第71話:自由とは程遠い異世界生活 11
円とユリアがいなくなった部屋では、レレイナさんからの情報提供が続けられている。
そもそも、レレイナさんはアリーシャへの報告を行う予定だったので当然と言えば当然なのだが、その空気はやや重い。
(……申し訳ないなぁ)
俺と円のやり取りのせいで空気が重くなったのは言うまでもなく、ここは一つ空気の入れ替えが必要だと感じていた。
「……そうだ!」
「どうしましたか、トウリさん?」
「レレイナさんは魔の森の開拓にも力を貸してくれるんですよね?」
「そのつもりですよ?」
「せっかくなので、能力を確認するために鑑定を掛けてもいいですか?」
「……鑑定、ですか?」
別に自己申告でも構わないのだが、手っ取り早くこっちの方が俺としてはありがたい。
……まあ、アリーシャには見えないので結局は口で話す事になるんだけど。
「……えぇ、構いませんよ」
だが、レレイナさんも空気が重くなっている事を気にしていたのか、俺の提案を聞き入れてくれた。
「それじゃあ、いきますね。鑑定、レレイナ・マグワイヤ」
……ほほう……これは……ん? 何だ、このスキルは?
「職業は
字面だけで見れば、広く知識があるって事だけど……そのままの意味で受け取ってもいいのだろうか。
「鑑定、スキル博識」
気になり過ぎてそのまま鑑定に掛けてしまった。
【スキル博識:一度得た知識を忘れる事がない】
……これ、なかなかに優秀なスキルではないか?
「博識、凄いスキルですね」
「私は重宝しています。これがあれば、陛下のお言葉も間違える事はありませんから」
確かに、王命を記した書面などを見る事もなくスラスラと口にしていた。
それ以外でも本を読めば内容を一度で把握できるとか、学校なんかでは絶対に満点が取れるだろう。
「それにしても、二重魔導師でもマグワイヤ家では不遇な扱いになるんですね」
「中級職では仕方ないです。上級職からがマグワイヤ家を名乗れると、口うるさく言っていましたから」
それって、王都では普通なのだろうか。
辺境のグランザウォールでは中級職でも優遇されるみたいだし、上級職だった先生はギルマスに勧誘されるほどだったし……マグワイヤ家、恐るべし。
「スキルが三つ。そのうち魔法スキルが二つ……いいなぁ」
「トウリ様はどうなんですか?」
「鑑定10と魔力消費半減ですね。二つしかないんですよ」
「……えっと、トウリさん? スキルは数というよりレベルが重視されるんですよ?」
「……私、初めて見ました。スキルのレベル10」
「そうなんですか? てっきり王都では普通なのかと思っていました」
「「ありえません!」」
……そういえば、鑑定スキルがレベル10だって最初に伝えた時にも驚かれたっけ。
でも、やっぱりスキルは多いに越した事はない。むしろ、後天的に増やせるものなのだろうか。
「博識というスキルは元から持っていたんですか?」
「実は、魔法の知識を得ていく中でいつの間にか増えていまして……」
これも魔力が少ない分を補おうと知識を得ていった結果なのかもしれない。
というか、スキルって後から増えるものなんだな。
「……鑑定、スキルの習得方法」
試しにそう呟いてみたのだが――
「……あ……あれ?」
「トウリさん!?」
「トウリ様!?」
「真広君!?」
鑑定を使った途端、俺の目の前が真っ暗になってしまった。
……あぁ……これ、経験済みだ。
…………俺の魔力…………0だわ。
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