「あーー! 水着でお風呂って違和感あるね」

 風呂場を抜けたその先には子供連れやカップルなどが水着を着て風呂に入ったりしていた。

 周りを見渡しながら歩くが姫らしき姿が見当たらない。

「お待たせ大輔」

 そう言って俺の片側をポンッと姫が叩いた。

「おぅ――」

 振り返った瞬間、胸谷間が目に飛び込んできた。

「うお!」

 今、姫が着ている水色のビキニ色がマッチしていて本当に似合っていて可愛い。

 姫は首を傾げていたが腕で胸を隠していた。

「どうかなこの水着?」

 そう特に注目しても良いというポイントはお腹だ。張りがあってそれでいて少し筋肉質とくびれがまさに美。その一言を表す以外、何を表すというだろうか。

「物凄く似合っている……」

 まあ、幸いここは水着を見ても大丈夫なところだし平気だよな……。

 そう思っていたら悪魔が呟いてきた。

「そうだ。堂々と見ても構わないさ」

 天使も頷いている。

「本人が同意の上で見ても良いといいなら男らしくあるべきです」

 だ、だよな……。

 チラっと天使と悪魔の甘い囁きに耳を傾けながら、また姫のお腹を見る。

 やっぱりあのお腹に触りたいな……。

「えへへありがとう。大輔もカッコいいよ」

 どんどんと顔が赤くなっていく。

「じゃあ体でも洗おう」

 そう言って姫は先頭を歩いた瞬間、足を滑らせてしまった。

「あ……」

 急いで姫の腕を掴み上げて自分の方に体を引き寄せる。

「大丈夫か」

「え、う、うん……」

 引き寄せたから右手の方には姫のお腹を触ってしまっていたのが瞬間的に分かった。

 この感触、本当に良い。何度も触っていたい。

 姫が俺の肩を掴んですぐに離れた。

「あ、ありがとう助けてくれて……」

 そう言って体を洗いに行ってしまった。

 まだ手の温もりには姫の柔らかいお腹の感触が残っている。

 もう少し触りたかったな……。

「体洗うか……」

 風呂椅子座り体を洗い流す。

 湯船で浸かっている姫の隣に向かい腰を下ろし壁の方に寄りかかった。

 姫が軽く背伸びをしていた。

「あーー! 水着でお風呂って違和感あるね」

「確かに」

 姫の言うように水着を着ながら温泉に入ると違和感があった。

 それにしても本当に良い湯だな。

「温まるな……」

「だね……」

 時計の方を見るとゆっくりと針が進んでいた。

 仕事とか色々大変だったがたまにはこんなゆっくりも悪くないな………。

「もう出ようかな」

 そう言って姫が立ちあがった。

「大輔はゆっくりしてていいよ」

「いや、俺も大丈夫だよ」

「じゃあ、着替えてくるから待っててね」

「ああ」

 脱衣所に向かい水着を返却して出ると、姫が浴衣に着替えて椅子に腰かけながら子供みたく足をぶらぶらとバタつかせていた。

「お待たせ」

「ほーい」

 椅子から降りてこっちに近づいてくるが湯船に浸かっていたせいなのか頬が赤い。

 可愛い……。

 姫が首を傾げていた。

「どうしたの?」

「いや、その……似合ってるなって」

「っ! えへへありがとう」

 そう彼女は微笑んでいた。

 部屋に戻って俺はベットにダイブする。

「あーこのフワフワたまらんな……」

 姫が俺の腰に手を当ててきた。

「腰の方。揉んであげようか?」

「良いよ朝早かったし」

「大丈夫だよ。さっきのお風呂で回復したから」

 姫がマッサージしてくれるっていうが……。

「本当に良いのか?」

「もちろん。このあとご飯だから、その後で飲み物奢って貰おうかなって」

 まあ、飲み物なら良いかな。 

「いいぞ。いくらでも構わないよ」

「やったー!」

 嬉しそうに喜びながら前回揉んだ腰のところをマッサージしてくれてた。

「どう、痛くない?」

「ああ、大丈夫。凄く気持ちがいい……」

 マッサージは数分で終わった。

「ほいと。どうかな」

 姫が首を傾げていた。

「おお、ありがとな姫」

 お礼として姫の頭を優しく撫でた。

「えへへ……」

 撫でていると姫が手を掴んできて猫が甘えてくるみたくふみふみとしてきた。

「本当に大輔の手ってゴツゴツしているから、男らしいくって好きだな」

「ちょっ!」

 いきなり好きって……。

 不意打ちを食らって顔が真っ赤になっているのがわかった。

「あ、顔が赤くなった」

 ニヤニヤと姫が笑っている。

 こうしてふざけているがたまに気を使ってくれるところは優しくって甘えさせてくれるんだよな姫って。

「俺も姫がこうして気遣いをしてくれるから好きだよ」

「――っ!」

 姫の方も顔を赤くなっている。


 カプッ!


 そして俺の腕を噛みついてきた。

「そこの姫ネコさん。あまり噛まないでくれませんか?」

 痛くはないが見ているこっちが恥ずかしい……。

 そう叱ると姫は立ち上がり俺の手を掴んで引っ張ってきた。

「ほ、ほにゃ。ご飯に行くにょ!」

 噛み噛みで真っ赤になってるからホントに可愛いな。

「はいよ」

 俺も立ち上がり姫の手を繋ぎながら食堂の方に向かって行った。


 

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