「さあ、花火やるぞ!」

 川の方に移動すると辺りが真っ暗で俺たち意外誰もいなかった。

「じゃあやるか」

 大野は釣りで使っていたバケツを置き。もう一つ何かを持っていて、そこを地面に置き周りで石で囲って土台を作っていた。

 よく見てみると缶を半分に切ったようだ。

 すると内田が首を傾げていた。

「大野先輩。それって何に使うんですか?」

「んっ? あぁこれをロウソクの受け皿にしようと思ってな」

 ロウソクに火をつけて、蝋を空き缶に垂らしてロウソクを思いっきりグイグイと押し当てていた。

「よし、これでオッケー」

 俺もだけど内田が空き缶の方を指差していた。

「え、これで良いんですか? すぐに倒れちゃいませんか?」

「大丈夫だよ。蝋はすぐに固まるからそんなには傾かないから平気だ。さあ、花火やるぞ!」

「じゃあやりますか……」

 お互い花火を持ってロウソクに火を灯すと花火から一気に勢いよく火花が飛び出していた。

「……おぉ!」

 思わずビックリしてしまう。……高校生で師匠と一緒に遊んだときぐらいかな。


「「あはははっ!!」」


 姫が手持ち花火に火をつけた瞬間、走り回っていた。

「子供だな」

「だろ……そこも可愛いんだけどな」

 引っ越す前は姫と一緒に道路のところで集まって遊んでいたな……最後の線香花火を見てうっとりしている姫の顔は未だに記憶に残っているな……。

 思いっきり手を合わせ振り回してながら踊っていた。

 ……やっぱり小さい頃の姫だな。

 すると内田が新しい花火を持って姫のところに歩いていった。

「姫ちゃん姫ちゃん。私にも火を頂戴」

「うん。いいよ」

 内田がスッと花火を近づけて着火させると紫色の花火が出ていた。

「おぉっ!」

 すると紫色だったのが水色に変更していった。

「凄いな……」

「だなっ……」

 俺と大野、そして姫までもがジッと見てしまった。

 それほどまでに花火が綺麗だと感じてしてただ花火が燃え尽きるまで眺めていて、まだ残っている花火を遊んでいた。


「最後は線香花火か……」

 最後に残った線香をみんなに渡してそれぞれ火を付けた。

「……」

 火をつけた瞬間火の玉が赤く熱していて。そこから小さな火花がパチパチと弾けていた。

「綺麗……」

 姫の横顔を見ると小さい頃の姫がそのままが写し出されていた。

「……」

 勢いよく咲き乱れ、徐々に小さくなっていく。

 そして、火の玉から火花が出なくなるとそのまま地面の方に落ちていった。

「……終わっちゃった」

「俺も終わった」

 みんなもそれぞれ線香花火が終わってしまった。

「一瞬だったすね」

「そうだな……」

「でも、綺麗で私は線香花火好き……」

 姫がジッと花火を見つめていた。

「俺も好きだな」

 夏の風物詩でこの花火は好きだ。


 そして花火を片付けて凝り固まった背中を押して伸ばした。

「あぁ……」

「じゃあコテージの方に戻るか……」

「賛成!」

「私も」

「そうだな……」

 まだ首の方がコキコキとなっていたのをほぐしながらバケツを持った。

 姫がこっちの方に近づいてきた。

「えへへ……」

 とても嬉しそうに笑っていた。

「楽しかったか姫?」

「うん!」

 本当に楽しかったみたいで元気に頷いていた。

「それは良かった。それと部屋に戻ったらアイスがあるからみんなで食べよう」

「えっ!? アイス!」

 目がキラキラと輝いていた。

「やった……っ! ねぇ大輔あれ!?」

「んっ?」

 姫が空の方に手を伸ばしてきて俺は空を見上げた。真っ暗な星がいきなり輝きだしていた。

「あれって……」

「流星……群?」

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