第94話:自由とは程遠い異世界生活 32
何はともあれ、運が100もあれば一日で出会う事も可能かもしれないとディートリヒ様から太鼓判を押されてしまった。
「ちなみに、運30のディートリヒ様でどれくらい掛かったんですか?」
「十日は掛かりました。それも、泊まり込みまでして十日です」
「と、泊まり込みって。……その、陛下にも伺っていいですか?」
「構わんよ。昔の事ではっきりとは覚えておらんが、我の運は60なのだがそれでも五日は掛かったはずじゃ」
「……泊まり込みで?」
「その通り」
……意外と面倒かもしれないな、レベルスライム。
いや、だけど俺には鑑定スキルがあるじゃないか。まあ、こいつはもう鑑定というよりかは全く別のスキルのような気がしてきてるけどね。
地球で言うところの検索エンジン的な、そんな感じのやつ。
「鑑定、レベルスライムの所在」
突然の言葉に陛下とディートリヒ様は顔を見合わせているが、アリーシャとユリアは普段と変わらずこちらを見ている。
……ほうほう……へぇー……いや、隠れすぎだろレベルスライム。
「どうやら、洞窟の中に穴をたくさん掘ってダミーを作り、さらにそのダミー周辺の穴には入らずに奥にある分かりずらい場所に穴を掘り、さらにカモフラージュしてそこで暮らしているみたいですね」
「……え? もしかして、レベルスライムの居場所を鑑定したんですか?」
「はい。泊まり込みをしなくても、もしかしたら倒せるかもですね!」
「「……」」
二人が呆気にとられた感じで俺を見ているが、なるべく面倒は避けたいのだ。それに、これが俺のスキルなのだから仕方がない。
それとついでにもう一つ鑑定をしておこうかな。
「鑑定、レベルスライム討伐によるレベル上げ」
……おいおい……マジかよ……凄いな、レベルスライム。
「……ど、どうしたんですか、マヒロ様?」
「あぁ、すみません。鑑定でレベルスライム何匹でレベルが上がるのか確認してたんですけど、一匹で上がるみたいでホッとしてたんです」
「あ、あぁ、そういう事でしたか。レベルスライムは一匹倒すだけで多くの経験値が手に入りますから当然だと思いますよ」
「そうですよね。確かに、これなら泊まり込んでまで倒したいと思う気持ちも分かりますよ。二匹で2、三匹で3上がってくれたらありがたいなぁ」
「ははは。それも当然ですよ。一匹で2とか3は上がるでしょうね」
「ははは。鑑定士(神眼)はそうじゃないみたいで、困ったものですよ」
「いやいや、特級職とはいえ普通は一気に上がりますから!」
「「ははははは! ……はい?」」
……あれ? もしかして、俺とディートリヒ様、話が噛み合ってなくないか?
「……えっと、レベルは上がるのですよね?」
「……はい、上がりますね」
「一匹の討伐でどれくらい上がるのですか?」
「ですから、1ですね。必要経験値はドンドン上がるでしょうから、二匹目や三匹目でさらに上がれば嬉しいなって感じで考えてますけど?」
「……特級職でも、一気に上がるはずなんですが?」
「……それを俺に言われましても」
…………いやいや、顔を見つめられて黙られても困るんですけどねぇ!
「ト、トウリさんは異世界人です! もしかしたら、異世界人は経験値が多く必要になる可能性もあると思います!」
お、おぉっ! ナイスフォローだよ、アリーシャ! というか、その可能性には当初から気づいていたじゃないか!
あまりに疑問の表情を向けられたものだからすっかり忘れていたぞ。
「……そ、そうですね。そうでなければ説明が――」
「いや、マヒロだけが特別かもしれんぞ?」
えぇぇ~。せっかく話がまとまりかけたのにそこに首を突っ込むんですか、陛下~。
「鑑定(神眼)に類する情報があると伝えたであろう?」
「は、はい」
「それに関する事なのじゃが……
「……はい?」
特級職をも越える職業って……それじゃあ、俺は何者なのよ?
「は、初めて伺いました、陛下」
「これは王族にしか伝わっておらん事でな、書物などにも一切記しておらんのだよ」
「……それで、そうなると俺は何なんでしょうか? 回りまわってやっぱり初級職とか?」
「それはない。特級職をも越える職業――
……はい? 特級じゃなくて、神ですか?
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