「ほら中学で一緒だったじゃん‼ 凪だよ凪」
海老名 ウニからメッセージの返事が来た。
『ロスト先生リクエストありがとうございます! お話をしたいのですが空いている曜日とかございますか? もし会うのが嫌でしたらお断りしてもございません。イラストの方大切にお扱いしますのでサムネのイラストをお願いします。スケジュールの方をご確認次第またご連絡いたします。何卒宜しくお願い致します。』
「えっ……」
まさかと会うとは思ってもいなかった。
「うーん姫も来るか?」
「えっ⁉ えびニに会えるの?」
「うん」
「えー……どうしよう。えびニに会える……あぁっ! どうしよう……あぁぁ!」
姫が物凄く悶絶していた。
「多分、本当のえびニに会ったら死んじゃうかも……。大輔が一人で会って」
顔を真っ赤にしていた。
「わかった」
俺は海老名さんにメッセージを送った。
『わかりました。私もお話をしたいので今週の土曜などどうでしょうか? 海老名さんのさえ良ければよろしくします』
『はい。空いております。美味しいケーキを知っているところがあるのでサイトのURL送りますね』
URLを見てみるとホームページに美味しそうなケーキが目に飛び込んできた。
「おぉ……」
すると姫が食いついてきた。
「わぁ! 美味しそう」
「そうだな。どうする姫一緒について行くか?」
「……うーん。いつ?」
「今週の土曜日に会うことになっているんだけど」
「土曜日か……その日は梨花さんに頼まれてて」
「えっ? 師匠に」
「うん」
姫が頷いた。
「なんか漫画の挿絵? っていうのに協力して欲しんだって」
「挿し絵に姫が?」
「うん。なんか私ぐらいの胸のサイズのポーズがなかなか決まらなくてそれに協力して欲しんだって」
漫画の最初にタイトルの紹介ページを使ってキャラが色々なポーズをしているイラストのことだ。結構凄いポーズとか可愛しいのとか漫画に挿絵が大変だろうに。
「わかった。なんかテイクアウト出来るらしいだけど姫はいるか?」
「食べる!」
うんうんと首を何度も上下に振り下ろしていた。
「わかった。向こうの方でどんな種類があるかその時に教えるよ」
「うん。ありがとう」
姫が嬉しそうに頷いた。
海老名 ウニかどんな人なんだろう……。
◇
土曜日。
海老名 ウニに送られた店の地図頼りに電車を乗りそこから歩いていった。
「ここか?」
地図の場所だとここらしい。
心臓がドクドクと鳴り響いていた……。
いけ……。
決意を胸に店内に入っていった。
「いらっしゃいませ~一名ですか?」
「すいません。待ち合わせをしていると思うんですが」
「あっはい。待ち合わせですね少々お待ちください……」
店員さんが店の奥に行き数分経つと再度こっちに近づいてきた。
「
「安達さん……」
海老名さんの本名。安達さんっていうのか……なんだろう懐かしい名前な気がする。
……なんでだ?
なんで懐かしいと感じたんだろ。
「お客様?」
店員さんが首を傾げこっちを見ていた。
「あぁ何でもないです! すいませんお願いします」
「では、席に案内します」
店員さんの後を追い一番席の窓側の方へと案内された。
「それでは。なにか注文などありましたらお呼びください」
店員さんが頭を下げ会釈をした。すると向かい側に座っていた女性も会釈した。
そこで改めて女性だと認識をする。髪がすらっと長く胸のところまであり。
白いワイシャツを着ていたが窓の輝いてより輝かさせていた。
先に頼んでいたコーヒーを一口飲みソーサーの上にカチャッと音を奏でていた。
この人が安達さん……。
するとニコっと向こうが笑った。
「久しぶり。大輔」
「……え?」
久しぶり? どこかであったか?
