「もしかして新婚旅行!?」

 次の休みの日。姫と一緒に食材の買い出しを付いて回って買い物カートを押していた。

 カートの中には野菜とか肉が入ってる。

「今晩はなにか予定でも決まっているのか?」

 姫が頷く。

「カレーにしようって思ってるよ」

「お、良いなカレー」

 一晩に寝かしつけたカレーって本当に美味しいよな……。

「他の家とかだと具材の材料とか違うよな」

「ね。私の友達とかは普通の材料とコーンを細かくして煮込むって人がクラスにいたよ」

「へー細かく」

 そんな細かくしたら具材の食感とかなくて楽しめなさそうだけど。

「姫の家はどうなんだ?」

 うーんと姫は首を傾げていた。

「私の家だと甘口と中辛のルーを一個づつ使って煮込むよ」

「ほー。珍しい」

 姫がこっちの顔を覗いてきた。

「大輔の家は?」

「俺は中辛だけを入れて煮込むって感じだな」

「中辛か……」

 手をあごの方を掴んでうなっていた。

「挑戦してみるか?」

「うん。食べてみようっと」

 カレールーが売っている所に向かい。中辛と書かれたパッケージを掴んでカゴに入れレジに向かってお金を払った。

 袋を材料に入れている最中にチラシに目が入っていった。

 なになに? ゆっくりと湯に浸かってみませんか? 

 温泉のポスターか……。

 イメージの中で湯に浸かっている自分の姿を思い浮かべる。

 こう、広々としたところに入って仕事のことなんか忘れてのんびりとしたいな……。

「いいかも知れないな……」

「何が?」

 姫が覗いてきた。

「あぁ、このポスターを見て温泉に行くのも良いなって」

「温泉?」

 姫もポスターを見ているが首を傾げていた。

「温泉って楽しいの?」

「まあな。お湯に入ってのんびりとするのも楽しいぞ」

「へー」

 あまり乗り気ではなさそうだ。

 全部袋に詰め終わりアパートに戻っていった。

 姫に勉強と絵を少し見ながら晩御飯になりカレーがテーブルの上に置かれていた。

「いただきます」

 二人して手を合わせ一口すくい食べる。

 うん。この辛さと良い。ジャガイモも食べやすい。

「美味い」

 すると姫は舌を出しながら少し涙目になっていた。

「辛い……!」

「あまり無理しなくて大丈夫だぞ。俺が食べるから」

 姫が首を振っていた。

「大丈夫……辛いけど。そこまでじゃないから」

 水を何度も飲みながら食べ終わり一休みしていた。

 後藤に勧められたアニメを見ているとヒロインの子が映画に行ってデートしていた。

 デートか……。そういえば姫とデートなんて買い物だけで済ましちゃっているな……。

 そうだ、さっき温泉の話しをしていたけど本当に温泉に連れていくか。

「なあ姫。一緒に温泉に行かないか?」

「……え!?」

 姫はこっちの顔を見て驚いていた。

「こうゆうデートみたいのしたことなくて、手伝って貰ってばかりだからさ。良かったらだけど」

 どんどん姫の顔が赤くなっていた。

「え!? え!? もしかして二人だけで泊まり込み」

「まあ、そうだけど……」

 すると顔を手で隠していた。

「もしかして新婚旅行!?」

「ぐはぁ!」

 思わず吹いてしまった。

「違うって普通に姫にいつも世話になっている。その礼だよ」

「えー新婚旅行じゃないの?」

 俺は深呼吸をする。

「普通の旅行だよ。それで行くか?」

 姫は頷いていた。

「うん。行きたい! そっか大輔と一緒のお風呂に入るのか」

「普通に男女別だからな……」

 そう言って姫は口を尖がらせていた。

「えー。でも大輔と旅行に行けるのは楽しみだな」

「そうだな。俺も姫と行けるのが楽しみだよ」

 これから準備しないとだな……。

 

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