第1話
「あ〜あ、外れた」
2時間悩んで書いた手紙をぐしゃっと丸めゴミ箱に投げる。
そんな事が日常になったのはいつからだろうか。
昨日のカレーの残りを食べながら今日もテレビに流れる天気予報を見る。
つい先日高校を卒業した筈が、気付けば大学3年の夏になる。
中高に引き続き大学も女子校を選んだ私は、今日もだらしない服装で冷たいフローリングに大の字で寝転がる。
大学1年の春、友達に連れられて入ったインカレサークルで小学生ぶりに異性と話した。
受験期、模試会場に異性がいるだけで手汗が止まらなくなり、息の仕方を忘れて貧血になってしまった私が、まともに会話ができる筈も無く、サークルで初めての異性の友達ができたのは12月の末だった。
異性の友達ができた。
それとほぼ同時期に恋をした。
初恋ぶりだった。
この彼が、これから話す話の主役になる。
訳ではなく、彼はこの物語では脇役だ。
一目惚れし、初めてご飯に誘い、初めてチョコレートを渡した彼との冬はあっという間に過ぎ、それと同時にわたしの恋心も溶けた。溶けた、というより、砕け散った、というべきかもしれない。
久しぶりの恋は呆気なく終わりを告げた。
しかし、この終わりが私の元に君を連れてきてくれた。
苺 なつ @natsunohi
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