03



 あの王子様には、心を許せるような友がいませんでした。

 家族も、皆亡くなっているため、いつも孤独です。

 しかも、周りには陰謀をはりめぐらせる者達ばかり。


 王子の周囲にいるのは、傀儡にしてしまおうと考える敵ばかりなのです。

 嘘を吐く物。

 誤魔化す物。

 人当たりの良い笑みで、おべっかを言い、すり寄ってくる者。


 これまで王子は、そんな偽りだらけの毎日を過ごしていたのです。


 こんな中での、お嬢様の登場。


 動機はアレですが、単純思考で真っすぐなお嬢様は、ある意味王子が心を許せる唯一の存在だったのでしょう。

 腹を割って話せる関係を得た王子は、日に日に表情豊かになっていきました。


「さーて、次の嫌がらせを考えなくっちゃ!」


 ウキウキしながら作戦を練るお嬢様を見つめて私は思う。


 国の為にも王子の為にも、どうかそのまま何も気づかす、王子様に嫌がらせしていてください、と。


 でも、できればもっと穏便な方法で、王子様に寄り添ってほしいですけど。


 こんな事を考えているのが知れたら。不敬罪ですね。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

悪役令嬢に転生したお嬢様は、攻略対象に嫌がらせする事にした 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