「……やっぱり勝てないな」

「本当に師匠?」

 小学から高校まで何度か伯父さんの家に遊びに行って目の前に居るから何というか不思議な感じだった。

 高校からはイラストを頑張ろうとして家を訪れたっけ。

 そんな師匠が頷きながらこっちに近づきた。

「懐かしい響き。そうそう師匠だよつって。ハハハッ!」

 軽快に何度も肩を叩きながら笑い飛ばしてきた。

「いやーまさかダイに会えるなんて」

 師匠が姫の方を指をさしていた。

「このチビッ子は……誰?」

 姫の頬がムクッと膨れ上がった。

「チビッ子じゃないです! 私はこの人の彼女です!」

「……え?」

 師匠の顔が固まった。

「マジで?」

 何度も俺と姫を交互に見つめている。

「彼女です」

 姫と俺の顔を交互に見つめていて、唸っていた。

「ダイっちょっと来な!」

「うぁ!」

 師匠に引っ張られて姫には聞こえないようにコソコソ話をし出した。

「で、本当は? まさか妹が居るなんてラノベ展開じゃあ無いでしょうね」

「違うって」

「仮に居るなんて言ってもダイは一人っ子だ。って言うのはバレバレなんだからガチ知ってるんだからね」

「いや、本当に彼女だって! 本当に真剣にお付き合いをさせて頂いてる人です!」

 ここでホントのことを言わないとめんどくさくなりそうだし。

「……え? マジで?」

「マジで」

 師匠がなんども姫の方を見ていた。

「あ、わかった。レンタル彼女でしょ」

「レンタルじゃないって」

「あ、あれでしょセフレ!」

 ビシッと犯人は貴方だと決めつけるように指をさしていた。

「……。本当に何言ってるの⁉︎」

 予想外の小言葉に度肝を付かれ、疲れが増した。

 昔から師匠は決めたらこうだと探偵みたくやっていた。

「イヤまあこれからセレフとセックスをするのも良いけど……」

「あまりそうゆうの外で言わないで! 俺は潔白だよ」

 師匠が不思議そうに首を傾げていた。

「え? してない? ダイって童貞なん?」

「ちょ⁉」

 童貞ってそうなんだけど女子からそんなこと言うなんてビックリなんだけど!

 どんどん顔を近づけてきた。

「で、ヤったの?」

「やってないよ!」

 師匠が首を傾げていた。

「じゃあ普通にキスとか手を繋いで歩いたりとかは?」

「え、あっ……」

 姫とそんな風にしてたことが鮮明に蘇っていって顔が熱くなる。

 今、思い返してみると結構してるから恥ずかしい……。

「……はい。そこまでは」

「そっかヤッないってことはセフレじゃなく、ガチでレンタル彼女の方か……」

「いや、何度も言ってるけど彼女だって!」

 師匠が肩をトンを叩いていた。

「お前もいつかは出来るさ。だからガチでお金を使いすぎるなよ。とりあえず今日会ったのは見なかったことにするから。それと今後は一切関与しないってことで」

 その場を立ち去り歩いていった。

「いや、ちょっと待って!」

 師匠の方を掴んで話をつづけた。

「彼女か……。そぅだよな。見た目がチビっ子いから中学生だもんな。そんな小さい子がレンタルされてるんか……」

「違うって」

 なんでこんなにも認めないんだか……。

 師匠の目はまだ疑っていた。

「だって中学生――」

 姫の方を見ると再びこっちに近づき肩を掴まれた。

「なにあのおっぱい! 本当に人間なのあの子?」

「人間で女の子だよ」

「ウソでしょ……。あれ絶対に背負ってるの鉄球でしょ!」

「なぜに鉄球?」

「そんなもんリアルで見たこと何のに決まってるんじゃん!」

 逆ギレされても……。

 姫がこっちにきて服を掴んできた。

「大輔。この人だれ? 大輔の知り合い」

 師匠が反対側の方の肩を思いっきり掴んできた。

「で、ダイ。説明をしてもらおうじゃない」

「今から説明するから……」

 ファミレスに入り、まずは師匠の方から説明をした。

「えっとこっちがさっき話していた従姉の梨花りか。絵を教えてくれた。俺の師匠です」

「どうも……」

「それでこっちが今交際している。幼馴染の姫です」

「どうも……」

 姫が挨拶すると師匠の顔が固まった。

「え、なじみちゃん?」

「……なじみちゃん?」

 師匠が首を傾げていた。

「ダイ、よく言ったじゃない。幼馴染に見てもらうために絵を上手くなりたいって」

「あぁ……」

 なんて言うか姫とお絵描きをしてるときに動物のリクエストが沢山あったりして。それで絵が上手かった師匠に絵の描き方を教わってたんだっけ……。

「んで、ダイはその幼馴染ちゃんと交際してるってわけ?」

「え、はい。そうです」

「なんだ。なじみちゃんと付き合ってるのか。それならガチで安心したわ。そっか、そっかなじみちゃんか」

 もう、一人でゲラゲラと笑っていた。

「それでダイは絵を今描いてるの? 更新したのは随分前みたいだけど」

「まあ、今は友達に頼まれてイラストを描いているって感じかな……」

 丸山と連絡を取りながら何とか全体のキャラは描けてあとは表情だ。

「師匠は絵を続けてるんですか?」

「ん? まあ、今も続けてるっていうか。さっき4話が描き終わったとこ」

「……え、4話?」

 ほけっとしてると師匠が頷いていた。

「ガチで今、連載の真っ最中よ。死ぬわホンマ」

「……マジで!? 凄いじゃん師匠。夢叶ったじゃん」

 姫が首を傾げいた。

「夢って?」

「師匠。漫画家になるのが夢だったんだよ」

「え、凄いね。大輔のお師匠さんって」

「いや、いや、まだまだよ。単行本すら出てないんだから先の話よ」

「……」

 でも、凄いことで俺はそんな夢に持って頑張る師匠に憧れて、イラストレーターの道を歩んでいたんだ。

 この人と話すために。それといつか姫に頑張ったよ。言われたくて……。

 でも、どんどん進んでいく師匠は本当あっという間だった。

 俺が何度も足踏みしてる間にまた一段上がっていってしまってるから追いつかない。

「……やっぱり勝てないな」

 本当に凄いと改めて思う。

 頼んでいた食べ物が届いた瞬間。師匠ががっついて食べ始めた。

「……おぉ。よく食えるね師匠」

「もう、食わないとやってられないわよ。今、従妹と暮らしてるけど。それでも栄養が足りないって感じだし。生活もその子に面倒かけちゃってるもの。私が恩返し出来るのは漫画を注いでその子に褒められてもらうだけなんだけど……」

「……え、待って師匠。いとこって俺以外にも居るの?」

 師匠が首を傾げいた。

「居るわよ。えっと……。確かユウキだっけな。下の名前が凛って言う子よ」

「「……え?」」

 聞いた声に俺と姫が固まった。

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