第38話 宝探しをするカップル。

「あれ……なんだろ、これ」

 いつもの文芸部室。

 ゲームの休憩中に棚を漁っていた結朱ゆずが、不可解そうな呟きを零した。

「どうした?」

 椅子に座ってスマホを見ていた俺が振り返ると、結朱はあるゲームソフトのパッケージをこっちに持ってきた。

「これなんだけど、中に変な紙が入ってたんだよね」

「紙……?」

 結朱が持ってきたゲームのパッケージを開けて中を見ると、そこには確かに一枚の手紙と、何かの地図が入っていた。

「なんだろ。学校内の地図っぽいけど……どこの部屋かな? 先に手紙を読まなきゃ意味が分からないのかも」

 地図を見ながら首を傾げる結朱。

 代わりに、俺が手紙を開けてみることに。

「『まだ見ぬ後輩へ。君たちがこの手紙を読んでいるということは、この文芸部のゲームたちは無事に継承されたのだろう』……まあ分かってはいたけど、このゲームを置いていったOBたちが仕込んだものみたいだな」

「ね。わざわざ手紙を残すなんて、なんだろ?」

 首を傾げる結朱に促されて、俺は続きを読み進める。

「『もしも、この手紙を読んでいる生徒が一人だけなら、速やかに手紙を閉じ、地図もろとも元の場所に戻してほしい。だが、二人以上の人間が読んでいるのなら、このまま読み進めてくれ。君たちにはその資格がある』……幸いにも二人いるな」

「ぼっちの大和やまと君がこの資格を満たせるなんて奇跡だね。私という存在が生まれてきたことに感謝して?」

「やかましいわ。『我々の時代、非常に危険な代物がこの文芸部室に転がり込んできた。多くの者がこの宝を巡って争い、人心は乱れ、文芸部は解散の危機にまで追い込まれた。故に我々は封印したのだ、その宝を』」

 自然と俺たち二人の視線が地図に向かう。

「おい、これってつまり……」

「宝の地図ってことだよね?」

 俺の言葉に、結朱も同じ見解を示した。

 急かされるような気持ちで、俺は手紙の続きを読む。

「『もしも君たちの関係が浅いものであるというのなら、この手紙のことは忘れてくれ。だが、君たちが真の絆を持つ者であるのなら、我々の無念を晴らしてほしい。同封された地図が君たちを宝に導くだろう』……だってさ」

