俺の厨二病は取り返しがつかない

鉄化タカツ

超イケメン+厨二病+変態+キンタ〇+居候=?

















 現代の最強闇の魔術師こと新堂新しんどうあらた。この物語はその新堂新の怒涛の変態厨二病が取り返しがつかなくなる物語である。



 新は目を覚ました。どこで覚ましたと言うともちろん自分の部屋であるが、そこには一人の背が高い少女が立っていた。茶色のロングのポニーテール靡かせ、整った顔で新を見つめている。

 その美少女に対し、毎朝、目を覚ました新が口にする台詞は決まっている。



「おはよう性奴隷――目覚ましフェラご苦労」



 当然、回し蹴りが飛び出し、新たの体は壁に叩きつけられるのであった。






 新堂新は完璧な存在である。どこまで完璧であるかと言うとその容姿は某J事務所に所属すればぶっちぎりで№1になれると言われる。これまで告白された回数は数知れない。今日から高校二年生であるが軽く500回は超えている。さらに学業及びスポーツにおいても他の追随を許さない成績を叩きだしており、まさに絵に描いた様な完璧超人超美少年なのだ。

 ただ、彼には致命的な欠点があった。それは――



「痛いじゃないか性奴隷よ。お前はそれでも我が奴隷か?」



「黙れカス。さっさと朝飯食えよ変態野郎」



 幼馴染の美少女に急かされる形で、味噌汁を啜る新。そして一言。



「ほう――隠し味はお前の愛●か?」



「血の味にしたいのかな?」



「いや・・・・・・全く性奴隷は素直ではないな。夜はあんなに素直なのに!」



「マジで血の味にしたいようね」




 圧倒的中二病であることだ。それはもう酷い物だ。どれだけ酷いかと言うと酷い下ネタを易々と取り入れ、それを平気で女子の前で言うのである。そう〝変態中二病〟である。



「いい天気だ。こういう日は青●に限るな性奴隷よ」



 朝の自宅の玄関先で易々と放送禁止用語を口にする新。それに対して性奴隷と勝手に名付けられた幼馴染、滝川静葉たきがわしずははにっこり笑って握り拳を新たに見せる。彼のお隣に住む空手で有名な美少女幼馴染だ。



「朝から変死体が見つかるわね今日」



「はぁ・・・・・・どんだけツンデレなんだ俺の性奴隷は!」



「はいはいさっさと学校行くわよ変態。今日も女子達の夢を叩き潰すんでしょ?」



「わかっているな性奴隷よ。それでこそ我が性の相棒だ!」



「――はぁ。褒めてんのそれ?」



「当たり前だ! あそこを濡らしていいぞ性奴隷! 濡れるっ!」



 新の顔面に静葉の拳がヒットした。











「きゃーーーー! 新堂先輩よぉ!」



 私立天合学園は元女子高の高校である。今日から新学期、校門には多数の生徒が登校している。その中で一際目立つ集団がある。それは「新堂新親衛隊」だ。多数の罵れ万歳ドM系女子の集団である。もちろんお目当ては変態中二病の新堂新である。新は静葉と共に登校してきた。親衛隊を見ると新は飛び出した。



