「そっか大輔。自分の玉は上手く扱えるのに、他のだと無理なんだね」 

 下着を持って。男女の分かれ道で立っていた。

「じゃあ、一時間ぐらいで良いか?」

「うん、良いよ。またね大輔」

「おう」

 姫と別れて、更衣室に入った。下着と脱ぎ、タオルを持って体を洗う。

 そして大浴場で、ゆっくりと浸かった。

「あ~~! 生き返る……」

 絵の方に集中していた開放感が、体全体に伝わっていく。

 足を伸ばすと、血流が行き渡っていく感覚があった。

 座っていた分、少し負担をかけていたのかもしれない。

 まあ、会社のプレゼン説明にするとき他社まで歩いていったり。デスクにずっと座りぱなしの一日は本当にキツイからマシだが……。

「あ~~。溶ける……」

 気持ち良すぎる……。

 体がじわじわと温まっていく。本当に体がアイスだったら一瞬で溶けて流れていきそう。

「本当に気持ちいい……」

 他にもいろいろな風呂があった。

 サウナ。ジェットバス。水風呂。壺風呂。

「試しに色々とやってみよ!」

 そしてあっという間に一時間が過ぎてしまっていた。

「……やば! 姫が待ってるじゃん」

 慌てて脱衣所に戻り、急いで着替えて。外に出た。

「……はぁ!」

 姫がソファーに座っていてアイスを口の中に頬張っていた。

「おほぃよ」

「悪い、悪い。色々な物があったからつい、試したくなってしまって……」

 そして立ち上がって色々な場所を覗いてみると、ゲームセンターとか卓球台が置いてあった。

「あ! 卓球がある」

「本当だな。ゲームセンターまであるんだな」

「ねぇねぇ大輔。卓球やろ! 卓球!」

「……ゲームやろうか。対戦が出来るみたいだし」

 姫が首を顔を覗いて見てきた。

「ねえ大輔。卓球……」

「ゲーム……」

 すぐさま姫の顔を見ないようにゲーム方だけ見つめる。

「ねえ大輔。もしかして卓球が嫌なの?」

「……卓球どころか運動が無理。サッカーとかバトミントンすら出来ない」

 本当に小学生は運動は出来てたんだ。小学生までは。

「そっか大輔。自分の玉は上手く扱えるのに、他のだと無理なんだね」 

「……ちょっと姫さん。何を言ってるの?」

「ん? 大輔のあれだよ。小さい頃にお風呂で見た。きん――」

「よし、やろう卓球!」

 急いで姫を卓球台の方に引っ張っていく。

「じゃあ先に十点取った方が勝ちだからね」

「了解。負けたら一本奢りで」

 そして勝負がはじ―――。負けました。

 0対10で姫の圧勝です。はい……。

「大輔。本当に運動出来ないなんて。カワイイ♡」

「……」

 まあ、運動も出来ないんですが。

 それよりも姫が打ち返してくるたびに胸が、揺れまくって。そっちの方に集中してしましました。すいません……。

「……食事の方にでも行きましょう」

「なんで敬語になってるの?」

「凄すぎて……」

「ん?」

 姫が首を傾げながら食堂に向かい。


 食べ終えて、姫に胸ばかり見てしまったお詫びとして。ジュースを二本買って渡したのだった。

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