夜毎のマリア

れなれな(水木レナ)

夜毎のマリア

 夜毎のマリア 聞いてくれ

 男の世界 強がりと泣き言

 そんなの強さではない

 爆発的エネルギー 制御するパワー

 抑えられない 抑えられない 抑えきれない――


 おまえ 奏でてやる? そんなやらしいことは思わないな

 奏でるように抱くけれども

 変にまとわりつくおまえ どうも悪い気はしない

 すそをつかんで見上げるその瞳

 どうしてふりきれない マイハート

 去ったあとで なにしてる?

 そんなことまで気になるしまつ


 小さなこの街から 出られない

 密林の王者


 オレは王者 誰にも負けない

 そう思っていたけど おまえにはかなわない


 たった一つの花に 夢は破れるのか

 すべて踏みくだく夢……


 時間は巻き戻らない 戻らないこの時を

 踏み砕く夢で 終わらせるのは惜しいな


 つまり 新しく紡ぐマイライフ マイライム

 一緒にきてはくれないか


 おまえと出逢って 幸運だったよ

 また信じる気になった 祈りを捧げる対象を


 この胸の熱い心 まだくすぶってる夜明けのサイン

 はっきりしたのはマイラブ マイライム そう

 おまえだけ愛してるぜ


 飢えていたのはオレの方 拾ったフリをして 捨てられたのを隠した

 この胸のモヤモヤ 悪い気はしないぜ

 甘ったるく濁って オレの帰りを待ってる

 そんなおまえが オレは好きだぜ


 大好きだぜ チクショウ


 夜毎のマリア



 夜毎のマリア 捜してる

 明かりをつけてみようか そっと音楽をかけようか

 横たわる体は 知らず疲れている

 指にからみつく髪をたぐって 放つ

 おまえはそこにいるな?

 やさしい眠りを さまたげる気はない

 今はまどろもう

 信じることのできなかった 未来のために


 ぐずついてる天気のような 黒い胸のうちに

 花開いた運命

 おめでたいね 愛なんて

 そう思うのに 欲しかった

 おまえが どうしても

 泣きたくなるような 闇の中

 静かに 足音立てずにそばに来た

 幸運はあったんだと 信じかけ

 くしゃりと 心をひずませた

 完璧な人生なんて ありえない 信じられない

 だけど おまえだけはパーフェクト


 ひっさげた矜持を いつまでも守ってはいられないさ

 チープなノリに ひきこもうっていうのか

 そんなもの いらない

 たぶん 余計なのさ

 ごちゃごちゃ考えるけれど 投げだせる程度のもんなら たくさん持ってる

 何が欲しい?


 たぶんあいつに 時間は残っていなかった

 オレはかけつけなくちゃいけなかったんだけど

 おまえにおぼれてて 間に合わなかった

 重たいわだかまりと 等価の存在に気づいてしまったから

 おまえはカナリアの声に 眠るけれど

 その実 聞こえてはいないのかもしれない

 軽くはないさ 軽くはない

 だれかのアシストで輝くもんだろ スーパーヒーローだって

 あいつにはそれが欠けてた オレにもな


 成り立たなかった相互関係

 脆弱な約束

 忘れたころに 歌い出すカナリア

 今はことを荒立てたくない

 なかったことにして 音楽を消そう

 まぶたを閉じれば 目指すものがそこにある

 からい後悔と 思い出すほどにこっけいな一幕

 一生 こんなものを背負うのか

 べつに自分だけ不幸だなんて 思ってはいない

 あいつだって 十分不幸だったんだから


 ああ、クソ!


 胸の内で別の誰かが 舌打ちしてる

 オレは幸福だったハズだろ?

 やっぱり 出かけなくちゃいけないのか

 不幸と幸福は紙一重だな

 あっという間に 心を塗りかえちまう

 せせらぎに身を浸すようなときも あっというまにはじき返される

 戦争にいくみたいだ

 かたっぱしから お願いだ 裁断しないでくれ

 何もできなくなっちまう

 無力だった子供に 逆戻りだ

 なあ スーパーヒーローだって アシストは必要だろ?

 おまえの後ろ姿を見送った後で そっとため息

 考えているさ べつに何もしていないわけじゃない

 忙しすぎるんだ 実は とても

 言い訳に聞こえるかな 仕方がなかった

 だれかが安物の音楽に切りかえるんだろうな クソ!


 おまえのことは信じてる

 けどオレは完璧じゃない 事実を言ってる

 あらぬ妄想に 巻きこむことはしない

 クールだろ?

 演じさせてくれよ 今だけ

 思考があてにならないって? 行動で判別してくれ

 気持ちが安らかになったら きっと内情も追いつく

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夜毎のマリア れなれな(水木レナ) @rena-rena

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