「ふっ! 愚かなるメス豚どもよ! 今日も一段とブーブーと喚いているな! 無様極まりないっ! 死に散れぇぇ!!」



 その新の言葉(無駄にかっこいいポーズ付き)で親衛隊の数人が卒倒した。鼻血を出している。



「こら! そこの新堂新! また貴様か!」



 一人の少女の声に新は目線を向ける。そこには三つ編みが特徴的な眼鏡少女。天童学園高等部生徒会長の光谷鈴子みつたにすずこが他数名の生徒会メンバーと共にいた。



「ほぅ・・・・・・これはこれは偉大なる悪の堕天使どの。今日も朝から悪のエロスをまき散らしているのか?」



「誰が堕天使だ変態! 今日こそはその言動を改めてもらうぞ!」



「ふんっ! 変態と言う方が変態だ! 生徒会長であろう者が気安く変態言うな変態!」



「私の性癖は異常ではないわ変態! と言うか朝から何回も変態連呼させるな!」



 鈴子は赤面している。確かに朝から変態を連呼する生徒会長はどうかと思う。



「お前のせいだろ新堂新! お前ののせいで――私」



「ほほぅ・・・・・・生徒会長であろう者が他者に責任をなすり付けるとはな! 見損なったわ堕天使系変態生徒会長!」



「だから変態じゃないってば!」



「光谷会長。もう辞めた方がいいと思いますよ」



 静葉が呆れた顔で言う。鈴子は今にも泣きそうな顔だ。



「くそぉ~新学期こそ、その下品な言動をやめさせようと思ったのに!」



 悔しがる生徒会長を横に校門をドヤ顔で通る主人公。どうみても主人公がやっていい事ではないと思うが、残念ながら彼が主人公である。

 


「やはりあの程度の堕天使では我が偉大なる精力を感じ取り哀な身になるしかないようなだな性奴隷」



「そうだね。うん、すごい、すごい」



 静葉は棒読みで答えた。





 教室に到着した新と静葉。また二人は同じクラスであった。2年C組である。教室に到着するや否や一人の男子生徒が新の前に現れた。



「おはようございます我が主よ。私めもまた同じ組となりました」



「おお、我が偉大なる部下勝也かつやよ。またしても我が配下になったか!?」



「これは運命であります我が主! なんぴとたりとも誰にも変える事ができない不変の力で我々は繋がっているのです!」



 そう語るのは新の仲間にして同じ厨二病仲間である橘勝也たちばなかつやである。背が低く幼い顔つきであるが、新達と同級生であり、何よりこの私立天合学園理事長の息子である。残念だ。



「よく言うわね橘君。どうせ親に頼みこんだんでしょ?」



「なっなんだと! まさか貴様が我が生みの親を操りこの様な形を作ったとでも言うのか性奴隷!? 我が生みの片親はJKが好きで理事長をやってる! 性奴隷のJKに攻められたら喜んで改竄するだろう! 間違いないな!」



「今とんでもない事言ったわよね橘君。あなたのお父さん保護者会から理事長を解任させられるんじゃないの?」



「しまった言い過ぎだ! これは新軍団内のの機密と言う事で内密だぞ!」



「安心しろ勝也よ。性奴隷は今晩気持ちよく忘れさせてやるから!」



 また拳が新にヒットした。教室の後ろの黒板に頭を埋めてしまう新。



「我が主ぃいいいいい!」



「おはよう静葉!」



「おはよう里香りか



 男バカ二人をよそに教室に入って来た女子生徒に挨拶する静葉。教室に入ってきた女子生徒の名は佐藤里香さとうりか。静葉の仲良しの友達だ。どこにでもいそうな容姿の女子高生だ。



「また同じクラスだね。それにしても新学期になっても相変わらずだね新君は」



「直るわけないわよこいつの厨二病は」



「まあ、これさえなければ本当完璧なのにね」



「そっそうね・・・・」



 静葉はどうして新がこういう変態厨二病になってしまったかを知っている。幼馴染としてお隣として彼女は小さい頃の新から今日に至る新の変化を鮮明に記憶しているのだ。

 チャイムが鳴る。



「はいはい~席に座ってね皆さん~」



 教室に入って来た一人の女性教師。どこかのキャバ嬢を思わせるその格好は教師のしていい格好とは思えないが許されている。なぜならこの理事長の姪っ子。つまり勝也の従姉妹で、学園の権力を一部掌握しているからだ。本当は親戚を頼りに無理やりここに就職したのだが。



