「大輔の体。硬いんだね」

 次の休みの日。姫は絵を描いて頭を抱えていた。

「ん〜。どうすれば良いんだろう……」

「どれどれ……」

 見てみるが前より線が黒く塗り潰されていて何のキャラかわからないが何か迷ってるかもしれない。

「なにかわからない所があるのか?」

「うん。男の子と女の子を一緒にいるところを描こうとしてるんだけど。線を描こうとすると難しくて」

 スマホで見せてきて男の子が女の子と一緒に戦っているシーンだった。

「別に難しく描こうとしなくて良いんじゃないか?」

「そうなんだけど。どう描いたらいいのかわからないんだよね。こう、人の動き? って言うのかな。体がどんな風になっているのかわからないんだよね」

「あぁ確かに……」

 知識があるか無いかだけでも違ってくるものだ。大体の人は人の関節部分がどう動かしていいのか分からず首が変な方向に曲がってしまったり、と昔の俺もそうだったな。

「 なんか具体的な感じないの?」

「女性の体はスラッとしていて男性は凹凸おうとつ、筋肉をイメージして描いてみたらいいかもしれないな」 

「ん〜〜?」

 姫は首を傾げているがわからなかったようだった。

「まあ、参考資料とか見れば……」

 本を渡そうとすると姫が服を引っ張ってきた。

「わからないよ。本じゃなくて大輔の体を触らせて」

 なにを言ってんだこの子……。

「本があるから……」

 首を振っていた。

「大輔の体を触りたい。そっちの方がわかりやすいもん」

「わかりやすいって……。俺、筋肉はあまりついて無いって」

「そうなの? しっかりとしてるから運動とか高校生の時してたんじゃない?」

「全く。いつも男友達とかでアニメの話ししてたから運動なんてしてないよ」

「うそ?」

 腕とか腹をポンポンと叩いていた。

「大輔の体。硬いんだね」

「まあ、一応は男だからな」

「へー」

 姫がズボンに手をかけていた。

「おい! なにしてるんだ!」

「この際だから大輔のチンチン見ようと思って」

「なんでだよ!」

 ズボンを掴んで下ろさないように必死に死守する。

「大輔が男っていう証拠があるか確認を」

「あるわ!確認しなくていいから……」

「え〜? あ、もしかして小さいの? 大丈夫気にしなくても」

 ニヤニヤとしながら、ズボンと俺の顔を交互に見るのはやめろ。

「一般的だよ!」

 多分だけど……。

「じゃあせめて大輔の体を触らせて。そしたらイメージが付くかもしれない。ほら、自分が思ってたイメージと実際肌で触れてみると違ってくるっていうし」

「あぁ、なるほど……」

 確かにこないだ姫がお腹や胸を触らせて貰った時はこんな風になってるんだと知ることが出来た。特にお腹は俺の中で180度回転したと言ってもいいほどイメージが一気に膨れ上がった。

「それじゃあ。もう少しだけ体を触ってもいい?」

「……いいけど。ズボンは下ろすなよ」

「へーい了解」

 姫は真剣の顔つきに変わって絵を描いている。

 こんな姿を見せられると自分も絵を描きたいと思う。

「俺も描くかな……」

 大輔も一緒になってその日は絵を描いていた。

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