第27話 名も無き村 防衛戦②

夜明け前、仮眠から目覚めて俺達は再度タモツのドローンで魔物の配置を確認した。


朱雀さん、配置は昨日の夜から変わり有りませんね。


大体の魔物数と種類を確認します。


任せたぞ~


タモツは昨日作った仮住まいをCICにして戦いの全体を指揮している。

CICとは作戦司令室だ。

昨日プレハブを立てた時にソーラーパネルに蓄電池、バックアップで電気自動車もバッテリーとして繋げて有る。


俺は星型城壁の先頭だ。 サブが左側、エリスとマルコが右側、残りの二カ所は村長と部下、副村長と部下、大まかにその配置だ。


基本的に物見矢倉から弓で壊滅の予定になっている。

エリスとマルコにはクロスボーを貸している。

エリスはパクる気満々だが・・・

矢は一応は現地調達品だ。

命中精度は異世界パワーで何とかなりそうだと昨日訓練を見ていたサブが言っていた。


村長邸の前に集合して簡単な朝食を取って各自配置に就いて行った。


因みに俺、サブ、エリス、村長、副村長はタモツと無線で繋がっている。

弓の効かないヤバい魔物の場合は俺かサブが対応する事になっている。


配置に着いたらタモツから全員にオープンチャンネルの無線が入ってきた。


皆さーん!

動き出しましたよ!

大体3グループに別れてますねー

大まかにウルフ、コボルト系、ゴブリン系、オーク系かな?

数は大量に居るよー

ゴブリン系はアーチャーが多いかな?


別働隊も居るっぽいから全方位からだね。


キルゾーン到着予定時刻は足の早い

ウルフ系で30分後位、

ウルフ壊滅させたらバラけるかもなんで各自十分注意して下さいね


「了解!」


事前の打ち合わせで村長達は出来れば魔物の肉と魔石は回収したい。

とお願いされたので面倒臭いが地道に削る事になっている。


本当ならクレイモアとかIED仕掛けて纏めてミンチにでもすれば楽に壊滅出来るのにな。


サブ、タモツ、エリスがマジックバックを10個提供していたので回収部隊も城壁の中でスタンバっている。


ドドドドドドっ!


大地が揺れる程の魔物の襲撃が始まった。


俺とサブは挨拶代わりに催涙グレネードをシュッポンシュッポン撃ち込んでやった。


俺とサブで5発づつ催涙グレネードの弾幕を張ったらいい感じに催涙ガスがキルゾーン近辺に流れ出している。


俺とサブはグレネードからライフルに持ち替えて射程が長いので十分引き付けてからクロスボーのキルゾーンに入ってきたウルフ系の魔物に向かって引き金を引いた。


今回は獲物の数が多い&再利用希望の為にアサルトライフルの使用は中止した。

アサルトライフルで狙撃したらミンチになっちゃうからな。

弾も高いしランニングコストとしては赤字になるので9ミリパラを使う


イタリアのベレッタ社、CX4ストームを使った。

ライフルにはなっているが拳銃弾を使っているのでアサルトライフルの様な貫通力が無く射程も短い。

主に法執行機関向けのピストルカービンと言うライフル型の拳銃だ。


見た目は完全にガン○ムのビームライフル!

さすがのイタリア製!!

玩具みたいな見た目で射程はライフルより短いからクロスボーに合わせるには丁度良い。

9ミリパラなのでお財布にも優しいし魔物がグチャグチャにもならないからな。


俺とサブはスコープを覗き込み引き金を引いた。


パンパンと軽い音を響かせて狙いを定めて七面鳥打ちだ。


俺達の銃撃を合図にタモツからGO、GO、GO、GO、GO!

歓喜に奮えた無線が飛び交っていた。


何匹かキルゾーンを抜けるウルフ系も居たが城壁に取り付く程には近づけなかった。


もう何う度目かのマガジン交換をしながらパンパンウルフを撃っている。


ちなみにマガジンはベレッタM9のマガジンと共通なのでアサルトライフルの様な弾数の多いマガジンを使って居ない。


「サブ、これ何気に当たるな~

結構良いかもな!」


でしょ?兄貴! ベレッタ製ッスからね!


あっ、兄貴!

そろそろオーク来ましたね!

9ミリだどヘッドショットじゃ無いとちょっと厳しいかもッス!


「了解!」


俺達、開拓村防衛隊は特に問題も無く魔物の群れを駆除していった。


「何かキリがねーな!