「おはよう皆! 今日から2年だね。ところで私っていつ結婚できると思う?」



 突如、その教師の顔は悲しげな顔となる。この女教師堤下蘭つつみしたらんは三十路である。つまりサラフォー。友達はほとんど結婚とか出産とかしてて友達内では最後の独身。キャバ嬢メイクも合コンが昨日にあって参加したけど惨敗したばかり。



「ねぇ新堂君。私がなんで結婚できないのかな?」



 その悲しげな表情は誰もが絡んでくるなと思わせるのに十分であった。クラスのみんなは新に対して同情する。



夢魔サキュウバスだからです」



悪魔サキュウバス?」



 その瞬間クラスが凍りついた。皆、一瞬忘れていた。新堂新は変態厨二病であることを。



「そう夢魔だ。かつて天使だったあなたも30年という月日を隔てれば立派に淫らな悪魔となるのだ」



「淫らな悪魔ですって・・・・・・」



「皆そう思っているはずだ。だよな性奴隷?」



 隣の席に座る静葉に同意を求める新。その顔はなんの曇りもない。



「わっ――私に同意を求めるな」



「いやぁああああああ! 私が悪魔ですって! ふざけんじゃないわよこの変態野郎! 確かに昨日ちょっと悪い事したかもしれないけどぉ! しょうがないじゃない! そうしないと勝てないんだもん! うあああああああ! 死ねぇ!」



 錯乱する堤下先生を前に生徒たちもアタフタする。



「おい新堂何言ってんだよ! お前のせいでまた蘭先また狂い始めただろ!」

「だれか保険の先生呼んで来て!」



 クラス全体が騒ぐ中、新は先生の前に立つ。そして



「ふっ! 冗談だってば蘭はかわいい天使だよ! きっと運命の王子様がいる! だからそれまで皆から愛される教師でいようよ」



 あのJ系事務所を駆逐できてしまう程の超ウルトライケメン笑顔を堤下に見せつける。それはまさしくナルキッソスの笑顔に匹敵するレベル。



「はい――新様!」



 一瞬にして笑顔を見せるサラフォー女教師堤下蘭。そう超ウルトライケメンは実在するのだ。目の前に。

 蘭先を上機嫌にして自分の席に戻る新。席にすわる直前、小声で呟いた。



「ふっ――チョロい女だ」



「自分で招いておいて何言ってんのあんた・・・・・・」



 静葉のつっこみは誰しも思うのであった。











 放課後、部活の静葉を置いて一人帰宅する新堂新。彼は他校でも有名なイケメンであるが、中身がここ1年ですっかり知れ渡り他校生からの告白も全くなくなっていた。だから、こそこそつけられる事もなく安心して下校している。



「我が股間が~♪魂に震える♪」



 折角の美声をお下品な歌詞で台無しにしながら下校する様は天合学園周辺に住む住人にとってはもう珍しくなく、たまにすれ違う小学生からは「変態さんこんにちわ」と声を掛けられる。さすがだ。

 しばらくお下品な歌を歌いながら歩いていると女の子一人に対して三人の若い男どもが人気のなさそうな所で揉めている所に新は出くわした。男三人はいかにも不良と言う感じであり、少女はいかにも大和撫子風の黒髪美少女であった。

 普段の新なら知らぬふりで通り過ぎるが、美少女であれば放ってはいけない。新は意を決して四人に近づき、不良どもに声を掛けた。




「おい貴様ら我が天使になんの様だ?」



「はぁん?」



 リーダー格と思われる長髪の不良が新の方を向く。



「何だてめぇ?」



「我が名は偉大なる最強の魔術師になる男、新堂新だ! 貴様たちとは本来入り乱れる運命ではなかったが今日は特別に相手をしてやろう!」



「何だてめぇ? 何、言ってんだ?」



「知ってるぜこいつ! 天合のイカレイケメン野郎だ!」



 三人のうち一人が新の事を知っていた。さすが変態厨二病、有名である。



「イケメン・・・・確かに女が好きそうな顔してやがるな! 気にくわねぇ!」



「おいてめぇー俺たちに喧嘩売ってんのか?

そうかイカレてるから売ったのか?」



 そう言って顔を新に顔を近づけてくる長髪の不良。それにたいして怯む様子もない新。

 怯まない事がわかった長髪の不良は舌打ちして顔を離し、新の顔面を殴った。



「きゃあ!」



 黒髪の美少女が軽く悲鳴を上げる。新は吹き飛びよろめく。



「おいこいよイカレイケメン! 喧嘩売ったんだから勝つ自信あるんだよな?」



「・・・・・・」



 変態厨二病のはずなのにやたら静かな新。



「びびってんか?」



「違うぞクソ共。貴様から殴って来たのだからな――」



「はぁ?」



 一瞬だった長髪の不良は腹にパンチを食らいその場に座り込む。



「ほごぉ!」



 腹を抱えて座り込んだ仲間を見て驚く他二の不良達。一瞬の事すぎて訳が分からない様子である。



「お前何しやがった!?」



「ただのパンチだチンカス」



 二人の不良が新に飛びかかる。それに対して一人に脛を、もう一人には脳天を攻撃し怯ませる新。



「おごっ!」

「ひっ!」



 その間にも黒髪美少女の手を取り走り出す新。



「こっちだ売女!」



 助ける時も失礼極まりない


「はっはい!」



 突如現れた超イケメンにときめいている様子の黒髪美少女。手を引かれるがまま走り出す。



「待てこら!」



 不良の一人が叫ぶが、二人はそそくさとその場から走り去った。



「はぁはぁ・・・・・・」



 商店街近くまで来た新と黒髪美少女は止まった。人通りが激しいここなら追って来ても人ごみに紛れこむ事ができる。



「あの――ありがとうございます」



「はぁ――ふん! 気にするな天使よ!」



「天使?」



「そうだ天使だ! 君はね」



「天使――ふふっ、おかしな人」



「全く――君みたいな天使が一人で歩いていたらああなってしまう事ぐらい分かるはずだが?」



「すいません――昨日引っ越してきたばかりで分からないかったので」



「そうか――見る限り同い年ぐらいに見えるがどこの高校だ?」



「お嬢! ここにいましたか!」



 その声に新が振り向くと、いかにもヤーが付く仕事についているかのような男の人がそこに立っていた。



「タツ?どうしてここに?」



「心配して探しておりました! はぁ――お嬢は自分勝手に行動しないでくだせぇ!」



「ごめんねタツ」



 そう言ってウィンクする黒髪美少女。それに頬を染めるタツ。



「かわいい顔して誤魔化しても無駄ですぜぇ! 俺にはもう通用しねぇです!」



「そうかな~?」



 そう言ってかわいい顔を最大限使う黒髪美少女。



「とにかく家に戻ってくだせぇお嬢! ――でっこの気に食わねぇほど男前の坊主はなんなんです?」



「あっ! この人は!」



「俺の名は最強の魔術師になる男新堂新だ。貴様に詳しく経歴を話すどおりはない!」



「んだとてめぇ!」



「待ってタツ! この人は助けてくれたのです」



「助けてくれたぁですってお嬢を?」



「ええ、そうですよね? 最強の魔術師さん?」



「そうだ天使よ。分かっているな! ハハッ!」



「はぁ――よく分からんがとりあえず礼を言っとくぞ坊主」



「たくタツたら! ありがとうだよ!」



「堅気に気安くありがとうなんて言えませんすよ! さあ、さっさと帰りますよ。組長が待ってますんで」



「はーい。じゃあね魔術師さん!」



 黒髪美少女とタツと名乗る男は、新を置いて商店街の人ごみの中に消えていった。



「――ふん。これが若さか――」


 意味不明である。











「ただいま」



「おお! 帰ってきたか我が性奴隷よ! さあ、さっそくお帰りのフェ●だ!」



 朝と同じく壁に吹き飛ばされる新。これが二人の日常だ。性奴隷にとっておはようとお帰りのフェ●は義務であると新は勝手に決め付けている。

 親が海外赴任で一人暮らしの新の為に静葉はほぼ毎日起こす事や食事の用意や家事をしている。お隣だから出来るのであり、新の親に頼まれた静葉は善意でやっている。もちろんこれには新に対する静葉の隠した気持ちがある。



「ふん。これもいつか無くなる事を信じているぞ性奴隷」



「無くならねぇよ! たく! 部活から帰って来た幼馴染に言う事かそれは」



「当然だ。お前の上と下も口は全て俺も物だ!」



 回し蹴りが新の頭にクリーンヒットする。新の体は数回回転して壁に激突した。静葉は赤面している。



「夕飯出来るまで部屋にいろ変態」



 静葉はそう言って居間に行ってしまった。新は最近これが少しづつ快感になっているのであった。











 夕食を終え、静葉と適当に談笑した新は風呂場に行く。行く前にもちろん誘いをかけるが当然断られる。これはいつもの事である。

 入浴を終えると11時を過ぎていた。静葉も帰宅した事を確認すると新は寝床につく。ベットに入り、30分もしないうちに新は寝てしまった。


 この時、新はまだ気付いていなかった。自分の大事な所にとんでもない奴が居候している事を。







 俺の名は魔界の新たなる支配者ハザークだ。わけあって今、人間界にいるのだが、俺はとんでもないミスをしでかしてしまった。

 それは・・・・



(こいつ超イケメンのくせにとんでもねぇ厨二病だぁあああああああああ!!!!!!!!!!)



 そう、今は俺は生粋の超イケメン男子高校生新堂新のライトゴールデンボール《右金玉》にいる。なんで右の金●にいるかって!? そりぁ人間のメス共に俺のガキを産ませて我が軍団を再び作り上げ人間界を支配する為よ! そしてそれを足がかりに天界を再び侵攻しようと考えていた。しかし、何なんだこいつは! とんでもねぇ厨二病じゃねぇか! しかもただの厨二病じゃねぇ! 変態がついてやがる! 幼馴染を性奴隷と呼び、クラスでも女どもから避けられる様なセクハラ言動し放題、同じ病の子分も連れていやがる。これは魔界でもそうそういねぇぞ! ある意味感心だが――俺の壮大な計画はおじゃんだ!


 命からがら天界から人間界に逃げてきた俺は風前の灯だった。自慢の四天王を女神どもに倒され、追手もすぐ近くに来ていた。残っていた魔力もほんのわずかだった俺は死を覚悟していた。そんな瀕死の状態の中、隠れていた家の住人がこいつだった。寝ているこいつを見た時俺は神に感謝した! 悪魔のくせにな! なにせこいつはどこから見ても容姿が完璧だったからだ。超が付く程のイケメン。転生したルシファーかと思ったぐらいだぜ。そして俺は思いついた! こいつの金●に憑依し子種を俺の物に変化させ、人間の女共に俺の子をたらふく産ませてやろうってな! こんだけイケメンなら喜んで股を開く女は星の数ほどいるだろうと思った。

 そうすれば俺の偉大なる天界支配の計画は再び動き出せると考えていたわけだが・・・・



(もう終わったな・・・・他の男へ憑依しなおす魔力もねぇよ)



 俺の運もここで尽きた様だ。まさかこんな野郎だとは思ってなかったぜ。唯一やれると思った幼馴染もあの態度だし、まあ当然だよな。痛すぎるしこいつ。

 今の俺があと出来る事と言えばこいつのナニを大きく事ぐらいだ。興奮しての意味ではなくて元々の大きさを変化させる意味だ。でも、今じゃなんの意味もねぇ。と言うかまだこいつ童貞だった。本当イケメンの持ち腐れだぜこいつ。

 時計の針が三時を過ぎて俺がやけくそでナニを大きく小さくしたりして遊んでいると、部屋の窓がゆっくりと開いた。泥棒かと思ったが、なんとそこにいたのはあの性奴隷こと幼馴染、確か静葉って女だ! ピンクのパジャマが可愛いなおい! 屋根伝いきたようだ!

