「あ、愛してます……」

 ホテルに戻って。姫に一生懸命にスケッチに向かって線を引いてる。

「大輔、大輔。これって箱に見える?」

 スケッチブックの方を持ち上げて、トントンと姫が指を指して叩いてきた。

「ん、どれどれ……」

 見てみると線が傾いていたけど箱に見える。

「うん、見えるな」

「やった!」

 姫は嬉しそうに、はしゃいでいる。

「大輔の方は何に描いてるの?」

「俺はさっき金閣寺で喋っていた。巫女のを描いてるよ」

「へーどれどれ……」

 姫が覗きにきた。

「まだ棒線だけど」

 下書きを始めたばかりで、木と巫女の配置を決めていた。

「まあ、これから巫女を描くんだけどな……」

「あぁそうだった。大輔に浴衣を見せるの忘れてたよ。ちょっと待ってて」

 姫は浴衣を持って、脱衣所の方に向かっていった。

 数十分後、扉の音が聞こえて姫が出てきた。

「じゃーん、どう? 浴衣に見える?」

 うん、昨日で見たときは可愛いなって思えていたけど。こうして見ると帯細く、腰に巻いている分、少しでも前屈みしたら胸元が見えそうだった。

 確か昨日見たときだと上になにか着ていたけど……。

「姫、上は良いのか?」

 姫が頷いていた。

「うん。外やロビーに出るわけじゃないから良いかなって」 

「なるほど……」

 すると、悪魔が囁いてきた。

『いいか本体の俺。胸元が見えそうになったら、真っ先に胸を見るのが男だぞ』

 すると天使が現れてきた。

『そうです。真っ先に見てしまっても仕方がありません。貴方は男なんですから』

 そして天使と悪魔が応援していた。

『『見れ、見れ、見れ!』』

 なぜ、天使と悪魔の意見が一緒なんだ……。

 一旦、俺の中の悪魔と天使を置いて、絵の事に集中しよう。

「う、うん。似合ってるよ」

「えへへ、ありがとう。あと猫耳もあるよ」

 姫の手元にネコミミが召喚された。

「あれ、いつも間に買ったんだ?」

「スケッチを探してる時に見つけたから、内緒で買ってきちゃった」

「おぉ、いつの間に……」

 姫が猫耳を装着して、手をクイッと曲げていた。

「どう? にゃーん」

 こっちに来ていて前屈みになりながら猫パンチが何度も炸裂して、腕に当てる。

「物凄く似合ってます……」

 ……やばい、やばい、やばい!

 前屈みになってることで、谷間がおっぱいが目の前ある。

 何度も凝視してしまう。

「……」

 姫が首を傾げてきた。

「なに大輔、そんなにばっかり見てきて触りたいの?」

「――っ!」

 出来れば触りたい……。

 すると悪魔と天使が再び現れてきた。

『『イエスって返事だ! イエス!』』

「い、良いんですか……」

 姫が頷いてる。

「良いに決まってるよ。大輔の事こと、愛してるから。いくら触っても大丈夫だよ」

「おぉ……」

 愛してる……こんな風に言われたら心臓が爆発しそう……。

 姫は俺の手を握ってきてそのまま自分の方に胸を置いた。

 あぁ……柔らかい……。

 2回目なのに手が吸い込まれてく。

 置いてるだけでも姫の体温が伝わってる。

 これ以上触ってると鼻血が出そう……。

 慌てて手を引っ込める。

「あ、ありがとう。あ、えっと……」

 こっちがあたふたしてると姫の顔も赤くなっていた。

「えへへ…………ねえ大輔。一つお願いしてもいい?」

「はい何でしょう!」

 もう大人の威厳ではない。緊張しすぎて声が裏返る。

「頭を撫でて欲しいな……」

 まあ、胸を触るよりかは落ち着くか……。

「いいよ。それならいくらでもしてあげるよ」

 姫の頭を撫でている。

「ありがとう姫。あ、愛してます……」

「――っ! えへへ……」

 撫でている手を姫が掴んできた。

「もうちょっと撫でてもらってもいい? 絵のポーズをするから」

「良いけど。手を掴みながらって疲れないか?」

「うん。これがいい」

 数分間撫で続けて、絵のポーズを再開する。

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