タモツ、こんな量どっから湧いて出てるんだ!」


城壁の外側は魔物の死体が山になっている。


しかし一向に襲撃の流れが途切れない。

これは流石に量的におかしいだろ?


朱雀さん、魔物のリスポーン位置特定出来ましたよー


「リスポーン?」


はい。 魔物の湧く場所特定出来ましたよ!


あっ、こいつら無限に湧いてたんだ。

そりゃ終わりが無いよな。


あーオーク売り切れでオーガが出てきたっぽいですね。

9ミリパラだど厳しいかもですね。


「オーガって2m以上有る鬼っぽい奴か?」


そうですね。


うわっ、仲間リス待ちしてスリーマンセルで向かって来るみたいです。統率取れてるっぽいですね!


武装は盾と何か鈍器みたいな物持ってますね。

パワーの有る知能持ちっぽいですよ!

厄介です。


タモツが おら、ワクワクすっぞ なノリで報告してきた。


「サブ、どーする?」

「キリがねーから元から叩くか?」


そーッスね。兄貴!

バックアップしますよ。


「村長、俺とサブで魔物湧きの元潰して来るからこっち二カ所のフォロー頼むぞ!」


分かった。 こっちは落ち着いたからモーガン達をそっちに回す。

できれば一度魔物の死体回収しときたい。外に出るならついでに回収部隊の護衛も頼めるか?


「了解! 回収部隊に準備させといてくれ。」


「サブ、回収部隊の準備出来るまでにもう少しこっち綺麗にしとくか?」


ういッス!


タモツ、魔物湧きの場所どの辺だ?


この辺です。


ブォーンと勢い良くチカチカ点滅させながらドローンが森から飛び出してきた。


大体直線で8~900m先ッスかね?

森の中白兵戦ッスね!

兄貴、オーガ相手に武器はどーするんッスか?


「逆に何が良いんだ?サブ」


んー白兵戦だからショットガンッスかね?

異世界ロマン的にはAK持って突撃なんッスけど


AKがロマンって俺にはさっぱり分からん・・・


俺達は雑魚を片付けて魔物湧きの大元を叩きに星型城塞を後にした。


一応魔物の遺体収容部隊を後ろに引き連れ回収作業中の警戒をしながら魔物湧きポイントを注視した。


「タモツー、敵は鬼だけかー?」


はい。今の所オーガスリーマンセルが4セットで小隊っぽいですね!それが今の所4隊で中隊っぽいので50ってとこだと思います。


「どうする?サブ、取り合えず俺はこっちで行こうか?」


俺は複合素材で出来ているらしいマチェットと言うには刃渡りが長い山刀を叩いた。


そッスね!兄貴、余裕の有るうちに取り合えずマチェットが通用するかも見てみるのも良いかもッスね!

できればタングステンの警棒も使って下さいッス!


「おう。分かった。」


俺は取り合えずショットガンでいってみますね。

兄貴、ベネリとベルト出しといて下さい。


ベレッタのベネリM4、セミオートマチックのショットガン、仕入先が仕入先なのでどうしてもベレッタ社に偏るッスね。

でもデザインも使い勝手も満足だから別に良いッスけどw

普通のショットガンだとガチャコンしないと次弾が装填されないッスけどこれなら引きがね引くだけッスから!


俺は刃渡りの長い真っ黒な山刀、マチェットを右手に持ち左手にこれまた同じ真っ黒な三段警棒を持って二刀流? な形だ。

肩にかけたガンベルトからはタモツから渡されたリボルバー、腰の後ろには俺、愛用のM9、ベレッタM92Fだ。後は諸々の手榴弾的な物を何個か持たされている。


俺の運転する四輪駆動バイクATVにサブが後ろに立ち乗りしながらショットガンを連射していた。


兄貴!そろそろ森ッスね、そのまま入って行くんッスか?


「そうだな。 行けるとこまで乗ってくか!」


結局森の中もATVに乗り爆走しながらオーガ達の目の前に着いた。


「良し!やるか!」


兄貴、背中は任せたッスよ!


「イャ、サブが背中だろ?」


イャ、イヤ兄貴!

デフォッスよ!デフォ!

タモっちゃんも楽しみに待ってるッスよ!

ゴープロで録画もバッチリッス!


あー 面倒くせーなー


俺は取り合えずマチェットを仕舞ってガンホルスターからタモツのリボルバーを抜き出してサブに向かってデフォらしきお約束をした。


「マテバで良ければ!・・・」


兄貴! 男前ッス! タモっちゃん多分嬉ションちびっちゃいますよ!


