拘束魔法と結界魔法で異世界を安全に生き抜きます!

白鷺人和

第1話

気が付くとフローリングの上に俺は仰向けに寝っ転がっていた。

ムクリと上半身を起こし、辺りを見渡してみると、ここは見覚えのある部屋だった。

ここは、俺の実家だ。

どういう事だ?さっきまで俺は、腹を刺されてぶっ倒れたはずだが……。

"む?おぉ!目覚めたか"

どこからか声が響く。咄嗟に壁に背を当て周りを見渡すが、誰もいない。

"ほぉ?声を聞くなりすぐに辺りの警戒。

聞いていた通りの人物だな"

声の感じからすると……70~80ってとこか。問題なのは、こんなにも喋っているのに位置の特定ができない。相当な達人か?

「何者だ?あんた」

"儂が何者か?ふむ……強いて言うのなら、お主たちの言う神ってとこかの。まぁお主たちのような人間の姿はしていないが"

神だと?普通に考えれば意味がわからないが、この信じられない状況だと、信じざるを得ない所はあるが……。

「そんな神が、俺に何のようだ」

"先ず、お主は死んだ。刃物で腹を切り裂かれてな"

…………へぇ、やっぱ俺死んだのか……にしても、腹を刺された位で死んじまうなんざ、俺って結構打たれ弱かったんだなぁ。

"ほぉ?驚かないのだな"

感心した風に声の主は言った。

「まぁ、俺が育った所では、死なんてそこら中に転がってたからな」

"それもそうであったな……そして2つ目だが……お主にはこれから異世界へ転生してもらう!"

………はぁ?何か……急に信憑性が薄れたな。

…いや、何かやってもらう事があるとか?

「俺を異世界に転生だと?何故だ?」

"何故というわけではない。ただ、神たちの会議にて、お主の現世での境遇はあまりにも酷かった為、異世界に転生させてあげよう、となったのだ"

……へぇ、つまり俺は、憐れまれて転生することになったと……。

まぁ……いいや、ここで怒っても仕方ない。

俺は腰をおろした。

「で!?それで!?」

俺の口調は無意識に強くなっていた。

"そう声を荒げるな。そこでお主には、儂からの祝福を与えてやる。あっちで使える能力だ。魔法や、身体能力強化でもいい"

祝福かぁ……正直どうでもいいなぁ。

あ、そうだ。

「それより、なんで俺は今、実家にいるんだ?」

"あぁ、この場所はお主が現世で一番思い出に残っている場所だ"

へぇ、ここが、ねぇ……こんな俺でも、思い出に深く残っているのは、実家なんだなぁ。

俺は改めて部屋を見渡し、実家での平穏な日々を思い返した。

思い出に浸り終わった俺は、意思を固めた。

「日常を、平穏に暮らせるようにしてくれ!」

"ふむ、なるほど……主らしい願だ。聞き入れた!貴殿には、結界魔法の才能という祝福を与えよう、おまけに拘束魔法と身体能力強化もな、儂からのささやかな謝礼じゃ。

「謝礼?何言っ」

"では!健闘を祈る"

俺の言葉をわざと遮るような言葉の後、

どこからか、パチンッ!という指を鳴らす音が響き、俺の思い出の場所は眩い光に包まれた。






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