 おいおい! 天は俺を見放さなかったぜ! これってアレだよな! 夜這いって奴だよな!? やほーい! ゴムなんてねぇからこれは――











 静葉は新たに近付き、ゆっくりと新の掛け布団をどける。そにには今にも爆発しそうなほど下半身がテントを張っていた。今まで朝●ちを見て来た静葉の記憶を辿ってもこんなに大きな時はない。


 何者かに支配された静葉はニヤリと笑いそして、大きく右足を上げた。



「見つけたわよ・・・・変態大魔王!!!!!」



 振り下ろされた右足は見事、新の股間にヒットした。それはとんでもない威力だ。一瞬にして新を飛び起こし、とんでもなく悶絶させる。



「おごおおおおおおおお!!!!!!!ひぐうううううううううう!!!!!おおおおおおおおおおおおおお!」



 この世の痛みとは思えない痛みが新を襲う。ベットの上でのたうち回り、ピョンピョン跳ねたり、はぁはぁと息切れする。



「はぁ――性奴隷よ・・・・・・はぁ何のつもりだ? 夜這いしてはとんでもない――ぞ!」



「新堂新。クソ変態と変わりなさい」



「――!?」



 股間を両手で押さえながら新は静葉を見た。そこに立っていた静葉はいつもの彼女ではない。目つきからして別人に見えた。



「何者だ?――それともこれも?」



 新は新たな厨二病だと思ったが、彼女は徹底して突っ込みだ。決して同じ病になる事はない。



「これは一体――」



 新がわけがわからないよみたいな顔していると、静葉は少しづつ笑いだした。最後辺りは腹を抱えて爆笑だ。



「くくっ・・・・・・ぷっ! アハハハハハハハッ! アハハハハハハハハッ! アハハハハハハハハハハハハッ!!!!」



「!?!?」



 わけがわからなくなっていく新。



「あの魔界の支配者がトンデモなく落ちぶれたものねぇ! 魔界の者たちに恐れられ、天界も一時期恐怖させたあんたが――こんなヘンテコな残念イケメンのきっキンタ●になり下がるなんて! 滑稽だわ! マジで笑える! 今世紀最大のギャグよねこれ!」



「?」



(うっせえええええええ! 黙れこのビッチ女神が! ユル●ンのくせにうるせぇぞメス豚野郎! 俺だって最初から分かってたらこんなやつの金●になるかぁああああ!」



 ハザークはテレパシーで静葉を支配している者と会話する。当然、会話が聞こえない新はわけがわからない。



「ねぇ。自己紹介したら? 居候してんだからさ。あんたの宿主混乱してるし」



(出来ねぇんだよビッチ! もう俺には魔力がほとんどねえんだ!)



「アハハッ! 魔界一魔力があるとか言ってたのはどこのどいつかしら? まあ、いいわ。説明しなくちゃならないからね」



 静葉はそう言うと、新の頭を触る。触られた瞬間何かが体を通る感覚を覚える新。



「これで聞こえるはずよ。大事な所にいる奴の声が」



(――よお。俺はハザーク。なんというか魔界の支配者。人間が理解しすく言うと魔王か? 古臭いが)



 新は股間から聞こえてくる謎の脳内音声に混乱する。普段、厨二病をやっているわりにはこういう時は一般人的な反応である。



「なっなんだこの声は!? 俺の股間から聞こえるぞ!? 何をした性奴隷?」



「ちょっと、私が表に出ている時はその呼び方やめてくれる? これでも女神なのよ。アテネって知ってるでしょ?」



「アテネ・・・? 処女女神が性奴隷の別名とは合わないぞ!」



「確かに私は処女女神だけどあなたにとってこの子はなんなのよ?」



「それはその――えと? マジもんの女神?」



(おいおい。まずは俺の事を一番気にしろよ!)



