こいつら酔っていてまともな判断が出来てないな……

 後藤が持ってきてくれた弁当を食べながら説明していた。 

 ビールを後藤が一個開けグイっと飲んでいる。

「なるほどな、吉田の生活が大変で……」

 姫が頷く。

「はい。来てみたら仕事で辛いと聞いたので。それなら一緒に住もうと。あと大輔のっことが好きなので」

 ニコッと笑うが人前で好きって言われのが、こんなにも恥かしいなんて……。

「そうだよな。来るたび掃除の手伝いだからな。まさかこんな子が彼女とは」

 丸山が焼き鳥を食いながら笑っていた。

「だよな。吉田が彼女なんて……。ところでこいつのどこが良いんだ?」

 丸山が俺の方に指をむけていると姫の顔が赤くなっていった。

「昔から色々と勉強を教えてもらったり。遊んでくれたお兄ちゃんみたいな存在かな」

 すると丸山と後藤は頷いていた。

「なるほど。なるほど」

「それは良い話で……」

 後藤と丸山が後ろを振り返っていた。

「向こうの山の方、人が入って来なかったよな。そこでってしまうか?」

「そいつは賛成だ……。あとは吉田を強引に誘い込めば完璧だな」

 こいつら酔っていてまともな判断が出来てないな……。

 後藤が肩を掴んできた。

「なあ吉田くん。俺達とこの後散歩に行かないか」

「おお、そうだな行こうぜ吉田くん」

 なぜか不敵な笑みを浮かべていると丸山も肩を掴んでくる。

「嫌だ……。さっきの会話を聞いてなぜYESと答えられると思ってんだ?」

 すると丸山と後藤は血の涙を流していた。

「俺達、将来誰とも付き合わないって約束した中だろ!」

「そうだ! 高校時代にエロゲ―をシェアしたなかだろう!」

 姫が首を傾げ服を振ってきた。

「大輔? えろげーてなに?」

「――っ!」

 まずい……姫にエロいゲームを高校生にしていたってことを知れたら流石に軽蔑されてしまう……。

「あー……いつか教えるよ。それより二人とも今期のアニメってなんかあるか? 俺、最近見てないから教えてくれないか?」

 無理やり話を逸らす。まあ、いつも俺の部屋に来てはアニメの雑談をしている。

「なに、吉田。アニメ見てないのか? 今回は豊作ほうさくばかりだぞ。な?」

 後藤が丸山に顔を向けると頷いていた。

「あぁ。二期や新アニメがやってるぜ。これがマジで神作画でシナリオもしっかりとしているからおススメだぞ」

 後藤が頷く。

「そうそう。特に生徒会長でハイスペックな彼女と普通の男子が恋する奴! 良いよな」

「なー俺達もあんな青春送りたかったぜ!」

 姫が首を傾げていた。

「丸山さんたちの高校生活ってどんな感じだったんですか? 参考までに聞かせてください」

「あぁ。姫ちゃんは今って高校生なんだっけ?」

「はい。そうです」

 姫が元気よく頷く。

「俺達の高校生か。懐かしいな」

「そうだな。今は二十歳になっとは言え。まだ学生な気持ちがあるって俺達大学生だから変わらないけどな」

 そうだな。二人とも彼女を作るっと言って大学に入っていった。俺はお金が欲しくて就職を選んだ。

「本当に懐かしいな。三人で一緒に居てはいつもアニメの話しとかゲームを持ち込んで遊んでいたもんな」

「だな。漫画とかもよく持ち込んでいたよな」

「そうそう、それで吉田の反応が面白かったんだよな」

「なんで俺!?」

 すると後藤と丸山はニヤッと笑っていた。

「本当に女子と喋っているとき赤くなって逃げるからよく、女子がからかってきていたんだよな」

「へーそうなんだ大輔」

 すると姫がジッと睨んでいた。

「いや、向こうがからかってきているだけで俺は姫の事が好きだったから興味ないし!」

 すると姫は顔を赤くなっていった。

「やだ! 大輔!」

「「ケッ!」」

 丸山と後藤は席から立ちあがっていった。

「チクショウ吉田だけ彼女作りやがって! これからの大学で絶対彼女作ってやるからな!」

「そうだ! 行こうぜ後藤」

 二人が立ち去ろうとしたが振り返った。

「このあとアニメのリスト送るから絶対に見ろよ。スゲー面白いから!」

「ああ、ありがとな」

 そして二人して扉を向かう時小さな声が聴こえてきた。

「吉田。元気になって良かったな」

「あぁ」

 そう小さな声が聴こえてきて扉を閉める音が聞こえた。

「全く……」

 こうして嫌味を言いつつも俺のことを心配してくれたなんて。ありがたい話だ。

「悪かったな。騒がしくて」

 すると姫は首を振った。

「ううん。大輔の昔話や面白そうな友達が居て良かったと思った」

 姫が床に寝っ転がっていった。

「買い物するの忘れちゃった」

「ん? だったら買い物に付き合おうか?」

「いいの?」

「もちろんだよ……」

 こうして後藤と丸山と楽しく喋れて良かった。

 今思えばこうして様子を見に来てくれてもあまり話が出来なかった。

 これも姫がそばに居てくれたからだ。騒がしいがお世話をしてて本当に助かっている。

「ありがとな姫」

 すると姫は首を傾げていた。

「?」

 ポンポンと頭を触り酒のおかげか。雑談できリラックスが出来たおかげかもしれず、その日はぐっすり眠った。



 

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