「やるしかないでしょ!」

 俺が読み終えたのと同時、結朱が即座に挑戦を表明した。

 思わず、俺は呆れてしまう。

「おいおい……聞いてなかったのか? 真の絆がある者たちが挑戦しろってよ。俺たち、偽物カップルだぞ」

 真の絆から最も遠いところにいる二人である。

 が、結朱は俺の正論に納得せず、何故か聖女のような笑みを浮かべた。

「ううん。形が偽物だからこそ、その中でもちゃんと育まれた愛情は本物だと思うの。だから、大和君も私のことを好きっていう気持ちを隠さなくていいんだよ?」

「お前との関係の中で育まれたのは、『慣れ』と『諦め』の二つだけだわ」

 どんなエキセントリックな性格の奴でも、こうして毎日一緒にいると慣れてくるもんなんだなと。

 俺の冷たい視線に、結朱は不服そうに頬を膨らませた。

「むぅ……認めないね」

「当然だろ」

「分かった。なら、尚更これに挑戦しよう。これをクリアすることで、私たちの間には真の絆があるという証明になるし」

 逆に意地になった様子の結朱。

 まあ、俺も宝の地図とやらには少なからず興味があったし、ここは従っておくか。

「しょうがないな。とりあえず、中身だけでも確認したいしな」

「そうと決まれば早速出発しよう!」

 結朱は俺の手を引くと、文芸部室から飛び出した。



 そうして、俺たちは地図に従って校内を練り歩くことに。

「地図によると、ここだと思うんだけど」

 地図担当の結朱が立ち止まったのは、美術準備室の前だった。

「この中に宝が隠されてるってことか? まあ色々と物は溢れてるし、あんまり片付けはされてないしで、昔の宝も放置されてそうな感じはあるな」

「鍵は開いてる……ていうか壊れてるね、これ」

 呆れたような結朱の顔。

 見れば、木製ドアは蝶番のあたりが腐っており、鍵が機能していなかった。

「よっぽど使われてないんだな……こんな放置されてるなんて」

 微妙に呆れつつも、助かったのでそれ以上は言わないでおくことにした。

 中に入ると、絵の具とカビの臭いが漂ってくる。

 ごちゃごちゃの油絵や彫刻、画材などが無造作に置かれていた。

「こんなところに本当にあるのかな?」

「あったとしても、こうもぐちゃぐちゃだと見つけられるか分からんぞ」

 ヒントを求めて、俺は地図をよく見る。

「……ん? これ、地図の裏になんか書いてないか?」

「え? あ、本当だ」

 地図を裏返してみると、そこにさっきの手紙と同じ筆跡で、メッセージが残されていた。

「『左端の机の前でお姫様抱っこをするべし。さすれば、道は開かれるだろう』……ふざけてるな、破って帰ろう」

 イラッときた俺が地図を破ろうとすると、慌てたように結朱が止めてきた。

「まあまあ、そう怒らず。ここまで来たんならパパッとやっちゃおうよ。ね?」

「しょうがねえな……俺、お姫様抱っこされるの初めてだから、優しく頼むぞ」

「どう考えても大和君がする側だよね!?」

 不満を訴える結朱に押されて、俺は深々と溜め息を吐いた。

 まあ、その場で抱えるだけなら俺でもできるだろう。

「じゃあ……やるぞ」

「うん!」

 何故かにっこにこ笑顔で両手を広げてくる結朱。何がそんなに嬉しいのか。

 結朱が俺の首に腕を回すのに合わせて、彼女の背中を支え、膝の裏に腕を引っかけて持ち上げる。

 思ったよりも結朱は軽く、簡単に持ち上がった。

 多少照れ臭くはあるが、とにかくこれで条件は満たした。さて、どうなるか。

「………………」

「………………」

 しかしなにもおこらなかった!

「……え、大和君が役得で喜んだだけ?」

「俺が喜んでるのを前提にするな。とりあえず降ろすぞ」

 両手が空いた瞬間、あのふざけた地図を改めて破ってやろうと誓いながら、俺は結朱を降ろそうとする。

 が、彼女は俺の首根っこにぎゅっと抱きついたまま、降りようとしない。

「えー、そこはもっと私をお姫様抱っこしてることに未練を持ってほしいんだけど。なんならこのまま文芸部室まで戻っちゃう?」

「戻らねえよ、腰が死ぬわ。いいから降ろすぞ」

 結朱の抗議をスルーして、無理やり降ろそうとする。

 その時だった。

「……ん? なにあれ」

 不意に、彼女が机の下を見て首を傾げた。

「どうした?」

 結朱を離してから訊ねると、彼女は机の下を覗き込む。

「いや、今なにか紙みたいなのが机の下に貼ってあるのが見えたんだよね。確かこの辺に……あった」

 結朱が机の下から、何かの紙を剥がして、俺に渡してきた。

 よく見ると、両面テープをくっつけられた封筒である。

 開けてみると、手紙と地図の二枚が出てきた。手紙のほうを読んでみることに。

「えーと……『よくぞこの手紙を見つけた。お姫様抱っこで視線の高さを変えると見つけられる仕組み、お楽しみいただけたかな? ところで、学校でお姫様抱っこをするとか恥ずかしくないの?』……よし」

「待って待って! 無表情で手紙破ろうとするのやめて!」

 手紙を人力シュレッダーにかけようとする俺を、結朱が必死に止めてきた。

「そうだな。もしかしたら、このOBに繋がるヒントが残ってるかもしれないし」

 もし身元が割れた際には一発ぶん殴りにいくと心に決めつつ、俺は手紙の続きを読むことに。

「『残念ながら、宝はここにはない。だが、次の道に続くヒントをここに残そう』」

「次の道……この地図のことかな?」

 手紙に同封されていた地図を、結朱が広げてみせる。

「そうだな。この地図によると……次は音楽室か?」



 ――数分後。

 俺たちは音楽室の前にやってきた。

「むぅ……まだ吹奏楽部が活動してるね。どうしよっか、大和君」

 廊下から音楽室の様子を窺いながら、結朱が俺に判断を仰いでくる。

「そうだな……引退した三年生に置き忘れた荷物を探すよう頼まれたとか言えば、入り込めると思うぞ。結朱、三年生の知り合いもいるだろ?  人当たりのいい先輩を見繕って、口裏合わせるように頼んでおいてくれ」

「……大和君って、人を騙す手段がすごく豊富だよね。あとコミュ力があれば一流の詐欺師になれるよ」

 感心してるんだか呆れてるんだか、分からないような顔で俺を見てくる結朱。

「そうだな。なんせこんなに可愛い彼女がいるって嘘を吐いてる男だからな。ほら、交渉はお前の仕事だ。行ってこいコミュ力お化けめ」

「はーい」

 雑におだててから結朱を送り出すと、彼女もすんなり音楽室に向かった。

 そうして友達らしき部員を呼び出しして、少し話し込んだ後、俺を見て手招きしてくる。

「おっけーだって。ただし、もう部員たちは帰る時間だから、勝手に探して鍵だけ閉めていってくれって。さすが私だね、褒めてくれてもいいよ?」

 結朱は手のひらで音楽室の鍵をくるくる回しながら、交渉結果を伝えてきた。

「ああ、俺の計画通りよく動いてくれた。お前は実に使いやすい駒だったよ」

「何その悪役みたいな褒め方!?」

 一通りアホな会話を終えると、音楽室に入った。

「じゃ、結朱ちゃんまた明日ねー」

「あ、うん。またあしたー」

 帰宅する部員たちに手を振って見送る結朱。

 誰もいなくなったところで、俺は改めて地図を見直した。

 正確には、地図の裏を。

「また何か地図の裏に書いてあったり?」

 横から覗き込んでくる結朱に、一足先に読んだ俺は頷いた。

「ああ。今度の課題は、バッハの肖像画の前で肩車、だってよ」

「か、肩車ですか……私、スカートなんだけど」

 さすがの結朱も躊躇が生まれたのか、ちょっと赤くなっていた。

「いいか、結朱。肩車のコツはきちんと上に乗る人間の足を押さえてバランスを取ることだ。バランスさえしっかりしてればそう崩れることはない」

「ねえ、また私に力仕事を押しつけようとしてない!? 当然、大和君が下だよ!」

 恥ずかしがっている隙を突けば丸め込めるかと思ったのだが、また大変なほうを担当することになってしまった。

 ……ていうか、スカートの女子を肩車するなんて、俺も普通に恥ずかしいんだけど。

「えーと……本当にやるのか?」

 及び腰な俺が確認すると、勢いを削がれたのか結朱も小さく呻いた。

「うぐ……! や、やるよ! ここまで来たら!」

 どうにも引っ込みが付かなくなったらしく、そのまま強行しようとする結朱。

「じゃ、じゃあやるか」

「う、うん」

 俺がしゃがみ込むと、結朱がその背後に回り、一つ深呼吸してから、俺の肩に足を乗せてきた。

 白い結朱の太ももが視界の端に映ると、自然と心拍数が上がる。

「う、後ろ見ようとしたり、首動かしたりしちゃだめだからね!」

「わ、分かってるって。それより、立ち上がるぞ」

 結朱の足を押さえ、ゆっくりと立ち上がる。

「う……きゃっ」

 高さとバランスに怯んだのか、結朱は太ももで俺の顔を挟んで固定しようとしてきた。

 いや、ちょ、あの……やっぱりこれ、一番ギリギリの接触じゃね?

