどうすんだ? 盗むのか? 見つかった時大変だろうが。だったら堂々と姫の下着下さいと言った方が良いに決まっているだろうが!』
自分の悪魔に逆ギレされたんだが……。
「普通に姫に返す……。それが大人として正しいことだ」
『『なぜだーー!!』』
悪魔と天使が叫んでいるのを無視し、俺は下着を拾った。
……そう、これは本当に落ちていただけ。そう落ちていただけなんだ。
そうやって自分に言い聞かせ俺は、コーヒーとコーラを持ってきて座りなおす。
「……はい」
「ありがとう」
姫はコーラを受け取り片手に一気に飲み干す。
「ぷはぁ! 生き返る!」
「……ちょっといい?」
「うん? なに大輔」
「いや、その……」
改めて下着が落ちていたなんて言葉にするのがためらってしまう。
姫の隣に下着を置いた。
「これが床に落ちてたんだが……」
「あぁ下着拾ってくれたんだ。ありがとうね大輔」
そのまま姫は下着を拾い立ち上がって干していた。
つい見惚れてしまう姫の足と引き締まっているお尻とちょっとした仕草で胸が揺れ動くのを目で追ってしまう。
それの魅了するのが今、姫が着ている服装……。
「ん? なに大輔さっきのこっちばかり見ているけど。下着欲しかったの?」
「なっ!?」
バレてる。ここは大人の対応として話題を変えよう。
「違くてなんで体操服なのかなって……」
「あぁ、これ? 今、着る服がなくて体操着でいいやって思っちゃって」
「なるほど……」
まあ、確かに雨続きだったから干すに干せなかったんだろうな。
「それにしても……」
体のラインが出て素足。
「どうしたのこっちみて?」
「あ、いや。……姫の体操着姿、滅茶苦茶可愛い過ぎるなって……」
「うぇ⁉ そ、そう……」
姫が顔を赤らめながら少しににやけていた。
「えっとありがとう」
今度は姫がこっちの方をジッと見つめていた。
「大輔が高校生の時の姿。見たかったな」
「俺の?」
「うん。だって大輔の体操服姿。絶対に欲しかった」
「ハッ!」
すると姫が何やら思いついたらしい。
「大輔の高校の時の写真みたい!」
「俺の高校の写真見てもあまり写ってないぞ」
「そっか……。大輔の体操着姿ちょっと見たかった……」
シュンと姫が落ち込んでいた。
高校の時の写真か……。
戸惑いはある。俺はそんなに写真写り良くない方だからな。
「……本当にあんまり写ってないけど、それでも良いなら」
「うん! それでも大輔の制服姿みたい!」
「有ったっけな……」
タンスを開けて段ボールの中から高校の時のアルバムが見つかった。
「あったあった」
「早く早く」
「はいよ」
座り直しアルバムを開く。
「懐かしいな……」
修学旅行が楽しかったとか師匠にテスト勉強を教わってのが昨日のように蘇ってくる。
「……この子。美人さんだね」
指をさして頬を膨らませていた。
「その子か。確か物凄くモテていたな。なんか噂さだと高校卒業まで告白されていたらしいけど全員玉砕したらしいよ」
「高校卒業まで、凄いねその子……」
「なー」
告白か……。
姫がこうして高校生活を送っているとはいえ異性からの告白とか多分あったのかな。
ちょっと心配といえば心配だ。
「どうしたの大輔? いきなり手なんか繋いで」
「え?」
視線を手もと知らずのうちに手を握っていた。
「わ、悪い」
「いいよ。手を握られるのも好きだし」
ニコっと微笑みながら肩を寄せてきた。
可愛い過ぎる……。
「それよりどうしたの急に?」
「いや、その告白とか話が出たから姫は……その、誰かに告白されたことがあるのかなって……」
「うん。まあ、中学に二人の男の子から告白はされたかな」
「――⁉」
姫に告白する人がいるなんて喜んでいいのか。ちょっと内心的にいやだなって気持ちがあって、なんていうかちょっと複雑な気分だ。
「二人も告白されたのか……」
「おぉ、大輔が嫉妬……」
姫が急に顔を手で押さえて上を向いていた。
「大輔が可愛い……。抱きしめてあげたい」
「……まあ」
そのまま姫に後ろから抱きしめられた。
「ちゃんと好きな人がいるからごめんって断ってたよ」
「今は告白してくる同級生とかは居ないんだよな」
「大丈夫だよ。拗ねちゃって可愛い」
俺の頬を掴まれ揉まれる。
「ねえ、アルバムの続き見たいから大輔に寄りかかっても良い?」
「良いよ」
「やったー!」
いつもの座るポジションで股の間に座り込み寄りかかってきた。
「えへへ……大輔。可愛い」
その笑顔でニヤけてしまう……。
「そういえば前に丸山さん達が話を聞いたけど。大輔は他の人から告白はどうだったの?」
「俺? 丸山たちと一緒にアニメの話ばかりでそういった色恋沙汰に発展することはなかったな」
「でも、前の方に大輔が女の子に囲まれてから構われたって言たけどあれは?」
「あーあれ。写真に度々に写ってるだろ。坊主頭にしてたら面白半分で頭を触りに来る人が多かったって感じだったな」
「……あー。そう言われてみると大輔。野球少年ぽいね。ぐへへ大輔の制服姿見れた」
「もし姫が後輩だったらこうして毎日楽しい日々が続いてたんだろうな」
「そしたら先輩だね、大輔先輩」
「そうだな。可愛い後輩」
頭をそっと撫でる。
「えへへ。高校生時代の大輔がめっちゃ可愛い」
「休憩もこの辺にして勉強を再開するか」
「うんそうだね。よーし大輔の写真も見れたことだしテスト勉強やるぞー!!」
その後姫はめちゃくちゃ勉強を頑張った。
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