お兄ちゃんと呼んでほしい俺と妹(仮)になってくれないあの子
@chinopon
第1話
ー帰り道、ふと夕空を見上げる。西日が照りつける中、俺は思わずこう呟いた。
「妹が欲しい…」
すると後ろから鋭いツッコミが飛んできた。
「何アホなこと呟いてるの?キモイよ。」
「アハハ…ごめんごめん冗談だって。」
俺の名前は佐竹文彦。大学1年生で学部は理学部だ。周りからはタケフミと呼ばれている。
そして、この後ろからツッコんできたのが俺の幼なじみの綿井凛。俺と同じ大学1年生で学部は観光学部だ。周りからはリンちゃんって呼ばれている。
コイツは普段は優しいのだが、たまに当たりが強くなる時がある。
理由は分かってる。それは俺が「ロリコン」という性癖を持っており、たまにそういった発言が出るからだ。
俺は人それぞれの個性があるからと気にしていなかったがコイツはそれが気に食わないらしい。
「そんなことより今日のテストの結果はどうだったの?また悪い点数取るとおばさん怒るんじゃないの?」
「安心しな!今日のテストは悪い点数じゃないぜ!何せ赤点を取ってないからな!」
「でも赤点ギリギリじゃない。」
「うるせぇ。赤点取んなきゃいいんだよ。」
こんなたわいもない会話をしながら俺たちは歩いていた。
「それじゃ、私寄るところあるから。」
「おう!それじゃまた明日。」
「明日どんな風に怒られたか教えてね!」
「教えるわけないだろ!そもそも怒られないし!」
「はいはい、期待してますよ。」
そうして俺と凛は別々の道へ分かれた。
しばらく歩くと目の前に俺好みの小さい子が周りをキョロキョロしながら歩いていた。
逸る気持ちを抑えて俺はその子に声をかけた。
「あのー、君もしかして迷子?」
「ひゃっ!あなた誰ですか?不審者さんですか?」
まぁ分からなくもない。いきなり声をかけたら誰だってそんな反応するわな…
「不審者じゃないよ!君が何か困ってたから助けようと思ったんだよ。」
「本当ですか…?」
彼女はじっとこちらを睨んでそう言った。
「本当だよ。僕はいつだって困ってる人を助ける優しい人なのさ!」
小さい子を目の前に俺は調子いいことを言ってしまった。
「まぁ、乗りかかった船なのでお助けいただいてもよろしいですか?」
一体どこからそんな言葉を覚えたのだろうか…
「実はこの町に引っ越してきたばかりで帰り道が分からなくなったのです。学校に行く前にお母さんからこの辺の地図を描いてもらったのですが…」
「どれどれ…」
その地図は決して上手では無かったがだいたい目的地はわかった。
「なるほど。ここからはそう遠くないみたいだから案内するよ!」
「本当ですか!ありがとうございます!」
しかし待てよ?何か違和感を感じるぞ?まあきっと気のせいだろう。
彼女はすっかり俺を気に入ってくれて色んなことを教えてくれた。
「私ね、高田チエっていうの!こう見えて中学一年生なんだよ!本当だよ?好きなものはね…」
ロリコンの俺にとっては至福の時間でしばらくの優越感に浸っていた。
「ねぇ、聞いてる?」
「あぁ、ごめん。優越感に浸ってた…」
「ゆーえつかん?」
彼女にはまだ早かったようだ。
しばらくして目的地が近づいた時、違和感の正体に気がついた。
「あ、あれ?ここって…」
「あっ!着いた!やったー!あれ?もしかして?」
「はい…お隣の佐竹です…」
「うわぁー!お隣さんだったんだ!偶然だね!」
「まぁ、君が無事にたどり着けたならそれで良かったよ。じゃあね。」
いくらロリコンとは言えご近所トラブル起こすと悪いからこの子とあまり関わらない方がいいなと心に誓い家の扉を開けようとした瞬間、
「今日はありがとう!また何か困ったことがあったら助けてね!お兄ちゃん。」
そう言ってそそくさと彼女は自分の家の中へ入っていった。
あまりにも一瞬の出来事だったのでしばらくその場に立ち尽くしていた。
そして我に返り再びあの「お兄ちゃん」と言う言葉を思い出しこれまでに感じたことの無い喜びを感じた。
そして、俺はチエちゃんに一目惚れしてしまったのである。
ロリコン魂に火のついた俺は「チエちゃんを妹にしてお兄ちゃんと呼ばれ続けたい」というとんでもない発想を思いついたのである。
もちろん本気で妹にしようと思ってはいない。
俺は妹(仮)になってくれればそれで十分なのだ。
ここから俺タケフミと、お隣さんのチエちゃん(とリン?)の物語が始まるのである!
お兄ちゃんと呼んでほしい俺と妹(仮)になってくれないあの子 @chinopon
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