「大輔と同じ年だったら結婚出来たのにな……」
姫と一緒に食堂に行くと、刺身と天ぷらが食卓に出された。
「おお、天ぷらだね」
昼の時にうどんと一緒に天ぷらを頼んだが、まさか夜にまで出るとは思わなかった。
「悪い。同じものが被ってしまって……」
社会人の大人としてリサーチ不足は情けない……。
姫が首を横に振っていた。
「全然平気だよ。それにお昼に、一個しか食べれなかったから。この天ぷらも美味しそうだから嬉しいよ」
フォローしてくれて、本当にありがたい。お詫びとして何かあげたいな……。
「俺のから一品あげようか?」
「良いの?」
目を輝かせて唸っている。
「どれにしようかな。……大輔ってエビ好きだったりする?」
「エビ? 普通だよ」
こうやって聞いてくるってことは、エビが好きだったりするのかな?
「姫ってエビ好きなのか?」
その質問になんども頷いていた。
「うん、好き。あのプリっとした食感がたまらない」
姫の顔を見るとうっとりとした。
それならこのエビをあげよう。
俺はエビの天ぷらを姫の方に渡す。
「はいよ。どうぞ」
「ありがとう大輔。じゃあ、この葉っぱみたいと交換ってことで……」
そう言って姫は、シソの葉を俺の方に渡してきた。
「このシソの美味しいんだぞ」
「え、その葉っぱが美味しいの大輔……」
「もちろん」
俺も姫と同じぐらいまでは、シソは苦くって嫌いだったが。社会人の時に食べたら、意外と美味しく感じられたんだよな。
そう思い出しながら、シソの葉を刺身と一緒にしていただいた。
「うわー大人だ」
「まあな」
そう少しだけドヤ顔をしていると、姫が首を傾げてきた。
「大輔ってよくコーヒー飲んでいるじゃない?」
家でいつもインスタントコーヒーにお湯を注いでそれを飲んでいる。たまに牛乳と砂糖を入れて自作カフェオレも作ったりするが、姫がコーヒーを入れてくれたりしてくれる。
「まあな。姫もコーヒーデビューをするか?」
「んー……あの苦い感じのが無理だから、今は良いかな……。大輔はコーヒーっていくつになってから飲めたの?」
「確か……高一ぐらいかな。炭酸と間違えて買ったしまったから、仕方なく飲んでみたら意外と美味しかった」
「それで飲めるのって凄いね」
「美味いから飲んでいるかな。まあ、姫もいつかは飲める日が来るかもしれないな」
「ねー大輔が今、お酒飲んでいるみたいに、飲めるかもしれないね」
「まあな」
そう言って、ビールをグイっと飲みながら刺身と食う。これが本当に合う。
「あーこれこれ……」
喜びに浸っていると、姫がまたこっちを見ていた。
「ねえ大輔。お酒一口だけ飲んでみたい」
「これはダメだ。未成年は飲ませることは出来ないって」
「ちぇー」
少し唇を尖がらせていた。
「大輔と同じ年だったら結婚出来たのにな……」
「――っ! ゴホゴホ!」
姫がいきなり結婚いうから鼻に痛みが走り、奥が痛い。
「急にどうした!?」
「だって大輔と同じ年だったら、お酒とか飲めるのになって思ったから」
「姫が二十歳になったら、お酒が飲めるんだから、それまで我慢しような」
そしたら一緒に飲んで喋れるし。
「ぷぅ……」
ご機嫌斜めになりながら、エビの天ぷらをかぶりついていた。
それにしても結婚か……。
こうして色々として貰ってるが、まさか、彼女が出来るとは思わなかったな。それも初恋のなんて本当に幸せ過ぎるな……。
「結婚か……」
そう呟くと姫も頷いていた。
「ね、小さい頃に結婚の約束をしたもんね」
……え? 姫と小さい頃に約束?
「したっけ? そんな約束」
「え、覚えてないの? 紙に書いて、将来結婚するって言ってたよ。その紙も家の方にあるし」
覚えてない……。
「マジか……」
姫が頷いていた。
「マジだよ」
もう一回、本当にあるか確かめたい。
「……Really?」
「だからホントだよ。それ見せたら結婚してくれる? あ、もし結婚したら子供は男の子と女の子二人ぐらいがいいな。子供が出来たら、どんな感じになるんだろうね」
「俺が思うに、わんぱくな子が出来ると思う」
子供が出来たら、姫と似ていろいろと凄そうな気がするな……。
姫がクネクネと動いていた。
「もう! 子供が出来るなんて……それじゃあ本当に結婚する?」
何度も言うが、前から好きだったんだ。こうして彼女として物凄く嬉しい。が、それは今ではなく、もう少し先だと考えている。
「したいが、姫の高校生活を無事に終えてからでも良いか?」
「え……う、うん」
姫が小さく頷いている。これだけは言っていきたい。
「俺は姫を大事にするよ。これからも先も。約束の事は忘れてしまった男だけど、俺と結婚してください」
「――っ! え? あ、えっと……あー!」
姫があたふたしていて、顔から煙が凄い出ている。
「……」
姫が箸を置いて手を差し伸べてきた。
「その……よ、よろしくお願い、します……」
俺は姫の手を握りしめる。
そこからは姫の会話が途切れ、途切れになっていて、食事は喋らなくなってしまった。
俺はコーラを買い姫に渡す。
「はい、マッサージをしてくれた分」
「あ、ありが、とう……」
部屋に戻り部屋で過ごすが、本当に会話がなかい。
「あ、えっと大輔。これから何にしましょうか?」
「どうしようか……」
姫が変な口調でなってしまっているから、どうしたもんか……。
遊びとかで、やっていれば普通に会話が戻るんじゃないか?
「ゲームとか対戦しないか対戦やつ」
「う、うんしようゲーム」
姫は頷いて持ってきた携帯ゲーム機を取り出してきた。俺もゲーム機を起動し対戦を始める。
……結果は俺の惨敗だった。
「やったね。弱いね」
「最近やっていないからな……」
ゲームなんて触れたの何か月振りだろう?
「大輔の場合だと接近に持ち込むよね。いつも」
「そうか?」
あんまり自分のプレイは意識したことないが……。
「そうだよ。投げとか使ってみたら?」
「投げか……」
姫が寄ってきてゲームの指示を教えてきた。
「……そうそう。そこから掴んで投げ飛ばす」
「――うりゃ!」
姫に言われた通りにキャラを投げてそこから重たい一撃を入れると初めて姫に勝てた。
「やっと勝てた……」
「おお! おめでとう大輔。じゃあここから本番だよ」
「おぉ、次も勝ってみせる」
キャラクターを選んで戦い始める。
ん? そういえば姫ってもう普通に喋れてるな……。
横顔をみると、姫はニヤッと笑っていた。
「よそ見してる場合じゃないよ大輔!」
そこから姫のラッシュが入り、必殺技のエフェクト映像が流れ、姫が勝利した。
「いえーい。 にしし」
ブイサインをしている。
「やっぱり強すぎるな。もう遅いし寝ようか」
「ほーい」
ベットに入り眠りについた……。
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