妄想「お勤めご苦労様。今日はごはんにする? それともお風呂にする?  それともわ・た・し?」

 眠ろうとしたけど鼓動がドクドクと鳴り響き、全く眠れない。

「スゥ――」

 一回、深呼吸をし、鼓動を落ち着かせる。

 え……俺、姫になんて言ったんだっけ?

 自分が言ったことを思い出してみる……。


 姫が本当に結婚するって言ったから、俺はそう現実に起こしたいと思っていた。 

「俺は姫を大事にするよ。これからも先も。約束の事は忘れてしまった男だけど、結婚してください」


 …………。


 姫の方に顔を向けて寝顔を見た。

 可愛いな……。

「………」

 えっと……俺は姫に結婚してくださいって……。

 自分の言葉でどんどんと心臓の鼓動音が激しさが増し、とんでもないこと言ってしまったことの重大さを、時間差で気づいてしまった。

 

 あぁぁあぁぁぁぁっっっっっ!


 姫に結婚しようって言ったぁぁぁぁ! 

 ベットの上でバタバタしてしまい、大人としての威厳がもうない。

 え、それで姫がよろしくお願いしますって手を握ってくれて……。

 もう婚約って事なのでは!? 

 ずっと姫が家にいるってことだよな。

 妄想のなかで結婚した後の生活が浮かんできた。


  いつもと変わらない仕事終わり満員電車に乗られながら帰宅する。

「ただいま……」

 トコトコと足音が聞こえ、ロングの長い髪の姫が妄想中だがエプロンを付けて出迎えてきた。

「お帰りなさいアナタ。今日は早かったのね」

「今日は定時で早く帰れたんだ」

「そうなの。お勤めご苦労様。今日はごはんにする? それともお風呂にする?

 それともわ・た・し?」

 そして俺は姫を抱きしめる。

「もちろん姫に決まっているだろ」

「きゃ! もう……で、ね……」

 

 あぁぁぁぁ! なんていう妄想をしてるんだ!

 その先の事を頭の中で想像してしまった……。


 あ、明日の事を考えていればに寝れるさ。明日は金閣寺と回って銀閣寺も一緒に…………。

 目を瞑って明日の予定を考えるのに必死でその日は眠った。

 

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