6
いつも通り、目覚ましが午前7時にけたたましく鳴る。
まだ、眠い目を擦りカーテンを開け目を覚ます。
いつもはスッキリ目覚めるのだが、昨日家に帰ってきてから日をまたぐまであーさとRAINで電話をしていたため寝不足気味なのだ。
キッチンに行き、目を覚ますためにコーヒーを入れ、録画してあったアニメを流しながら、コーヒー片手に朝ごはんを用意する。
訳があり一人暮らしのため、朝ごはんに始まり全ての家事を自分でしなくてはならないため当時はかなり苦労した。
誕生日プレゼントで親に自動掃除ロボットを買って貰ったおかげでかなり楽になった方だ。
「おっと、弁当は作らなくていいんだった。」
いつもの癖で弁当箱を棚から取り出しそうになり、今日からお弁当はあーさが作ってきてくれる事を思い出す。
棚を閉じてパンをトースターで焼く。
焼いている間に制服に着替え、寝癖をセットする。
「今日は入念にしとくか。」
セットし終わるとチンッと快い音が聞こえ、パンが焼けた香ばしい匂いが漂ってくる。
それにジャムを塗り、齧る。
外はカリッと中はふわっと食感でいつも通り美味しかった。
ちなみに自分は朝はパン派だ。
時計を見れば7時20分。
「やべ。」
あーさと待ち合わせ場所があの分かれ道で、家からあそこまで10分弱かかる。
急いで歯を磨き、飛び出るように家を出る。
待ち合わせ場所に行けば既にあーさが待っていた。
「あ、来た来た。」
あーさと目が会い、こちらに駆け寄ってくる。
「おはよ、あーさ。」
「おはよー、しょーた。」
朝の挨拶を交わしつつ、学校に向かって歩き出す。
そして、自然にあーさは腕を絡めてくる。
「あ、あーさ?」
「付き合ってるんだからふつーだよ?」
そうかもしれないが今は登校中で他の生徒もいるわけであり、その視線がかなり気になる。
しかし、そんなのお構い無しに腕を緩ませるどころかより強く絡める。
そのおかげで腕にゼロ距離で触れる弾力のある胸の感触を直に感じる。
あーさは人懐っこい性格で女性らしいボンキュッボンな体格さらには天然の金髪ロングヘアも合わさり学年問わず人気な生徒であり、告白もそれなりに受けてきたと聞く。
そのせいか、時々嫉妬や妬みなどを含んだ視線を感じる。
「ーーねぇ、聞いてる?」
「え?」
周りの視線や腕の感触を意識しすぎ、あーさの話を全く聞いていなかった。
「やっぱ、聞いてない。」
プーと頬を膨らます。
「ごめんって。」
「じゃあ、放課後カフェ行こ。」
「カフェ?」
「そう、駅近くに出来たオシャレなの。ウイッターで話題になってるの。」
「あー、ちょっと知ってるかも確か『チェルティ』だっけ?」
「そう、そこそこ。あそこのフワトロパンケーキ食べてみたいの。だから、行こ。」
完全にその気になるあーさ。
「俺も少し気になってたんだ。じゃあ、放課後行くか。」
「うん。」
あーさは「ヤッター。」と片手を掲げた。
そんな事をしているうちにあっという間に学校まで着く。
しかし、やはり腕を緩めることなく生徒会が挨拶している校門をくぐる。
玄関に行くまでにもかなりの人に見られ、早くこの視線にも慣れないとなぁ、と思った。
あーさとしょーた 野内ラス @thy
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。あーさとしょーたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます