第126話
そしてそれが確固たる物となったのは、やはりあの朱明の父御と共に散ったが故である。
一旦孤銀は、光となって散り散りと霧散した。
それは不思議なもの達が今生ではなく、この宇宙全てから消え去る事だ。
光となって霧散する……それは形を残さずに消え去る事だからだ。
だから孤銀は、死んだと確信していた。
あの素晴らしき、能力の持ち主の陰陽師と共に……。
……だが、孤銀は主人たる眷属神の棲む、神山で目を覚ました。
主人たる眷属神の、見つめる傍らで……。
「孤銀よ大義であった」
銀色の毛並みの眷属神の主人は、孤銀の青い瞳を見つめて微笑んだ。
孤銀は自分より赤みが強い眼色の、主人の瞳を見入る。
「……私は……?光となりて霧散したのでは、なかったのでございますか?」
「確かに……三尾のそなたは霧散したが、その功績は甚だしい故、今一度そなたにあれを任せたい……そのできによっては、そなたを九尾と致し、我らと同じ神使と致す事を、大神様よりお許し頂いた」
「大神様でございますか?」
「ああ……私はさほどを考えずに、あれの子孫をそなたに護らせたは、実にあれが良い奴で、神楽の君様の憂いを軽き物と致したからだ。あれが居らねば、神楽の君様も弟帝様も、大事を全う致せなんだであろう……故に君様は額に護りを遺され、私はそなたを遺した」
尊き眷属神は同じ青い瞳の中央の、赤味が強い黒眼を大きくして見つめる。
「しかしながらそのお前が、此度の大事に大きく役立つとは、さすがの私も考えも及ばぬ事であったが、大神様は殊の外お喜びであられる……実に私も鼻が高い……故に五尾となって今生に再び参り、お妃様のお手助けを致してもらいたい」
「……お妃様……かの瑞獣鸞の?」
「よいか?これからお妃様は大神様の為に、大青龍を抱きし天子に、愛娘の碧雅様をお捧げになられる。そして諸々の手伝いを、かの者の子孫に致させる」
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