恋愛脳のメカニズムを知らないで、やれツンデレだとかやれヤンデレだとかやれ幼馴染だとか騒ぐラノベ作家やエロゲー作家は、一度ホルモンの女王に謝った方が良い
第36話 「あっち行って」「変態」「警察呼ぶわよ」
第36話 「あっち行って」「変態」「警察呼ぶわよ」
「「あっち行って」「変態」「警察呼ぶわよ」「無視、無視、知らんぷり~」って、大体本音を言っちゃえばいいんだ」
「池田さん。そんなことならあそこに居る葵と藤萌さんと紫恋さんを見てればいいんですよ」
俺が指差す三人は自分たちの周りに円を描き結界を張ると、スマホを取り出し、周りに居る野郎どもを威嚇している。
「そこから入るなよ。警察呼ぶから。変態!」
「大体、タイプじゃないんだから、話しかけるな! 耳が腐る、変態!」
「こっち見んな。金取るぞ。変態!」
もっとも、これらのセリフを吐くのは、葵と藤萌さんで、紫恋さんは二人に庇(かば)われ、小さくなっている。紫恋さんは泣きそうじゃないか。二人はか弱い紫恋さんを必死で守っているのだ。
「あっ、危ない! あの三人を守らなくては」
俺は話しかけている野郎に、嫉妬を感じたのかもしれない。
そして結界を超えて、男たちが入って来た。それを見て、俺は三人のところに駆け出した時、警備員が飛び出し、教育的指導がナンパ野郎に入るのだ。
「「「来てくれてありがとう!」」」
三人が俺に向かって礼を言ってくれるんだが……。
「何事もなくてよかったよ。それに俺は何もしていないし、警備員さんの方が頼りになるしな」
「ううん、来てくれてうれしかった!」
「ありがとう。光輝君、怖くなかった?」
「光輝が、こんなに勇気があるとわね」
藤萌さん、紫恋さんに抱き付かれてしまった。どうだ。葵、少しは俺を見直したか。
「なるほどね。どう断っても、しつこい男はいると」
池田さんはそう言いながら、冷静にメモを取っている。さすが毎年の恒例行事だ。
「ところで、五条君、ナンパを成功させようと思ったら、どう声を掛けたらいいと思う?」
「そうですね。女の子は、まず相手を知ろうとするところから始まりますから、こちらがどういう人間か、相手に伝える必要があると思います」
俺の言葉に健二も納得する。まあギフトの受け売りだ。
「なるほど、だから、お前みたいなイケメンでも断られるんだ」
「健二、前にも言ったけど、女は顔を重視しないから、いきなり知らない人の言葉には乗らないさ」
「それで、同じ学校の女の子は、同じ学校っていう情報が有るから、お前のことが気になるんだ」
「まあ、そういうことだな。気になればさらに知りたくなるのが女心だ」
「うんうん。なるほどね。じゃあ今度はあなた達、あそこの海の家でアルバイトしているってことで声を掛けてみて」
池田さんは、今度はとんでもないことを提案する。
「ダメですよ。俺たちあそこの海の家でアルバイトしていないし、それに嘘はすぐばれますって」
「大丈夫よ。あの海の家、私のお父さんの会社のリゾート部の下請けだから」
そういって、メモに走り書きして、俺たちにそのメモを寄越した。この池田さんもかなり金持ちの家柄なんだと思いながら、メモに目を通す。へえ~、なかなかの誘い文句だ。
俺たちは、メモの通り女の子に声を掛ける。
「ねえ、俺たちそこの海の家でアルバイトしているんだ。食べに来ない。おごるからさ」
このセリフ、きっと食べ物につられて来ていると思うんだが。ナンパの成功率も上がり、なんか俺たちについてくる女の子が何人か出て来た。
「うんうん。上手くいっている。うちの海の家の売上も上がっているし」
「池田さん。売り上げは上がらないですよね。だって、タダですから」
「えっ、あなた達、自分でおごりって言ってたでしょ。後でちゃんと請求するわよ」
「「なんだよ、それ!」」
俺たちは、絶句した。池田さんにしっかり嵌(は)められたわけだ。
そして、周りにいた女性グループに一通り声を掛け終って、ぐったりしている俺たちの所に、藤萌さんがやってきた。
「光輝くん。私にも、葵とか紫恋が服用している美容薬をもらえないかしら?」
「あれ、美容薬っていうか、ホルモン剤みたいなもんだけど」
「ホルモン剤なの? でも、飲めばきれいになるんでしょ。だったら私も飲みたい!」
「別にいいけど、ホルモンを正しく理解するために、毎週うちの薬局に来ることができる?」
「大丈夫よ。私だけ遅れを取るわけにはいかないもの」
「はあ、後れを取る?」
「なんでもないのよ。こちらのことよ」
(葵の肌は、女の目から見ても完璧だし、紫恋も、きめ細かくてすべすべしているし。これで、女の子らしい脂肪がついたらと思うと、結構手強いわよ。それに、大人しいだけかと思ったら、光輝くんに抱き付いていたし)
「あの、藤萌さん。心の声が駄々洩れなんですけど」
「やだ、恥ずかしい!」
そう言って、藤萌さんは海の方まで走って行ってしまった。
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