第14話 記憶力
ー猫様は僕のことを下僕と呼んでいると思う
暫し暑い日が続いた後の、この、どんっと寒い日。
人間は服を心ゆくまで着れば良い。
けれど猫様は違う。
毛皮一枚しか防寒アイテムがないのだ。
(服着たくないし)
よって彼女は温もりを求めて人間の布団という布団を襲う。
人間がパッと脱いだ衣服を狙う。
横になった人間の体温を奪う。
でも。それらはすぐに片付けられてしまう。
彼女は考え、考えた。
母に訴えようと。
すりすり。すりすり。お母さ〜ん。ちょっと今日寒いのにゃ〜。何かあったかいのちょーらい?
母は彼女の考えを汲んで毛布を取りに行った。
それは彼女が勝手に気に入って一冬越した毛布だった。
母は覚えてないだろうと思いつつ、肌触りが気に入ったから昨年手放さなかったのだろうと、なれば今日も初めて見るものだと認識しても気に入ってくれるだろうとそれをとってきたそうだ。
猫様は母が手に持つ毛布を見て目の色を変えた。
母がそれを彼女のベッドまで持っていく間、ずっとくっついて歩いた。
母がベッドの上にそれを敷いた途端。
ぴょんと飛び乗り、丸くなった。
覚えていたらしい。と母は笑っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます