「……そういえば制服を着てなかったな」

  連休がなくなってしまった次の日。仕事の朝がきた……。

「朝か……」

 目を覚まし体を持ち上げた。

 横の方から視線を感じ、振り向くとパジャマ姿にエプロンを着た姫が、こっちを見ていた。

「おはよう大輔。今日は早いんだね」

「おはよう姫。あぁ……眠い」

「じゃあ、ご飯の用意するから顔洗ってきて」

 姫はキッチンの方に歩いていった。

「了解」

 体を起こし洗面所に向かって、顔を洗い。歯磨きとひげを整える。

「剃り残してないよな」

 鏡で確認するが目立ったところはない。

「……そういえば制服を着てなかったな」

 いつも学校があるなら制服姿で起こしてくるけど。

 すると姫に呼ばれた。

「大輔。ご飯出来たよ」

 席に座り、バターで溶かされ、染み込んだ焼き食パンにかぶりつく。

「今日って休みなのか?」

 姫が頷く。

「うん。今日までがゴールデンウィーク最後だよ。明日は普通に学校があるから出て。明後日、土日だから友達と遊んでこようかなって」

「……そっか。休みがあって良かったな」

「大輔はお仕事で大変だけど頑張って。帰ったら膝枕とかしてあげるね」

 そうだな。姫に声援されたら1日、頑張れる気がするな。

「ありがとうな」

 姫はニコッと微笑んでいた。

「うん」

「……うわ、ヤバい! 時間が」

 もう出る時間が迫っていて、急いでトーストを口の中に放り込んで食べ終える。

 鞄を掴んで扉を掴み、姫に挨拶をした。

「それじゃあ、いってきます」

「いってらっしゃい。お仕事頑張って」

 姫に手を振りながら、俺は会社に向かうのだった。


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