 とはいえ、ここでそれを口にしてしまえば、お互いに意識してしまう。

 そうなればマジで気まずい感じになってしまうことは目に見えていたので、俺は沈黙を守った。

「うぅ……早く探さないと」

 ものすごい緊張感を漂わせながら、結朱が捜索を始めた気配が伝わってくる。

 俺も手伝いたいところだが、首を動かすのを禁止されているため、極めて無力だ。

「ま、まだか、結朱」

「ちょっと待ってって」

 やることがないと、より結朱の太ももとか体温を直に感じてしまい、ものすごく恥ずかしくなってくる。

「あれ、この肖像画の裏にあるのって……やっぱり!」

 祈るような気持ちで過ごすこと数分、結朱が何かを見つけたようだ。

 ようやく終わったという解放感で、俺は反射的に上を向いてしまう。

「あったのか!?」

「きゃっ……ちょ、首動かさないでって!」

 俺が動いた驚きと羞恥からか、結朱がバランスを崩しそうになる。

 が、そこは運動神経にも定評のある結朱。

 俺の頭を抱きかかえるように掴み、太ももで強く顔を挟み込むことで態勢を整えた。

 ――ただし、とんでもなく密着度は上がってしまったが。

「…………っ! お、降ろして!」

「了解です!」

 俺は逆らうこともせず、脊髄反射的に結朱の指示に従う。

 どこに触ってたのか全然分からないけど、すごい色々と柔らかかったです!

 飛び退くような勢いで俺から離れた結朱は、真っ赤な顔でこっちを睨んでくる。多分、俺も同じくらい真っ赤になってる。

「……最後のあれ、わざとでしょ」

 耳まで赤くなりながら、唇を尖らせて疑惑をぶつけてくる結朱。

「いえ、完全に不注意でした。わざとじゃないです。申し訳ありません」

 俺の過失十割の事故だったため、こっちとしては平謝りするしかない。

「そりゃ、これだけ可愛い私と密着してしまったら、思春期の男子としては下心が湧くのは仕方ないけど、もうちょっと時と場所とムードを考えてほしいです」

 釈明は届かず、結朱の中では俺の理性が彼女の魅力に負けたことになったらしい。

「いや、マジでわざとじゃないんですって……」

 さすがに信じてもらえない状況なのが分かっているので、俺の弁明も非常に弱い。

「本当に? 全く下心なかったって、私の目を見て言える?」

 じーっと俺の顔を覗き込んでくる結朱。

「……あれは完全に事故だけど、下心がなかったって言ったら嘘になります」

 その圧力に負けて本音を告げると、自分で問い詰めたにもかかわらず、彼女は恥ずかしそうに俯いた。

「……大和君のえっち」

「返す言葉もないです」

 いやでも、あの状況だったら誰だって下心の一つくらい湧くさ!

 そう言いたい気持ちをぐっと堪えていると、結朱が軽く嘆息して顔を上げた。

「まあいいよ、事故なのは本当みたいだし。それより、早くこれ見よう」

 そう言って彼女が掲げてみせたのは、美術準備室で見つけたのと同じ封筒だった。

 どうやらこれが肖像画の裏に貼ってあったらしい。

「なんか嫌な予感がするけど……」

 俺は顔をしかめながら封筒を受け取り、やっぱり中に入っていた手紙を読む。

「『よくこれを見つけた。ところで、学校で肩車するとか恥ず――』よし、殺す。こいつの命こそが俺にとって宝だわ」

「待って待って! ここまで来たのにそれは骨折り損だよ!」

 再び手紙を人力シュレッダーに掛けようとする俺を、結朱が必死に止めてくる。

「ぐぬぬ……でも、こいつを許すことは俺の正義に反するぞ」

「でもほら、ここでやめたら全部水の泡だし。せっかくだから、お宝が確定したら全部破いていいから。ね?」

「そう……だな」

 深呼吸を一度挟み、自分を落ち着ける。

 ここまで恥をかいておきながら何も得ずに終わるなんて、さすがに許されない。

「よし……続けよう」

「うん。頑張ろうね」

 そうして、俺たちは新たな地図を見るのだった。



 ――コンコルド効果というものをご存じだろうか?