「良く分からんが良かったな。」


俺はサブに言いながらついでなのでリボルバーの確認をした。


弾は357マグナム弾6発装填。

リボルバー用のスピードローターも10個用意して有る。

要は66発分のマグナム弾を用意して有る。


兄貴、マテバはスイング右ッスからね!

間違わないで下さいね。


そうなんだよ。 このタモツから渡されたリボルバーはシリンダーを上に跳ね上げて弾交換をしなきゃならない。

普通のリボルバーは左にスイングして横から弾を交換するんだがコイツは右にスイングしてシリンダーを上に出さないと弾の交換が出来ない訳分からんリボルバーなんだ。

銃のスタイル自体はさすがイタリア製って感じで実用性をバッサリ無視している所がロマンらしい。

俺はホルスターにリボルバーを仕舞い再度グローブを数度拳を固めてマチェットを引き出した。

因みにグローブも特殊で手を強く握りしめると拳の部分の素材が固まって丁度メリケンサックと同じ働きをするらしい。


オーガ、2m以上のプロレスラー並の奴らがドタドタ根棒らしき物を振り回しながら俺に向かって来る。

俺は内心ワクワクしながら闘争心を宥めすかして相対した。 

結論から言えばマチェットは有効だった。

プロレスラー並の巨漢から振り下ろされる根棒らしき物を反らし、相対位置を変えるために横を流れる様に通り過ぎザマ、マチェットの刃を立ててスーッとオーガの腕に滑らせた所腕がパックりと割れて緑色をした体液を撒き散らし骨らしき物を晒すオーガが居た。その後ろに位置していたオーガにはモモに刃を突き刺して捻って抜いた。

俺が位置をオーガ達の裏に回った時には2体のオーガが倒れ込んだ。

俺は手前のモモを突き刺したオーガが方膝ついて倒れ込んだので目の前に来た首筋を上段より振り下ろした。

片膝付いた状態でオーガの首がコロンと転がった。

おー こんなゴッツい首も一撃かよ!俺はそのまま止まる事無く流れる様に腕を切り裂いたオーガに向かいホルスターからリボルバーを抜いてオーガの後頭部にマグナム弾を至近距離から撃ち込んだ。

オーガの顔の正面辺りから緑の体液らしき物が噴き出したので恐らく頭蓋骨抜けたんだろ。

バサリと顔面から倒れ込んだ。

マチェットとリボルバーの有効性は確認出来た。

残る一体のオーガに俺は三段警棒を叩き込んだ。

痛がってはいるみたいだが三段警棒は折れ曲がった。

ちょっとオーガには三段警棒厳しいのかもな。

俺はそのまま三段警棒を手放しマチェットを両手持ちにして人間の心臓部分の胸に突き刺し捻って抜いた。

緑色の体液シャワーを撒き散らしてそのまま仰向けに倒れたのでデカいだけで構造は人間とそんな変わらないんだな!って確認が出来た。

後ろの方ではサブがショットガンを乱射している。

発射音の間隔からパニクって乱射している訳じゃ無いのが分かっているので安心して目の前の次のオーガ連中に対処出来る。

切り裂き、突き刺し、相手の体勢を崩して止めを刺す。


オーガの振り回す根棒は圧は凄いが冷静に対処すれば力任せに振り回しているだけだ。


当たらなければどうと言う事は無い!


目に付いたオーガを全て倒してサブと合流するとオーガの通ってき獣道を奥に進んで行く。


サブと二人で周りを警戒しながら獣道を進んでいると開けた場所に出て正面の断崖に洞穴らしき物を見つけた。


兄貴、あの洞穴怪しさプンプンじゃないッスか?


「サブも思ったか? 俺も怪しいと思うぞ!」


断崖の洞穴らしき物の両脇の切株に赤と青のオーガが根棒を手にして座ってこちらを見ている。

赤鬼さんと青鬼さんかよ!


兄貴、あれは多分中ボスッスよ!


サブはショットガンの弾を熊撃ち用のシェルに交換しながら俺に話しかけてきた。


赤、青、オーガまでは凡そ100mくらい、サブはそのまま弾を変えたベレッタのショットガンを連射していた。

サブが使っているベネリM4は7+1発のセミオートマチックショットガンだ。

赤、青に時間差で各4発づつ連射した。


うん、中ボスの割に赤、青、共に頭が吹き飛んでたね。


中ボスが弱いのかサブが上手いのか良く分からないまま俺達は断崖の洞窟の中に入って行った。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

惑星テラ 神々の箱庭 兄貴とサブと不死鳥 中村屋 @1015nakamura

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