トワイライト ××しないと出られない
仲仁へび(旧:離久)
01
キスしないと出られない部屋に閉じ込められた。
なんでやねん。
あたし達……アメリア・クラン・シェフィ・おっさん・ヒューズ・タバサは遺跡探索の途中で、トラップを発動させてしまい、こんな部屋に閉じこめられてしまっていた。
どうすればいいんだ。
あたしは嫌だ。クランやヒューズは王子だからスキャンダルがまずい。シェフィは倫理的にアウト。タバサはどうだかわからないけど……。
ぱっと思いついたのは、
「おっさん、さっさと地面に這いつくばれ」
「それって、ケンカした後に地面とキスさせてやるよみたいな流れじゃない!? さすがに傷ついちゃうわよ!」
一番プライドとか気にしなさそうなおっさんを被害者にする方法だ。
でも、シェフィに反対されて断念。
「可哀想です」
「ちっ、シェフィに感謝しろよおっさん」
「ありがとぉぉぉっ!」
けれど、何かしないとここから出られないのは事実。
ヒューズがイライラした様子で手をあげて意見を口にした。
「なら、どうするんです。兄さんとアメリアさんがさっさとくっついてくれるんですか」
こっちに流れ弾が来た!
「だっ、誰がこんなもやし野郎と!」
クランの方を見る。にこやかにしているムカつく顔だ。
なのに、知らずに熱が上がって来た。
「僕は別に構わないけどね」
「あたしが構うんだよ」
盗賊とききききき、キスなんてしたがる王子サマとか世も末だな!
こいつやっぱり頭おかしいだろ。
「だったら、ヒューズはどうなんだよ。タバサと仲いいだろ!」
「はぁ? 何を言ってるんです。タバサさんとはあくまで友人関係であって、恋愛感情なんて存在しませんよ」
ヒューズは微塵も同様せずに言ってのけたが、タバサは不満みたいだった。
「え? そうなの? ヒューズ君ひっどーい」
「えっ?」
「あたしたち、大事な仲間でしょ? だだの友達扱いなんて傷つくなー」
「あ、ああ。そうですか」
タバサは天然だな。
この分だと、ヒューズの気持ちに気づくのは当分先そうだ。
しっかし、こうなるとどうすなるんだ。
一生このまま部屋から出られないんじゃないか。
そんなの嫌だ。
こんな馬鹿げたトラップで命を落とすなんて間抜けにもほどがある。
頭を抱えていると、シェフィに予想できない事を言われた。
「あの……お父さんと、お母さんにするやつじゃ、駄目なんですか?」
「ん? どういう事だ?」
シェフィに手招きされて、近寄るあたしとクラン。
で、その場に身をかがめたら、頬にキスされた。
「えへへ、今までお世話になったお礼……です」
天使!
あたし達の心がいかに汚れてるかよく分かったよ。
そうだよな。別に恋愛の意味じゃなくてもできるもんな。
条件達成だったのか、閉じていた扉が開いた。
「さっすがシェフィちゃん、若い頭の柔軟な思考ってすごいねー」
「以外ですね。タバサさんでも思いつかなかったんですか」
「えっ? そうだね。いつもだったら思い付きそうなのに、何でだろー」
無意識に意識しあってるタバサとヒューズの事は置いといて、地面につっぷして泣いていたおっさんを回収しながら部屋をでていく。
クランと並んで歩いていると、間にシェフィが入り込んできた。
たぶん最初に会ったのがあたし達だったから、親代わりとして見られてるんだろうな。
悪い気分はしないけど。
「早く……本当のお父さんとお母さんにも、してあげたいです!」
「きっとできるさ」
「そうだな」
そのためにはまずは、忘れちまった記憶を思い出さないとな。
トワイライト ××しないと出られない 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます