第4話 君は『???キャラを演じたい』みたいだ。

(後輩目線)


 キスをしたあとに余韻を楽しみたかったし、まだ先輩と一緒にいたいという理由もあって、先輩に頼んでベンチで恋人つなぎをしながらいろんな話をしていた。


 もう周りは夜で歩道にある電柱についている蛍光灯は光っていた。多分、お母さんやお父さんに怒られそう……。そろそろ帰ったほうがいいかな。


「……そろそろ帰りま………あ。」


 私は、そろそろ帰ろうかと隣にいる先輩のいる方を向いた。そして、向きながら帰ろうと言おうとするのだけど………やめた。


 なぜなら……


「すぅ……すぅ……」


 寝てしまっていたから。起こしちゃ悪いよね。


 ……と、まぁそんなふうに言い訳して先輩を起こすのをやめる。ちなみに、『起こしちゃ悪い』は少しくらいは思うところもあるけど、本心じゃない。だから、言い訳だ。


 本心は、いたずらしたい、それだけだ。


「……先輩、寝ている私にいたずらしてきたんですから、先輩が寝ていたら、いたずらしてもいいよね……?」


 なにしよう? ふふふっ! 私も、キスしてみようかな。


 チュッ……


 まだ2度目……いや、先輩がなんどかしていたから何度目だ? よく分からないけど、何回かしているのに緊張している。心臓がドキドキと跳ねている。


 恥ずかしい〜っ! ってか、先輩の寝顔かわいい……。


 ……それで、他にもなにをしちゃおう? せっかく付き合うことができたんだし、キス以上のこととか?


 寝ているときだからこそできることとか?

 そ、そうだ……


 起きているときには絶対に恥ずかしくてできないことを考えてみることにした。そして、見つけた。見つけてしまった……と言ったほうが正しい気がする。


 キスとか……そういうことはドキドキするけどなんとか頑張ればできる。だけど、頑張ってもできないことだってあるもん。


「……ふぅ……はぁ。」


 しているところを考えただけでドキドキする。ツンデレキャラなら、自分の想いを伝えなくても否定をし続ければいいからなんとかなったけど……いや、なってないか。最後にはいつも先輩の提案に乗っちゃっていたし。


 でも、???キャラは……恥ずっ……。

 し、しょうがないよね。先輩が寝てしまったのが悪いんだよ。


「……ふぅ。よしっ。」


 まず私は、この付近に誰もいないことを確認してからベンチに座って寝ている先輩のひざに乗った。そして、先輩に抱きつく。


 ドクッ……ドクッ……ドクッ……


 その後に、自分の着ている白シャツの服の第1ボタンを外す。さすがに、全部とかは恥ずかしいから。


 そして……私は背中に手を回し先輩の顔に胸を押し付けてみた。


「……え?」


「……え?」


 すると……先輩は起きてしまった。ドキドキとなっている私の心拍音に起こされたのだろうか?


「な……な、にしてんの……?」


「……、ご、ごめんなさーい!!!!」


 私はさっきまでしていた恥ずかしいことに振り返って気付くと、その場所から先輩を置いて逃げてしまった。


 どうやら、さっきの私は『痴女』……じゃなくて、『小悪魔な女子』になりたかったらしい。


 その理由は、先輩が持ってきていたあのツンデレがヒロインの本にあった。


 そのツンデレヒロインと主人公は付き合うことになる場面のときのことだ。その話では、ツンデレだけど普通の君も可愛いよと言われたツンデレヒロインはその後眠っている主人公に向かって、いつもと違った小悪魔な女子になってみようとしたというところ。


 私は……それをしてみたかったのかもしれない。


 そんなことを考えながら、家に向かって走った。ちなみに、明日の登校日にちょっと気まずい雰囲気になったのだけど、ちゃんと私が事情を話したら分かってくれたようで、また仲良く話すことができた。


 それどころか、より仲が深まった気がしてやってよかったって、そう思えた。



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君は『ツンデレキャラ』を演じたいみたいだけど、僕からみたら『僕に甘える可愛い後輩』 一葉 @ichiyo1126

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