02
事の始まりは一年前。
私の仕えるお嬢様は、唐突に前世の出来事を思い出したらしい。
ベッドから起きたお嬢様が、何やら興奮した様子で話だしたのを、昨日の事の様に鮮明に思い出せます。
それで、この世界は乙女ゲームの世界で、自分は悪役令嬢だと述べられました。
お嬢様の未来は、破滅まっしぐら。
だったら普通は、行動を改めますよね。
しかしお嬢様はおかしかった。
やられる前にやれ!
という人だった。
そういうわけで、攻略対象に嫌がらせをし始めたんです。
その被害を最も受けているのがこの国の王子。
嫌いな虫をけしかけられたり、嫌いな食べ物をおやつにまぜられたり、お化けのフリで脅かされたりしています。
なので、毎回お嬢様が帰る頃になると、顔を真っ赤にして「二度と来るな!」となります。
よく打ち首にされないものです。
私も何度、不敬の罪でとらえられる事を覚悟したか。
でも、未だに無事。
帰りの馬車で、ニヤニヤするお嬢様に注意するのが日課となってしまいました。
「お嬢様、もう少し自重していただけませんか?」
「嫌よ。そんな事したら私が断罪イベントで破滅しちゃうわ」
お嬢様は意地悪そうな笑みで「でも、これで王子の精神が参るのも時間の問題ね」と言います。
ですが私は知っています。
最近知った事ですが、王子は実はお嬢様の来訪を楽しみにしておられるんですよ。
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