第9話 ダメゼッタイ

 無視は良くないです。


 ―猫様は僕のことを下僕と呼んでいると思う。



 電気カーペットの上に寝転がりながら、僕はスマホを地べたに置いてニュースを読んでいました。


 ふわふわとしたものが僕の頬に触れました。毛布かなぁ、なんて思って気にせずにいました。


 急に僕とスマホの間に黒い何かが通りました。


 なんとなく察した僕は無視を決め込みました。その方が面白いかな、と思ったからです。


 さて、何度も何度も黒い何かは僕の視界を邪魔します。


 そろそろ飽きてきた僕はスマホから手を引き、黒いふわふわを撫でようとしましたが。



 すとん。



 猫様は僕のスマホの上に御座りになりました。



 僕は猫様を撫でました。彼女が心ゆくまで。僕は心から反省しました。そして、謝りました。


「猫様、無視してごめんなさい。」


 猫様は分かれば良いのよ、と尻尾をパタパタさせて下さいました。そして、気持ち良さげに喉をゴロゴロと鳴らしていらっしゃいました。


 僕は少し嬉しくなりました。


 さて、冷たかったスマホはいつの間にか、ほのかに温かくなっていました。



後書き


猫も人もおんなじ。

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