第57話
「青龍を抱きし臣下から、権力の在り処を正しく戻したが為に、我が国は他国と違い神の加護の元、飢餓も疫病も然程に存在せぬ住み易き国となった。権力の在り処による争い事が減ったが為、それによる血の争いも無かった。ゆえに平安なる治世が続き、お慶びの大神、八百万の神の加護を得られたのだ。それは
伊織は、朱明を正視したまま言う。
朱明はそんな大それた事を、成し得る自信が無い。
小物霊の退治や呪詛などした事も無いのに、人間の命を絶つなど……そんな事、小心者で臆病者の朱明にできるはずは無い。
無いが……。
「腹を括って意に従われよ」
伊織は神妙に言った。
だから朱明も、神妙な表情で重々しく頷いた。
今上帝の、半端ない御憤りは理解ができる。
なぜなら、あの瑞獣様を殺った相手だからだ。
さすがの朱明も、憎しみという感情は持ち合わせている。
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