「それで大輔は私の下着、干せる? にしし」

 旅行を終えた次の日。姫が洗濯カゴを抱えていた。

「姫、手伝うよ」

「ん? 嬉しいけど大輔干せる?」

「普通に洗濯を干すだけだろ」

 姫が来る前までは自分で干していたし。

「うーん」

 姫がなぜか首を傾げていた。

「手伝ってくれるのはありがたいけど。大輔、私のパンツ干せる?」

「え、パンツ?」

 俺の下着じゃなくて姫の?

 カゴの中からピンクの下着をほいっと取り出して見せてきた。

「ほい。これだよ」

「ぬあぁぁぁ! いきなり下着は出してくるなって!」

 物凄い見てはならない物の気がしてしまい。慌てて顔を逸らしてしまった。

「だって、干してくれるんだっていうんだから。先に見せておかないと」

「あぁぁぁぁ……」

 見れない……。

「あ、顔を真っ赤にしてる」

「し、下着だし。なんていうか、姫の下着だし!」

 姫が首を傾げていた。

「別に構わないよ大輔なら。大輔のパンツも洗ってるからお互い様」

「そ、そうなんだよな……」

 確かに初日から姫にはお世話になっていた。

「それで大輔は私の下着、干せる? にしし」

 カゴをグッと握りしめながら、悪い顔をしている。

「す、すいません。洗濯ものお願いします」

「はーい」

 姫はベランダをガラっと開けるとこっちを見ていた。

「やっぱり赤くなった大輔の顔。カワイイ」

「―――っ!!」

 チクショウ! 反論しようにも下着すら、まともに干せない男だから何ともいえない。

 姫がクスクスと笑っていた。

「ごめんて大輔。可愛いから、ついからかいすぎちゃった。夕飯は何が良いか決めておいて作ってあげるから」

「……ハンバーグ」

 頭の中でそれが思いついた。

「良いね。じゃあ明日の分とか買いたい物があるから、付き合ってくれない?」

「……了解」

 姫が洗濯物を干し終え、買い物は一緒に付き添っていった。 

 

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