エピローグ 将来の大物

 万雷のスタンディング・オベーション。

 どこからか聴こえる指笛。

 辺り一面に飛び交う風船の群れ。

 降り注ぐ、眩し過ぎる照明。

 


 音飛炉ねひろは、改めて思った。

 自分の生きる、生まれた意味は今、この瞬間にこそるのだと。



 ふと舞台袖から、弾丸が飛んで来た。

 正体を知っていた音飛炉ねひろぐに、慌てず落ち着いて受け止め。

 そのまま、全員の前で、掲げてみせた。



 音飛炉ねひろ出夢いずむの娘、院城いんじょう 灯路ひろ

 彼女は、父から舞台道具の剣を借り。

 母に持ち上げられながら、両手を大きく広げ。

 劇団『トッケン』の観客達の前で、将来の大物は、宣言した。



「……なるっ!!

 私も将来、大きくなって!!

 ママとパパみたいな、格好かっこいヒーローに!!

 『トッケン』に、なるぅっ!!」



 あれから『ハナコー』を卒業しても、相変わらずな6人。

 彼彼女にとって『トッケン』は、永遠の勲章。

 6人だけが知る、分かち合った、輝ける「特権」となった。

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トッケン!! 〜変身(かわ)る仮割(かわ)る物語〜 七熊レン @apwdpwamtg

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