第281話:勇者と剣聖と鑑定士 22

 ……さて、俺はどうしようかな。

 ここに留まっていても暇だし、だからといって新たちのように荒事が得意というわけでもない。


「よし! こんな時のために開発した魔導具を試してみるか!」

「なんだい? 僕の知らない魔導具かな?」

「おぉ、私も気になりますねぇ」


 この場に残った森谷とライドさんが気になるようでこちらを覗き込んできた。


「森谷が作っていた魔導具の中にそれらしきものがなかったからな。俺のオリジナル……ってわけじゃないけど、こんなものを作ってみたんだ」


 そう口にしながら取り出したものは――


「「……これはいったい?」」

「ドローンです!」


 俺がいた日本では当たり前の道具だったけど、森谷がいた時代ではそうでもなかったのか、彼まで驚いている。


「こいつを空に飛ばして、その映像をこっちの端末で見ることができるんだ」

「へぇー! これはすごいね! こっちの……ドローンだっけ? これにカメラが付いているのか!」

「そうなんだ。メールバードのように守りの魔導陣も組んでいるから落とされることもないだろうし、何より遠くから戦況を確認できるから便利だと思ってな」

「……カメラ……とはいったい?」


 森谷はなんとなくわかっているようだが、ライドさんはピンと来ていないようだ。


「見てもらった方が早いかもしれませんね」


 俺はニコリと笑いながらドローンを地面に置くと、そのまま魔力を注入していく。すると――


「……おぉっ! 浮きましたね!」

「このままある程度上空まで飛ばして……よし、この辺りでいいかな。それじゃあ前線に向かわせますね」

「早く! 早く飛ばしてくれよ、桃李君!」

「わかったって」


 森谷の方が興奮しているようで、俺は苦笑しながらドローンを飛ばしていった。


「それじゃあそっちの端末を見てくれ」

「「どれどれ?」」


 二人して覗き込んでいるせいもあり、俺は端末を見ることができない……わけではない。

 魔力でドローンと繋がっているので、俺の脳内にはカメラが捉えた映像が流れているのだ。

 最初こそ俺の視界とカメラの視界が二重に映って寄ってしまったが、慣れてしまえばどうということはなかった。


「おぉっ! これはすごいね!」

「とても鮮明に映るのですね! あちらの爆発はハルカ様でしょうか!」


 えっと、魔法の爆発はここからでも普通に見えるんだけどな。


「おっ! 新君たちも見つけたぞ!」

「さすがはアラタ様にギース様、お強いですね!」

「ふむ、面白いものを見ているのだな」

「そうだね! これはすごく面白いものだよ!」

「こんなものがあるとは、私も存じませんでした!」

「「「……えっ?」」」


 突然割り込んで声に、俺たちは揃って驚き顔を上げた。


「ん? どうしたのだ?」

「……なんでディルクさんが?」

「兵士たちへの指示が終わったのでな、こちらに戻ってきたのだ。して、これはなんだ?」

「あー、えっとー……」

「これがあれば我でも最前線の状況を確認できるということか?」

「まあ、そうなりますけどー……」

「なるほど……して、いくらだ?」

「売りませんからね!?」


 まさかいきなりお金の話になるとは思わず、大声をあげてしまった。


「むっ、そうなのか? これがあれば戦闘がだいぶ楽になるのだがなぁ」

「ドローンはこれしかありませんし、売るつもりも全くありません」

「ならば、依頼するから作ってくれないか?」

「いやいや、こんなもの作れるわけが――」

「先ほど、開発したと言っていただろう」


 ……あんた、いったいどこから聞いていたんだよ! 結構前だぞ、そう言ったのは!


「まあ、交渉はこの戦いに勝利してからだろうな」

「だから、売りませんって」

「だから、作ってもらえるよう交渉するのだよ」


 ……この人、ああ言えばこう言うなぁ。



※※※※

【一週間の宣伝マラソン!五日目!】

 宣伝マラソンも残り三日! 昨日が発売日でしたよ!

 私の地元にはまだ並んでおりません。皆様の近くの書店ではいかがでしょうか?

 というか、宣伝マラソン中に並んでくれるのだろうか……早くこの目で見たいです。


タイトル:職業は鑑定士ですが【神眼】ってなんですか? ~世界最高の初級職で自由にいきたい~ 2

レーベル:MFブックス

イラスト:ゆのひと先生

発売日:2022/08/25

ISBN:9784046816559


 改めて、2巻発売までこぎつけたのは皆様のおかげです! ありがとうございます!

 マジで! 続刊したいので! 今後ともよろしくお願いしたいので!

※※※※

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