「えっと……」
「……ん?」
彼女が首を傾げていた。
「覚えてない? 私だよ私」
彼女は自分の方を指を向けてアピールしていたがこんな子覚えてない。
「すいません。どなたですか」
「えぇぇっ……‼」
何故か知らないけどショックを受けていた。
「本当の本当に?」
「……はい」
顔を見てもわからない。
「……えぇ」
物凄い涙目になっていた。
「ほら中学で一緒だったじゃん
「……えっ。はぁ、凪⁉」
その名前を聞いた瞬間。〝あいつ〟の顔が出てきた。
中学の頃。姫と別れた先の転校先で仲良くなった親友。短髪でなんか知らないけど気が合ってすぐに親友で、なにかアニメとか他の話とかもすごく楽しくって高校受験の時に疎遠になってしまった俺の一番の親友。
「本当に私のこと覚えてない?」
その子が首を傾げていた。
「いや、いやいや! ないないだって凪は自分のこと〝僕〟って言ってたし! 〝私〟なんて言わない!」
そう、私じゃなく一人称は僕だった。
「あー。あぁ……高校になってから私を言うようになってね……。証拠はあるよ大輔と一緒に取った確か写真が……」
鞄の方に漁っていた。
「えっとどこだっけな……あった!」
写真を見せてきた。ショートカットの短髪に頬のところに絆創膏をつけていた男の子それと俺が写っていた。
「……えっ? 凪だな」
間違えない一番の親友の凪が写っていた。
「本当に⁉」
「当たり前だよ。私の他に誰がいるのさ!」
「……えぇ」
なんていうか言葉では言い合わらせないショックがある。
「髪まで伸びてるなんて、わからないって」
「そんな髪を伸ばすのが好きじゃなかったからね。それとスカートなんて穿くの苦手だったんだよね。ヒラヒラとして動きづらかったし」
「……」
少し視線を反らし、テーブルの方を向くとピンク色のロングスカートを履いていた。
「……えぇ」
記憶では短パンしか印象がない。
「ショック受けすぎじゃない?」
「いや、男しか印象に残ってない」
「……私のこと男だと思ってたのかよ」
「当たり前だろ」
「即答じゃん。それならホテル行くか体を見せてあげようか?」
「……仮に女だったら行かないって」
「なにそれ。ふはははっ!」
凪がめちゃくちゃ笑ていた。
まだ気持ち的に男だと思っている。
「笑い過ぎだろ……」
「ごめんって」
笑いをこらえようとお腹を押さえていた。
「……」
本当にその笑っている仕草が当時の凪だと認識した。
「バーチャル活動してたんだな……」
「まあ、驚かせようと頑張っていたんだよ。そしたら楽しくなっちゃってそれと……」
凪が下の方を
「2ヶ月前にに大輔だと思うイラストを投稿してるを見つけたと思ったけど、更新が止まっていたから。もしかしたら辞めちゃったのかなって」
「悪い……仕事が忙しすぎて絵を描く時間がなく」
「なんだぁぁぁ! もう、てっきり辞めちゃったから連絡が出来なかったらどうしようか迷って時間を返せ!」
「悪いって……」
中学の頃なんてスマホなんて持ち合わせてなかったから凪と遊ぶときは現地に集合と形で遊んでいた。
当時好きだったキャラをロストって名前をハンドルネームにしていた。もし、イラストとか漫画がヒットして凪が見てたらわかるだろうと思って。
「それにしても本当に大輔が来てくれてよかった……」
「こっちの方は驚き過ぎて心臓が痛いって」
まだ心臓の方がバックンバックンと鳴り響いていた。
「なんか飲む?」
「コーヒーが欲しい」
凪が首を傾げていた。
「コーヒー飲めたんだ?」
「それはこっちのセリフだけどな……」
当時、自動販売機でチャレンジしようということで二人でブラックコーヒーを飲んだけどダメだった。高校で炭酸と間違い飲んだけどそれが美味しかったから飲んでいる。
店員さんにコーヒーとお互いが食べたいケーキを注文した。
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