「お疲れ様。ありがとうな姫」

 姫のために仕事をすると決めていて。それからはずっと仕事漬けをしていた。

 気づいたらもう明後日には姫たちと泊る日だ。

 今月の仕事はこなし。次の仕事のためのずっとタイピングしていた。

「……あぁ」

 肩が少し凝る感じがしてくる。

 すると海浦が声をかけてきた。

「吉田〜。仕事、手伝ってくれ……」

「それは自分で捌いてくれ、今は自分ので忙しい」

「えぇ……この後合コンに連れて行こうと思ったのに」

「いらないって……」

 海浦が「ちぇー」とか言いながら自分の場所に戻っていった。

 お昼を速攻で食べて、午後からも熱を仕事の方に集中し、気づけば午後5時。

「……今日も残業するか」

 俺は部長の矢田さんに残業を申請して居残りをした。

「……」

 カタッカタッカタッ。

 午後8時を回っており俺は、コンビニからツナマヨのおにぎりを急いで食べ終え。ずっとパソコンと睨めっこしていた。

 けれど長時間パソコンと付き合っているから目の奥がズキズキと騒いでいた。

「あぁ……」

 目がいてぇ……。

 乾燥してゴロゴロとしてい少し目を瞑るだけでも涙が出る。

「吉田」

 すると大野も残業をしていたらしく。こっちの方に近づいてきた。

「ん?」

「チョコ、いるか?」

 大野の手元にはチョコが入った袋を持っていた。

「あぁ……」

 脳が限界を迎えており頭が回らない。体も疲れているから甘いものが欲しくなる。

「……欲しい」

「はいよ」

 大野が一口サイズのチョコを俺の上に大量に置いた。

「じゃあそれ食べて頑張ろうぜ」

「あぁ……」

 大野が手を振りながら自分の席の方に向かった。

「なんか飲みたい……」

 喉も乾いている。

「珈琲でも飲んでスッキリするか……」

 俺は自動販売に向かいお金を入れて微糖を購入した。

「冷てぇ」

 触るだけでもキンキンに冷えている。

 キンキンに冷えた珈琲を買って首筋に当てると気持ち良かった。

「あぁ……」

 首元と腰の所の疲れが固まっているのがほぐれるそんな感じだ。

 俺はフルタブを開けそのまま一気にコーヒーを体内に摂取し自分の先に戻った。

「やるか」

 すると内田が自分の席のところでぐったりしていた。

「あぁ〜死ぬ……」

「お疲れ」

「お疲れッスセンパイ」

 内田がこっちを見ながら挨拶をしていた。

「死にそうだな……」

「死にそうッス。なんで、資料ってあんなに重いんですか…………」

「倉庫の整理してたのか? お疲れ」

「ありがとうございます」

 あぁ、倉庫の整理をしていたのか。頑張ったご褒美で、チョコでもあげるか。

「大野からチョコを大量に貰ったんだけどいるか?」

「あぁ……欲しいっす。甘いの食いたいっす」

 内田にも大野の大量のチョコを半分渡した。

「ありがとうございます……」

 内田がチョコを開けて、口の中に放り込んで食べていた。

 俺もチョコを口の中に含んだ。

「ところでセンパイ」

 内田が話しかけてきた。

「んっ?」

「姫ちゃんの水着ってどうだったんですか?」

 姫の水着か……。着替えの時は興奮した。

「良かった……。言葉にならないくらいに良かった」

「マジすか? 期待しちゃって良いんですか?」

 内田がこっちを見てきた。

「あぁ、良かったよ。当日で姫の可愛い姿。見てくれ」

「それならわかりました当日まで取っておきます」

「あぁ……」

 内田が頷き。俺はチョコを口の中に食べながらお互い仕事をしていた。


 それから21時残業を切り上げ、電車に乗ぅて数十分。自分の最寄り駅で降り。少し重い足取りで歩く。

「あぁ……」

 ずっと座りっぱなしで腰が痛くて。足も痺れていて少し歩きずらかった。

ようやく自分のアパートにたどり着き。鍵を開けた。

「ただいま……」

 ドアを開けるとまだ電気が付いていた。

 そのままリビングの方に顔を向けると姫がテーブルの上で寝ていた。

「あぁ……」

 どうやら勉強中みたいだったようで途中で寝ちゃったらしい。

「お疲れ様。ありがとうな姫」

 俺は彼女の頭を優しく、起こさないぐらいの力でなでた。

 こんな遅くで勉強と料理を両方こなして作ってくれるのがやっぱり嬉しくてありがたった。

「……すぅ、すぅ」

 起こさないようにゆっくりと姫を抱きかかえそのままベットの方へと移動させた。

「大丈夫だよな。起こしてないよな?」

 姫の顔を見るとまだ可愛い寝顔で起きてなかった。

「……んっ」

 可愛い寝顔を見れたことだし。ご飯と風呂に入って寝よう……。

 俺はキッチンの方に行き姫が作ってくれた。から揚げとほうれん草のお浸しを皿の方に持って行って一人で食べていた。

 その後皿を洗い。風呂にゆっくりと入った。

「……あぁ」

 自然と声が出てしまうほど風呂は温まる。

 よく体をすすぎ流し風呂から出てもう寝る準備を始めた。

 電気を消して布団の方に就寝をした。

「お休み……」


 ◇


 明後日になり泊る日がついにきた。

「やった! お泊りっす!」

 内田が騒いでいた。

 大野はいうと車を借りるための手続きをしに行っていた。

「良かったね大輔。こんなに晴れて」

「そうだな」

 空を見上げると雲一つない快晴だ。

 すると一台の八人乗りであろう車がこっちに近づき。

 大野が降りて近づいてきた。

「よっお待たせ」

「あぁ」

「じゃあ荷物は客席の後ろの方に積んでくれ」

「了解っす!」

「はい。わかりました」

 姫と内田が車の方に移動した。

「……それにしても晴れたな」

「だな」

 俺と大野は空を眺めていた。やっぱり雲一つない晴天だ。

「これはもしかして流星群見れるかもしれないな」

「流星群?」

「あぁ」

 大野が首を縦に振っていた。

「今日は流星群が見れるかもっていう話らしいぞ」

「ホントに⁉」

 それだったら見てみたいな。実際に見たことないからどんなのかわからないけど。

「あくまで見れるかもって話だけどな」

「そっか……見れたらいいな」

「だな」

 すると車の方から内田の声が聞こえた。

「センパイ達早く行きましょうよ!」

「あぁわかった!! じゃあ行こうか」

「そうだな」

 俺と大野も車の方に向かい乗り込む。

「それじゃあレッゴー!」

 内田の掛け声と共に今夜泊るコテージへと出発をした。

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