【SS】女「ね、ねえねえ! あの人スゴいカッコよくない!?」 俺「……」スタスタ

文月 景冬

第1話「聖夜」

彼氏「え? ああ、まあ、そうかな……」


女「ごめんなさい! クリスマスデートの予定は中止! さようなら!」タッタッタッ


彼氏「お、おい!? どこ行くんだよ!?」


俺「……」スタスタ


女「あ、あのっ!」ザッ


俺「?」ピタッ


JK「お、お兄さん! 今日はこれからご予定はございますか!?」


女「えっ!? だ、誰この子!? 先越された!? ちょっと、私が先よ! 邪魔しないで!」グイーッ


JK「私! 先程お兄さんをお見かけして、一目惚れしてしまい……」


女「待ちなさいって!」


俺「……」


俺「何なんだ、お前たちは」イケボ


女(こ、声までかっこいい……)ドキーン



俺「クリスマスにこんな往来で騒がれると」


俺「くくっ。まるで俺が修羅場でも迎えているように思われてしまう」


女「あ……」


女(よ、よく見たら周りからスゴい見られてる……。恥ずかしい……)カアアッ


野次馬「」ザワザワ


俺「Can't talk!」カッ


シーン


女(凄く綺麗な発音……帰国子女とかなのかな?)トローン


俺「それで、何か御用かな? お嬢さん達」


女「え、えっと……あ、あの……」


JK「好きです! 私とお付き合いしてください!」ダキッ


オオッ


女「なっ! ここは冷静になる場面でしょうが! これだから若いのは! すぐに勢いだけで突っ走る!」


俺「……ふむ。大胆なお嬢さんだ」


JK「い、いかがでしょう……?」ドキドキ


ギュウウ



女「ズ、ズルいわよ! そんないきなり抱きついて! 身体を使って愛を得ようだなんて!」


JK「……お姉さん、先程別の男性といらっしゃいましたよね? 手を繋いでショッピングを楽しんでいるようでしたけど」


女「そ、それが何よ!」


JK「いえ?」


俺「くくっ。女というのは怖いな。この場に至る前から既に戦いは始まっていたということか」


女「あぅ……」


女(か、軽い女だと思われちゃった……)シュン


JK「わ、私は……その……き、綺麗、ですので……安心してください……」カアアッ


オオッ


モブ1「これはもう決まりじゃないか? 俺なら迷わずあの子に行くね。クリスマスに処女散らすなんて最高じゃん」


モブ2「ああ、ただでさえ相手はJKなんだぜ。これじゃああっちのオバサンはハナから勝ち目ねーよ」


俺「……」



女「あわ、あわわ……どうしよう、何か、何か言わないと。でも、もう……!」アタフタ


JK(ふふっ。お姉さんはここまでみたい。あとは……)


JK「お兄さん……」ジッ


スッ


モブ1「顔が近づいていく! キスだ! これキスだ!」


モブ2「若い衝動って素晴らしい! カップルが誕生するぞ! 色男と大胆処女JK! お似合いのカップルだ!」


女「こ、こうなったら……! 殴ってでもぉ!」ダッ


モブ1「おっとぉ? そいつぁナシだぜオバサン」スッ


モブ2「フェアーじゃねぇよそれは。女としての魅力で勝負しろい」スッ



女「くっ、ど、どいてよ! お願いぃ!!!」ドンッドンッ


JK(あと1cm……)フルフル


女「もういやぁ!」


俺「もし俺とミスタードーナツに行ったとして」


JK「え?」ピタッ


俺「何を頼む?」


JK「え、えーっと、そうですね……」


俺「……」


JK「ポン・デ・リング……でしょうか?」


俺「……そうか」フッ


JK(め、目から興味の光が消えた……!?)


JK「い、いえ違います! エンゼルクリーム……フレンチクルーラー!?」


オールドファッション!


俺「……」ピクッ



美少女「チョコオールドファッション」ザッ


女(誰?)


モブ(え、誰?)


俺「……」


JK「……どなた、ですか?」


美少女「アンタが今しがみついている色男のコレだよ。コ・レ」クイックイッ


JK「こ、恋人!? そ、そんなっ……嘘ですよねお兄さん!?」ガーン


女「でも、お兄さんにぴったりな位あの少女は美しい! まさにお似合い! 恋人だとしても、疑う余地はない!」


美少女「私を待たせておいて他の女と乳繰り合ってるたぁいい度胸してるじゃないさ」


俺「……すまない」


俺「だがこれは……」


美少女「言い訳無用!」カッ


ブワアッ


JK「きゃあ!」バサバサッ


女「す、凄い風!」バサバサッ


モブ1「お、おい! 見たか今の!? JKの娘は紫のパンツ! 対してあのオバサンは白だ! 純白だった! まだ勝負はわからないぞぉ!」


モブ2「いや、もう勝負終わってんじゃん?」



美少女「さあ、行くよ! 予定が詰まっているんだ! なんたって今日はクリスマスだからねぇ!」グイッ


俺「くくっ。本当に女は怖い」ズルズル


女「待って! せめて連絡先だけでも!」


俺「すまなかったな、お嬢さん達。見ての通りでね」


JK「ま、また会えますよね!? わ、私諦めませんから! 絶対! 奪ってみせますから!」


俺「くくっ。面白い。歓迎はできないが楽しみにさせてもら……」


美少女「何をちんたらくっちゃべってんだい!」ギギギッ


俺「ぐぎぎっ! がはぁっ!」ガクンッ


俺「」ズルズル



シーンッ


女「行っちゃった……」ポツン


JK「うっ、うぅ~……初恋だったのに、初めてあんなに人を好きになれたのにぃ……」ガクッ


女(初恋、か……。そういえば私は彼氏と別れたんだった。これからどうしようかな)


ヒラヒラ


JK「あ、雪……? 綺麗……」ハラリ


女(今日は12月24日、クリスマスイブ。眠らない夜……)


ヒラヒラ


女(……雨は夜更け過ぎに)


JK(雪へと変わるだろう……)


女&JK(Silent night, Holy night)


JK(きっと君は来ない)


女(ひとりきりのクリスマス・イブ)


女&JK(Silent night, Holy night)


完っ!

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【SS】女「ね、ねえねえ! あの人スゴいカッコよくない!?」 俺「……」スタスタ 文月 景冬 @Fuzukie

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