「また! 何なんだこの声は!?」



(お前の金●にいんだよ。ほら、ズボンの中見てみろ)



 言われるがまま、大事な所を見る新。驚嘆する。



「なっなんて大きさだこれは! まだちょっと痛いが俺の知ってる俺の物じゃない――! 腫れているのか?」



 立ってない状態でありながら、とんでもなく大きくなっている新堂新のナニ。まだアテネに蹴られた時の痛みで赤くなっているが、あの蹴りで無傷である。



(どうだ、すげえだろコレ。これなら女どもをいくらでも鳴かせられるぜ)



 その言葉に息を呑む新。ちょっとやららしい妄想をする。



(おいちょっとエロい事考えただろ? やっぱ男子高校生だなおい~!)



「ふん。突然だ! 我が妄想は現実化する魔術によって全て現実になってしまうのだ!」



(おおっ! やっぱ女体には興味があるよな! お前ならどんな女でも落とせる! 俺が手ほどきしてやるから明日から女とやりまくれ! 童貞卒業だ!)



「それは困るわね――」



 静葉の足が新の股間の前に勢い良く踏み込まれる。ベットに食い込む静葉の足。



「ここで終わりよハザーク。あんたはここで消滅するの」



(おいおいアテネ。その子の思い人のこいつを殺す気か?)



「どういう意味よ?」



(やっぱ処女じゃ疎いようだな。どうみてもお前の宿主はこいつに惚れてんぜ。惚れてるからこいつの世話したり厨二病に付きあってんだよ)



「だからって何よ? 今のあんたはもう風前の灯! 一瞬で消せるわよ!」



(残念! もし俺を消し去ろうとすれば俺はこいつの金●を二度と使い物にならなくするぜ。道連れだ!)



「なっ!?」



(人間の運命に過度に介入してはならない女神様にはできないよな! アハハハハッ! 将来、夫婦となるこいつとその宿主の運命が変わっちまうかもしれねぇぞ!)




「お前、運命を見ているのか? 本当は魔力を隠し持っていたな!?」



(おいおい! ついさっき俺に少し力分け与えたろ? それを魔力に変換すんなんて俺には朝飯前だ)



「くっ! 卑怯な奴め!」



(当然だ! 俺は魔界のトップだぞ! 卑怯万歳だぜ!)



「今すぐそこから出ていけハザーク!」



(やだねぇ~!)



 目の前で痴話げんかをされている様な気分になる新。そもそも幼馴染が自分の股間と真剣に話しているのを見るのは少々心が痛む。自身は圧倒的厨二病だけども。



「その――つまり性奴隷の中にはあのアテネがいるのか?」



 新は少々混乱しながらも静葉に宿るアテネに問う。



「そうよ。厨二病の癖にこういうには一般的な反応ね。あんた」



「にしても信じられない。証拠を見せてくれ」



 アテネは証拠を見せる為に右手の手のひらを新に見せる。



「はい」



 突然、赤い光が手のひらから現れる。当然、新は驚嘆する。光は薄暗い新の部屋を照らす。



「どうよ!」



「・・・・・・」



 理解不能過ぎてキョトンとする新。当然である。



「あら。信じられないの? じゃあ今から変身するけどいいかしら?」



「わかった! 本物なんだな! 人間じゃあれはできないし」



(何か無理やり信じ込んでないかお前?)