 『これ以上深入りしても絶対損するだけなのに、今までに掛けてきた費用や労力を無駄にしたくないという思いから深入りしてしまう』という心理のことである。

 今の俺たちが陥ったのもまさにこれ。

 あんなに恥をかいたのに何も得られずに終わってたまるか、という精神によって深入りした結果、凄まじい損害を被るハメになっている。

 音楽室の後、体育館、視聴覚室、職員室などを冒険し、その度に放たれる指令によって凄まじい辱めを受け、ふらふらになりながらも、ようやく最後の指令と書かれた紙に従い、宝の待つ場所にやってきた。

「……って、文芸部室じゃねえか!」

 見慣れた文芸部室の前で、俺は思わず怒鳴った。

 そう、最後の地図に記されていたのは、スタート地点であるこの文芸部室である。

「これで悪戯だったら、さすがの私も手紙を破るよ……」

 精神的疲労が重いのか、結朱ももはや俺を宥めようとしない。

 二人揃って文芸部室に入り、恒例となった地図の裏を見る。

「『本棚にある六法全書の二〇四頁』だってよ」

 最後は捻りもなくストレートな指定だったので、安心して指示に従うことに。

「六法全書……これかな?」

 結朱が六法全書を手に取り、指定されたページを開ける。

 すると、中から手紙が出てきた。

「なんて書いてある?」

 訊ねると、彼女は朗読を始めた。

「待ってね。えーと……『よくぞ見つけてくれた。君たちがここに来るまでに色々あったと思う。喜び、悲しみ、少しの怒りとドキドキ……その思い出こそが真の宝だ!』」

「くだらねえよ! おい、マジでこのオチだったらコンコルドにも程があるぞ!」

「『……というのは冗談で、ちゃんと宝は用意してあるので安心してほしい』」

「二重でくだらねえよ! いらねえサプライズだわ、今のくだり!」

 おかげでどっと疲れたわ。

「『宝はこの六法全書の最後のページにある。受け取ってほしい』……だって」

 言うなり、結朱は辞書をめくり、最後のページを開く。

 と、そこに入っていたのは、ゲームソフトと思しきDVDROMだった。

「ただのゲームじゃねえか」

 俺はソフトを矯めつ眇めつ眺めてみるが、特に変わったところはない。

 と、結朱がさっきの手紙に再び目を落とす。

「あ、まだ続きあった。『PS、そこにあるのは、我々の時代にめちゃくちゃ流行っていたパーティゲームである。我々、ちょっとこれで白熱しすぎたせいで友情にヒビが入り、絶交寸前まで追い込まれたので、ここに封印したのだ。しかし、この試練を乗り越えるほどの絆を持つ君たちなら、きっと楽しめることだろう!』……だってさ」

 手紙の途中から、結朱はどこか呆れたような表情になっていた。無論、俺も同じ表情をしている。

「宝を巡って人心が乱れたって……」

「……パーティゲームで喧嘩になっただけってことみたいだね」

 三度目、三度目だ。

 この短時間で三度も同じことを言うのはどうかと思うが、あえて言おう。

「くっっっだらねえよ!」

 ――こうして、俺たちは冒険の末に、元々部室にあったパーティゲームを手に入れたのだった。



 その後、

「あ、おいコラ! 俺の金持っていくな!」

「油断してるほうが悪いんだよ! むしろ私に貢げたことを感謝して?」

「しばくぞ、この……うりゃ!」

「ああ!? なにこの借金!」

「うははは! 見たか! まあ安心しろ? 結朱がどんな借金まみれになっても捨てたりしないから!」

「ぐぬぬ……! もー! だから友達いないんだよ、大和君は!」

「うるせえ! ついこの間まで人間関係トラブってた奴に言われたくねえな!」

「なんだとー!?」

 一回遊んだだけで、俺たちもこのゲームを封印することになったのだった。


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