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幼い頃から絵心は無かった。
見たままに、見たものを描いても、見たものと結び付かない全体のバランスが崩れた絵。
自然に、次第に、絵は描かなくなったが、しかし。
瞼を閉じれば見える人は日毎に違って、顔の無い像であっても解る個性に満ち満ちていた。
ある時、粘土に触れた。
滑らかな手触りに、夢中になって手で形を与える。
我を忘れて夜通し手指を使い、翌朝の手元には遊ぶ顔の無い子供の像。
夢の惑い噺 山際タカネ @Leraye
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