「……あ! そういえば会社にお土産買うの忘れてた」
数十分間、姫が立ってくれて、絵の練習の続きをしていた。
協力をしてくれたおかげでイメージをしていたのより格段に上がっていった。
「うん……いい感じだ」
自分の中で最高に思ってる仕上がりになっている。
「終わったの?」
「あぁ。下書きだけど」
「見せて!」
「はいよ。こんな感じだけど……」
ラフを仕上げた絵を姫に見せる。
「……おぉ、凄いね。なんていうか漫画のコマを見てる感じ」
「そんなに良かったのか?」
「うん。本当に今にでも動きそうな、そんな感じ」
「そう言ってくると嬉しいな……」
こう、褒められると描いて良かったなって思える。旅行が終わったら色鉛筆で塗ろうかな。
そう思いながら軽く背伸びをする。
「んんっ! 本当に助かったありがとう」
「良かった」
姫はニコッと笑っていた。
「……あ! そういえば会社にお土産買うの忘れてた」
姫が首を傾げていた。
「会社にお土産渡すの?」
「まあ一応。社会人だからな……」
毎年、どこかのイベントで誰かがお土産を買ってきては渡してるから申し訳ないんだよな……。
けど、後藤たちは大学生に入ったばかりだから誘いづらかったけど。こうして姫と一緒に旅行が出来て本当に楽しいな。
「……ありがとな姫」
「ん?」
姫は不思議そうに首を傾げていた。
「じゃあ、お土産買ってくるから。姫はここに居るか?」
「私も行く!」
「はいよ」
部屋を出て。お土産コナーに向かった。
「おぉ! 凄いよ大輔。抹茶系のお菓子が沢山」
抹茶のバームクーヘンや抹茶ショコラ、八つ橋など様々な物が売っていた。
「ホントだ。どれにしようか」
こう沢山あるから迷ってしまうな……。
色々と陳列された棚を見てみるが、やっぱり惹かれたのは名物の生八つ橋だ。
「生八つ橋。美味そうだな」
「ねぇ。美味しそう。賞味期限って大丈夫なの? 生八つ橋ってすぐに足が早くなるって聞いたけど」
「どれどれ……」
裏面を見てみるとまだ賞味期限は大丈夫だった。
「あぁ、大丈夫だ。明後日には持っていける……」
明日も入れて二日か。また、地獄の労働なんだろうな……。
そう思えてくるとリフレッシュ出来ている肩や背中に、どんどん重りが乗ってきて気が
すると姫が顔を覗いてきた。
「大丈夫、大輔?」
「大丈夫だ。この八つ橋、姫も家で食うか?」
「うん……。本当に大丈夫? ちょこっと顔色悪いよ」
あ……。まさか心配されるなんてな。今は姫と旅行なんだし明るく切り替えないとな。
「大丈夫だよ、ありがとな。心配してくれて」
俺は姫の頭を優しく撫でた。
「これ買ったらお風呂でも入るか」
すると姫の悪い顔になってる。
「また水着で一緒に入る?」
「……今日は別々でお願いします」
「ほーい。お金出そうか?」
「いや、大丈夫だよ。ありがとな」
また姫の頭を撫でて買い物を済ませた。
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