第278話:勇者と剣聖と鑑定士 19
「――ぐががががああああぁぁっ!?」
「――な、なんだ今のは!?」
「――か、雷です! 魔法です!!」
遠くの戦場から、何やら慌てふためいている敵兵の声が聞こえてきた。
「――な、何が起きている!」
「――わかりません! ですが、敵軍を狙っているようです!」
「――警戒は怠るなよ! まだ味方と決まったわけではないからな!」
しかし、反乱軍の兵士たちからもそのような声が聞こえてきたこともあり、俺たちは敵兵があらかた片付いたのを見計らい、反乱軍のリーダーらしき人物のもとへ向かった。
「き、貴様たち、何者だ!」
「魔獣だと!?」
「くっ! まさか魔獣が現れるとは!」
おっと、どうやらハクとサニーを見て魔獣と勘違いしたようだ。
……まあ、いきなり攻撃してこないのを見ると、俺たちも視界には入っているみたいだな。
「――何事だ!」
そこへ大声をあげながら、大柄な人物がこちらへ近づいてきた。
「き、危険です! お下がりください!」
「構わん! 先ほどの魔法がこいつらなら、後ろで守りを固めていてもどうしようもないだろう!」
なんだろう、ものすごく豪快な男性みたいだな。
しかし……なんというか、佇まいや歩き方もそうだけど、不思議と洗練された雰囲気を滲ませているように見えて目が離せなくなってしまった。
「……おや? あの方はもしや」
「知っているんですか、ライドさん?」
まさかライドさんから声があがるとは思わず、俺はすぐに聞き返した。
「貴様ら、何者だ?」
堂々とした様子でそう口にした男性に対して、ライドさんが口を開いた。
「お初にお目に掛かります。私は現シュリーデン国の相談役を務めております、ライド・フォンタニエと申します」
「……シュリーデン国、だと?」
おいおい、シュリーデン国の名前を聞いた途端、男性だけではなく、周囲の兵士たちから殺気が漏れ始めた。
「落ち着いてくださいませ。私たちはあくまでも現シュリーデン国の人間であり、ロードグル国を攻め落とした際の者たちとは関係はございません」
「だが、シュリーデン国の人間なのだろう? であれば、我らの敵であることに変わりはない」
一触即発の状況となり、俺はいつでも逃げられるようサニーに跨ろうとした。
「……本当に、それでよろしいのですか? ――ディルク・ロードグル皇太子殿下」
「――!? ……貴様、どこでそのことを知った!」
ちょっと、ライドさん!? あちらさん、剣を抜いちゃったんですけど!!
「ディルク様の武勇は他国にも聞こえてきましたので、お姿を拝見した時にもしやと思い、名を呼ばせていただきました」
「ならば、貴様たちを逃がすわけにはいかんな」
「私たちの目的はマリア軍を鎮圧することにございます。反乱軍と剣を交えるつもりは毛頭ございません」
「はっ! 自国の姫君を救い出そうという魂胆なのだろう?」
「いいえ、違います。私が仕えておりますオルヴィス陛下は、捕らえられなければその場で殺してもよいと仰ってくれておりますので」
……ライドさん、すごいなぁ。
目の前で殺気を真正面からぶつけられているにも関わらず、ディルクと呼んだ男性と対等に渡り合っている。
「……そのような戯言を信じろとでも言うのか?」
「こちら、王命が記された書簡にございます。ぜひ一度、ご覧になっていただけないでしょうか?」
「いらん。そんなものを見たところで、我の考えは変わらんからな」
「そうですか。……であれば、仕方がありません」
「なんだ、敵対すると宣言でもするつもりか?」
ディルクさんが剣先をライドさんへ向ける。
「いいえ、違います。私たちの力を証明いたしますので、ご納得いただけましたら協力していただけないでしょうか?」
「力の証明、だと?」
……ねえ、ライドさん? 力の証明って、もしかしてオズディスの時と同じことを考えていませんかねぇ?
「先ほど戦っていましたマリア軍は、また攻め込んでくることでしょう。ですので、この戦場での勝利をディルク様へ捧げたいと思っております」
ライドさんのその言葉に、後ろから見守っていた俺たちは顔を見合わせた。
※※※※
【一週間の宣伝マラソン!二日目!】
発売二日前です!
どうでしょうか? 場所によってはすでに書店に並んでいるところもあるのでしょうか?
もしも『書店に並んでたよ!』という方がいましたら、教えていただけると作者が飛んで喜びますので、どうかよろしくお願いいたします!
タイトル:職業は鑑定士ですが【神眼】ってなんですか? ~世界最高の初級職で自由にいきたい~ 2
レーベル:MFブックス
イラスト:ゆのひと先生
発売日:2022/08/25
ISBN:9784046816559
……Twitterばっかり、見ちゃってるなぁ。。
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