第5話出会いの記憶5
警察に連絡してから数分してパトカーがやってきた。
最初はめんどくさそうに対応していて、俺も気持ちは分かるから腹を立てたりはしなかった。
その代わり、現場の異常性を感じ取ると警官の要請をして、どんどん自体が大きくなって、立ち入り禁止のテープが張られるほどだった。
ある程度は質問されると考えていたけど、思ったより早く済んで開放されるのも早かった。
だから、メモリアルに着くのも想定より早かった。
とはいっても、100から99に変わる程度だったけど。
「いらっしゃいませ。‥あっ、桜城君!」
メモリアルに入ると、上条はちゃんとアルバイトをしているようだった。
ちゃんと時間には間に合って、仕事も出来ているみたいでよかった。
「あっ、兄やんこっち!」
虹が勢いよく立ち上がって手を振っていたので、言われるがままに虹のいる席に行った。
普段なら恥ずかしいからやめてくれと言う所だが、今回だけは見逃す事にした。
「それで、兄やんどうなったの?」
「ま、まずは上条が落ち着いてから話そう。すみませーん、コーラ3つください。」
「はーい。少々おまちください。」
近くにいた店員に3人分を頼むとすぐに対応してくれた。
2人しか座っていなかったのに、何一つ変に勘繰られなかったので良かった。
「兄やんなんで3つも頼んだの?」
「だって、ジュース奢ってやるって言ったっだろ?それに何も頼まなっかったら、店に迷惑だし、それともいらないのか?」
「いや、いる!飲む!!やったー、奢りだー!」
少しして上条がコーラを持ってきた。
ちょうど上条にも話しておきたい事もあったので良かった。
「お待たせしました、コーラです。えーと、最後の1つは誰のかな?」
「それは上条が飲んでくれ。今から聞いてほしい話があるんだ。ついでに着替えてきてくれるか。店長さんからは、今日のことを少し話してすぐ帰れるようにしてもらうから。」
「さすがにそれは…。」
優等生だけあって、こんな時でもちゃんと仕事を全うとしようとしている。
状況がちゃんと把握できていないからかもしれないが、今はそんなこと言ってられない。
「いや、ちょっと事が事なんだ。」
「……それさら、着替えてくるよ。」
「迷惑をかける。虹、先に飲んでていいから少し待っててくれ。」
数分後、上条も着替え終わって3人で囲むように座った。
上条のお祖父さんにストラップの事は伏せ、帰る途中におかしな事に巻き込まれたと伝えるとあっさりと許してくれた。
なので、ここからが大切だ。
「それで今回の事件なんだけど……。」
俺は、あの後何が起きたのかを話した。
「??目にしたものは確かに異常だったよ?結構怖かったし。でも、警察を呼んでからの事は、おかしな所は無いよね?」
「人の話ちゃんと聞いてたか?」
「そりゃ聞いてたよ?でもそんなに気にする事なの?」
これだから虹はだめなんだ。
頭が弱すぎて話が通じなさすぎる。
それに、どこか短絡過ぎてもっと注意深くなって欲しい。
「上条は、言いたいことが分かるか?」
「多分だけど、現場検証の所じゃないかな?普通そこまでしないよね?」
「そうだ。実は、簡単な血液検査をしていたんだ。」
「血液検査?兄やん、あそこには、赤い絵の具かトマトジュースみたいのはあったけど、血なんて無かったよね?」
「もしかして、それがホントは血だったんじゃないのかな?……桜城君合ってるかな?」
「多分そうだ。」
ちゃんと上条には伝わっていたようだった。
そして、虹もちゃんと理解してもらえたみたいだった。
「…でも、たかが血でしょ?像に隠す事も出来るんだから別に変な事じゃ…」
「もしそのオブジェが、本当は人間だったら?虹ならどう思う?」
「あの像が本当は人間だったて言うの?兄やん流石に冗談は……マジなの?」
「いや、たぶん警察の反応からして本当だ。」
あまり現実的ではない。
ただ、その現実的でない反応を警察側がしていたんだ。
本職の人達がそういう反応ばかりしていて、応援を呼んでいる。
状況証拠としては納得がいく。
本当に人間が石化させられているなんて、普通なら信じがたいし自分の頭がどうにかしていると思い込んでしまうが……。
「…!もしかして、桜城君がアルバイトを早く終わらせるように行ったのは…」
「さつきちゃんに頼まれたのと、さっきのことで少し危機感を感じてな。……てなわけでそろそろ帰るか。」
「あ、待って桜城君。」
上条が手帳を取り出すと、数字の羅列を書き始めた。
その並びは俺も知っているようなものだった。
「桜城君と虹ちゃんはチェインやってるよね?これ私のIDで、その、よかったら、登録してほしいかな?9時ぐらいに空いてるからその頃に、もう少し今日の事を話してくれるかな?」
「分かった。」
「
「うん。」
IDの書かれた紙を受け取ると、メモリアルを出て上条を家の前まで送った。
その後は虹を駅までは送って、アパートに帰る。
それにしても、上条の自宅だが、想像の数倍も大きかった。
というか、庭まであって住んでる世界が違う事を改めて痛感した。
9時ぐらいになると、そろそろかと思いながらスマホを眺めていた。
数人の女子のチェインのIDを教えて貰っているが、トークや通話などはした事がなく、何気に初めてで緊張していた。
「…っと、早速来たな。」
律義にも時間ぴったしに上条からメッセが来た。
『桜城君今日はありがとう。それで早速なんだけど、本当に人だったのかな?』
これに関しては俺も自分を疑いたくなったが、思い返してみても簡易検査の結果の驚き様は普通ではなかった。
あんな反応は滅多にみられないものだった。
『それじゃあどうやって、人をあんな像にしたと思う?』
これに関しては自分でも考えてはみたものの分からなかった。
そもそも、どうやってあんなものを作ったか。
コンクリートで固めるって言ってもあんな細かく崩れるような事はない。
それに、どこであんな物が出来るんだって話になる。
ほぼ完全犯罪と言ってもおかしくないような手口だった。
『ねえ、もし出来るとしたらなんだと思う。』
俺も出来るとしたら何があるか考えはした。
しかし、石像の作り方から説明のしようがない。
『じゃあもし…、魔法か超能力があるとしたらどうかな?』
確かに、そんなものがあれば可能かもしれない。
オカルトの事が存在すればどんな完全犯罪だって出来る。
ただ、実際無いからこうやって悩んでいる。
(しかし、まるで魔法や超能力があるみたいな言い方だな。)
『やっぱりさっきのは、忘れて。さすがにあり得ないよね。先に聞いたのは私だけどそろそろ寝るね。』
それを最後にメールのやり取りは終わった。
「俺もそろそろ寝るか。」
そしてすぐに寝ることにした。
しかし、あの血の流れる様は怪我をして血が流れる様子と似ていた。
まるで、さっきまで生きていたかのような感じで、少し気味が悪く寝ようとしても頭から離れるまで時間がかかってしまった。
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