新選組の光と影。
その光の部分を担っているのが、永倉新八だと思います。
実は家柄が良くて剣術の腕前は抜群。
近藤、土方、芹沢からも信頼されている。
若い頃の写真を見ると不鮮明ですが、どこか飄々としていて武士というよりは、サムライという言葉が似合いそうな、かっこいいおにいさん。
鳥羽伏見の戦いでは追いつめられて、京都に妻子を残して江戸に戻らねばならなかったり、つらい別れもありましたが、池田屋など派手な新選組の乱闘シーンには欠かせません。
悲惨な最期を遂げた隊士が多い中、永倉新八は明治の世を生きて様々な武勇伝や逸話を残します。
晩年には口述「新選組顛末記」や近藤と土方の墓を東京都北区滝野川に建立して、新選組の顕彰活動につとめます。
そんな永倉新八が主人公のこちらの小説は、京都時代と鳥羽伏見の戦いに破れて帰って来た江戸品川が舞台で<新選組隊士たちのつかの間の休日、派手に遊んでいます>といった趣。
品川宿でのオフタイムの新選組が新鮮です。
敵娼たちとの戯れも微笑ましくて心温まるのです。
個人的には島田魁が、かわいいと思ってしまいました。
もちろん、それだけでは無く幕末の複雑な政治状況が書かれていたり、芹沢鴨の死の真相など、作者様独自の解釈でかなり血なまぐさく描かれていて、読み応えがあります。
新選組にはたくさんのスター?!がいますが、新八さんもいい!と、あらためて思わせてもらえる小説でした。