「大輔の水着姿見たい」

「水着でお風呂?」

 そう聞くと姫が頷いていた。

「ここのお風呂って水着を着て一緒に温泉に入れるんだって」

「そもそも水着は俺は持ってないぞ」

「だーいじょうぶだって。この部屋に向かっている途中で聞いたんだけど。風呂場の方に行けばレンタルしてくれるって言ってたよ」

「そうなのか」

 よくは調べてなかったがレンタルもしてるんだな。

「普通のお風呂ってなんかつまらないし」

 そういうと姫がベットから降りて抱きついてきた。

「だから一緒に入ろ」

 胸! 胸の圧迫がやっぱりすごい!

「姫、離れてくれ一旦着替えを持ってくる」

「着替え? 大輔は浴衣は着ないの?」

 確か下のロビーの方で浴衣の貸し出しもやっていた気がする。

 俺は浴衣祭りとかでも甚平じんべいを着たこと一度もなく。背伸びをしてる様な気がして躊躇ためらってしまう。

「似合ってるかわからないし、俺は着なくて良いよ」

 姫が首を傾げていた。

「大輔だったら大丈夫だと思うよ」

「……そうか? 姫の方が似合っているよ」

 彼女の頬が赤くリンゴみたくなっている。

「そう言ってくれるなんてありがとう。せっかくだから大輔も浴衣着てみない?」

 提案してくれるがやっぱり自信がない。

「ん……」

 すると姫が何かに気づいた様で俺から離れた。

「もしかして大輔のチンコがデカく飛び出しちゃうから。水着も浴衣も着たくないの?」

「本当になに言っているんだよ!?」

 思わず叫んでしまった……。

「あ、もしかして小さかったままだった? 大丈夫だよ。同棲の時も言ったけど私は気にしないから、大輔のがどんなんでも私は受け入れるから」

「だから普通のサイズだって! ああ、体が熱い……」

 さっきのツッコミで変な汗が出てきた。

「それじゃあ風呂には入りますか?」

「ああ、入るか……」

 出来ればこの汗を洗い流したい。

「水着は? 大輔の水着姿見たい」

 姫がニヤニヤとしている。

「着るよ……」

「やつた! 大輔と一緒にお風呂」

 本当に子供っぽく無邪気にはしゃいでいる。まあそこが可愛いんだが。

 下着だけを持ち一階に降りてスタッフに浴衣のレンタルして脱衣所に向かった。

「大輔。ちゃんと来てね」

「もちろん行くよ」

 まあ、姫の水着姿をおがめる訳だし。

 脱衣所に入り別のスタッフに水着を借りてその場で着替て落ちない様にしっかりと結ぶ。

 風呂場を少し歩くと水着着用と書かれた看板を目にした。

 ゴクリ……。

 唾を飲み込んで扉に手をかける。

「いくか……」

 覚悟を決めて大輔は扉を開けるのだった。

 

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