「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします……」
残業を一時間やって帰宅していた。
「あぁ……。休み明けなのに腰がいてぇ……」
デスクで一日。プログラミングするのは結構キツイ……。
おまけに資料運びをしていたから、そのせいで腰に負担がかっているな……。
アパートに付き扉を開けた。
「ただいま……」
「大輔〜〜!」
姫の声が聞こえ抱きつかれた。
「うぉ!」
倒れないようにしっかりと踏み込む。
そのまま姫は顔を押し付けたまま呼吸をしていた。
「大輔の匂い……。うへへ」
グッと腰を締め付けられ満足した顔でこっちを見た。
ニコッて笑い。この笑顔で疲れが軽減される。
「ただいま」
「えへへ、おかえり。お風呂とラーメンどっちにする?」
「あー。お風呂を先に頂いてもいいか?」
お風呂で疲れを取ってからラーメンは格別にウマい……。
姫が離れて風呂場に向った。
「わかった。お風呂沸かしてるから待ってて」
「了解」
スーツをハンガーにかけパジャマになっていた。
風呂が沸き、風呂場に向かい湯船に浸かった。
「あー……。体にしみる」
やっぱりあったかい風呂に浸かると体の芯がほぐされていく。
「あぁぁぁぁ……」
風呂から出て、リビングに向かった。
「さっぱりした……」
姫は麺を茹でている。隣のコンロで野菜を炒めていた。
「もうすぐ出来るから待ってて」
「わかった」
冷蔵庫からキンキンに冷えたビールを一本、取り出しテーブルに座った。
プシュッ!
フルタブを開け一気に喉に流し込んでいく。
「あぁぁ! 風呂上がりはこれだな……」
「出来たよ」
姫がラーメンをお盆の方に乗せていた。
「手伝うよ」
姫の方に向かい、お盆を持ち上げる。
テーブルの方に姫と自分用に置いて、また席に座った。
「「いただきます」」
姫と手を合わせ、ラーメンをすする。
醤油味の麺が疲れた体を温めてくれている。もやしとピーマンという珍しいジャンルだがシャキシャキと歯ごたえがたまらない。
スープを一口……。
「あぁ……美味い」
この塩分がまた、たまらない!
そしてビールで流し込み、爽快さが喉を一層爽快にさせてくれる。
「美味い……。本当にありがとな姫。料理を作ってくれて」
「喜んでくれたなら良かった」
姫がニコッて笑う。
この笑顔がやっぱり好きだな……。
「可愛いな姫……」
「――っ!?」
姫が箸を落とした。
「大丈夫か?」
「あ、ごめん。そのビックリしちゃって……」
姫は箸を拾い。別のと変えて座り直した。
「その……大輔から言わないから……」
「なんて?」
「か、可愛いって……」
姫が顔を赤くしていた。
普段から言ってないか……。小さい頃から可愛いって思っていたけど口に出してないな。
ふと、大野の言葉が過った。
『話したいときに沢山話してみ。それでお互いの中が深まると思うぞ……』
そうだな。
「可愛いよ。小さい時からずっと好きだったし。こうして料理や家事をしてくれて本当にありがたい。本当にありがとう……」
姫が頷いた。
「……うん。私も彼女にしてくれて本当にありがとうね。ずっと側でこうしてたかった。料理を作って大輔のそばに居られて本当に嬉しい。恋人になれて手を繋いでデートや、その……き、キスもそうだけど。なにより結婚の約束をしてくれたことが本当に嬉しかったです……」
俺も同じ。手を繋いで結婚の約束とか本当に嬉しかった。
「俺もだよ。お返しとしたら足りなすぎるけど、姫に絵のことに関して、まだ教えきれてないけど。俺が教えられる範囲で精一杯。教えるから……」
姫が頷いた。
「ありがとう大輔。これからもよろしくね」
姫が俺の手を握った。
「こちらこそ、不束者ですがよろしくお願いします……」
頭を下げ、これからのこと、今までの事を改めて心から思った。
「えへへ……じゃあラーメン食べよっか」
「そうだな姫の作ってくれる料理だから食べて、栄養をつけないとな」
「もう、嬉しいこと言っちゃって……ありがとう」
二人してラーメンをすすっり、その晩は寝た。
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