第17話 教会の作成を推奨します
「ドンガさん、どうですか? 何か不満とかありませんか?」
「村長殿。いや、不満などあるわけがない。美味しい食べ物に立派な寝床。それに戦争に怯える心配もない。ここは天国だ。うちの連中もみんな本当に感謝している」
ドンガさんたちがこの村に来て、数日が経った。
どうやらこの村での生活を喜んでくれているようで、村長として嬉しい限りだ。
そう。
ベルリットさんたちに続いて、彼らもこの村の新たな住民になったのである。
これで新たに44人が加わって、村人の数は97人になった。
もう少しで百人に到達してしまう。
もちろん新たに長屋を増やすなど、環境を整える必要があった。
幸い畑で収穫できる野菜が予想よりも大ぶりだったこともあり、食料にはまだ余裕がある。
念のため新たに四面ほど畑を増やしはしたけれど。
ドンガさんたちの一団も、大半が女性と子供だった。
男女比があまり変わらない子供を含めたとしても、女性の人数はざっと男性の倍だ。
彼らにも村人鑑定を使い、僕はそれぞれに仕事を割り振っていった。
と言っても、まだ仕事の種類そのものが少ないので、必ずしも適正職業に相応しい仕事を任せられるわけではない。
また、潜在的なギフト持ちも六人いた。
祝福を受けさせることができないので、宝の持ち腐れというか、とても歯痒い気持ちになるけれど。
そうしてドンガさんたちもまた、村での生活に慣れてきた頃だった。
「村長! また難民と思われる一団が……っ!」
新たに難民が村にやってきた。
しかも今度は七十人を超す大所帯だった。
「どうするのよ? さすがに、あの全員を受け入れるのはキャパオーバーじゃない?」
「うーん……」
セレンの意見に、僕は頭を悩ませる。
毎日の加算ポイントが増えたため、まだどうにかポイントは余っている。
食料の方も、セレンたちが狩りを頑張ってくれているので、どうにかなるだろう。
問題はスペースだ。
すでに畑や長屋が、村の面積いっぱいを占めてしまっているため、新しく長屋を作る場所がないのである。
ひと世帯の人数が少ない家庭には、我慢して一つの部屋を共有してもらうか。
それとも……。
〈村人の数が100人を超えれば、村レベルが上がり、村の面積が拡張されます〉
「あ、そうなの?」
〈はい。ですので、村人として受け入れることを推奨します〉
推奨されてしまった。
それにしても、前から思っていたんだけれど、このガイド、時々アドバイスをくれるんだけれど、一体どういう基準でしているんだろう?
しかもこちらの状況をばっちり把握しているし。
ともかく、僕はその新たな難民たちを村人にすることに決めたのだった。
〈レオンを代表する76人が村人になりました〉
〈パンパカパーン! おめでとうございます! 村人の数が100人を超えましたので、村レベルが4になりました〉
〈レベルアップボーナスとして、400村ポイントを獲得しました〉
〈作成できる施設が追加されました〉
〈最大村面積が増加しました〉
〈スキル「侵入者感知」を習得しました〉
ガイドが言っていた通り、レベルが上がった。
最大村面積は、意識するとどの程度まで村を拡張できるかが感覚で分かるようになるんだけれど、レベル3のときのちょうど倍になっていた。
今までの傾向だと、どうやらレベルが上がることで毎回、二倍に増えていくみたいだ。
……あれ?
それだと、いずれとんでもない広さになるような……。
ま、まぁ、いいや。
それより新しく作れるようになった施設を確認しよう。
店舗(80) 工房(80) 公衆便所(80) 更生施設(100) 教会(150)
店舗はお店を経営するのに適した建物のことかな?
工房は職人さん用のアトリエ的なところだろう。
公衆便所? それに更生施設って……。
ただ、それより気になったのが、教会だ。
〈教会の作成を推奨します〉
というのも、ガイドがそう主張してくるからだ。
教会と言っても、神官がいない今、箱を作るだけの意味しかない気がするけど……。
しかも150ポイントと、結構なポイントが必要らしい。
「それはどうして?」
〈潜在的な『神託』のギフト持ちであれば、教会で祈りを捧げることにより、ギフトを授かることが可能です〉
「えっ? それってつまり、わざわざ他の教会に行く必要がなくなるってこと……?」
〈はい〉
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