 ハザークが言う。



「まさか厨二病が重傷過ぎてついに幻想まで見始めたと思ってるの? 大丈夫! あんたは健全な厨二病よ!」



 健全な厨二病の定義とは? そもそも新は変態厨二病である。



「アハハハ――アテネだっけ? 静葉と話をさせてくれ」



「この子と? いいけどこの子寝てるし起きるかどうか」



「頼む。静葉にもこれを話してどうするか話し合うべきだろ?」



 アテネが静葉の演技だとは言う可能性は限りなく低いと新は思い始めていた。静葉の体を借りているなら試したい事がある。



「わかった。確かに私もそれを考えていたけど後回しにしようとしてた。じゃあこの子と変わるわね」



 アテネはそう言うと目をつぶる。そして寝ている静葉の人格を起こす。



(ねぇ起きて。私はアテネ・・・・・・今あなたの体を借りているの)



(――っん? アテネ・・・・・・? 誰?)



(さあ起きて。これから大事な話があるの!)



 静葉の目がぱっと開く。視界に入ってくるのは薄暗い新の部屋とベットに座る形でいるパジャマ姿の新の姿だ。



「ほう性奴隷よ! 夜這いタイムとはいい心掛けだ! 我はそれをなんなく受け止める! いくぞっ性奴隷!」




 そう言って上半身裸になり、静葉に襲いかかる新。どこかで見た風景である。野獣と化した新たにストレートパンチを繰り出す静葉。



「ぐぽぉおおおおおおお!」



 腹パンチとなったストレートパンチは見事新を吹き飛ばし、ベットに叩きつける。



「おごっ! やはりこれが性奴隷だ!」



「はぁ? あんた何言ってんの!? と言うかなんで新の部屋にいんの?」



 どうしてここにいるのか分からない静葉。自身もパジャマ姿であり、ここまで来た記憶はない。寝ぼけて来たなどありえないはずだ。



「まさかあんた本気で私を!」



 咄嗟に体を守る静葉。本音は期待していたのだが。



「違う――アテネ出てこいよ」



(初めまして滝川静葉。私の名はアテネ。今、あなたの中にいるの)



「・・・・・・はっ!?」



 突然、頭の中に聞こえてくるアテナの声に訳がわからない静葉。



「何よこれっ!」



「静葉落ち着け。俺達は正常だ。これから色々と説明するから」



 久々に聞く新からの自分の名。静葉は一年ぶりに聞く、その新からの名につい嬉しくなる。



「なっ何なのよこれ――あんた私の名を――」











 なんだかんだで朝方になってしまった。新及び静葉は完全に寝不足である。



「つまり私はそのハザーク監視の為に体を貸すと?」



(うん。悪いんだけど居候させて静葉。天界としては弱ったハザークでも無視しておけないの)



「それでハザーク――お前は俺から出ていく気はないんだな?」



(当然だ! 今のまま出て行ったら完璧こいつに消し去られる! つまりお前を人質にして籠城だ相棒!)



 人質にしながらも相棒と読んでくるとはさすが悪魔である。

 静葉はため息をつく。新は俯いた。



「まあ、しょうがないわよね――新の為よ。よりあえず、これからよろしくアテネ――」




 静葉は腑に落ちないようだ。



(うんよろしくね静葉! やっぱ愛の力は偉大なようね!)



「愛って!?――違うっての!」



 赤面する静葉をよそに静かに笑いだす新。



「クク・・・・クハハハハハハハハハッ! 今は俺は偉大なる力を手に入れたぞ性奴隷よ! これで全世界の天使どもは我に犯されるのは必然となった! 今日からさらに魔力精力を高め、性技の鍛錬を怠らずに励むのだ性奴隷。今晩から寝かせねぇ!!!」



 ベットの上で無駄にかっこいいポーズを加えて言う新のその姿は無駄にかっこよかった。



(そうだぜ相棒! 俺たちのたたかいは・・・・)



 ハザークが言いきる前にアテネに変わった静葉が股間に向けてハイキックを食らわした。手加減なしてのその一撃は再び新とハザークを壮大に悶え苦しませた。効果はバツグンだ! 急所に当たった。



「(フォオオオオオオオギョオオオオオオオオオオオオ!!!!!!)」



 こうして新堂新の厨二病は後戻り出来ない。つまり、取り返しがつくなくなったのである――



                   




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