「ロスト先生!」

 別の日。丸山からメッセージが届き、丸山のアパートに向かった。

「ちーす丸山」

「よく来てくれた吉田。まあ中に入ってくれ」

 丸山に壁にはエロゲ―に出てくる制服を着た女子たちのポスターがびっしりと張られていた。

 前から見てるがスゲーな……。

 先客で後藤が先に来ていて座っていた。

「よう、吉田」

「おう」

 俺も座り。買ってきたビールを机の上に置いた。

「それで丸山。悩みってなんだ?」

 丸山も座りビールを開けて飲んでいた。

「……質問なんだが。俺の顔ってイケメンだよな?」

「……」

「……」

 後藤の手が止まったが俺の手も止まった。

 丸山がイケメンか? まあ普通だ。普通なんだが……。下心丸出しだからな……。

 一応フォローするか。

「ゲスの顔にならなければ、かな……」

 後藤も頷いた。

「犯罪顔にならなければ、だな……」

 すると丸山が突っ込んだ。

「お前ら、俺を何だと思ってやがる!!」

 なにって決まっているだろ……。

「「性欲モンスター」」

 綺麗に後藤と一緒にハモッた。

「泣くぞ……」

 これ以上からかったら本気で泣いてしまいそうだ。

「悪かったって、悩みって一体なんだ?」

「……俺、YouTubeになりたいんだ」

「――っ!?」

「――っ!?」

 なんて言った。……こいつがYouTubeになりたいって!?

「……丸山。悪い事は言わない。犯罪だけはやめておけ」

 後藤も頷いた。

「ああ、カメラの前で全裸踊り、フルチン無修正は危険すぎるぞ」

「全裸になって踊らねえよ! YouTubeをやりたいだけだって!」

「凄いと思うが顔出しとか怖くないか?」

 丸山も頷いていた。

「そうなんだよな……。顔出しは流石に怖いから画像を使って喋ろうかって」

「なるほど」

それなら顔出しとか大丈夫だな。

 後藤が提案してきた。

「だったら吉田が描いた絵をYouTubeに使うっていうのはどうだ?」

 俺の絵をYouTubeで?

「いやいや、流石に……他の人方が上手いだろ」

 昔、ピクシブで載せてはいたけどあまり人気がなかったからそこから身を引いてしまった。

 後藤が頭を下げた。

「頼む吉田! あと俺の曲をアップする絵も描いてくれ!」

「……え?」

 後藤が曲を?

「お前もなんかやるのか?」

 後藤は頷いた。

「ああ、俺もボカロ曲を作って投稿しようと思ってるんだ。けど、絵がなくって困ってるんだよ。だから頼む! ロスト先生!」

「ロスト先生!」

 後藤と丸山が頭を下げた。

「やめろ! 昔のネームを言うの!」

 黒歴史だからホントその名前だけはやめて。

「……わかった。考えてみるが下手でも文句言うなよ」

 後藤と丸山が目を輝かせた。

「「サンキュー!」」

 俺はビールを飲み干す。

「……作るのは懐かしいな」

 丸山が、頷いた。

「だな、昔だがよく三人集まって、自作のスゴロクやトランプを作って遊んでいたな」

「そうだな。デルタ△トン、チン、カン。再来だな」

 昔先生によくトンが丸山、チンが俺、カンが後藤と呼ばれていた。

 後藤もビールを一気に飲み干した。

「そうだな俺達が。この世界に風穴を開けてやろうぜ!」

「「「おー!」」」

 新たな缶ビールを開けて乾杯した。

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